人生とは美しく刺激的なリッチ。

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第9地区。

2010-04-10 22:49:01 | 美術館・博物館・シネマ。
今日から上映開始した“第9地区”を鑑賞。
先月だったかな、何かの映画を観に行った時に当作品の予告編を目にして、上映開始したら絶対に鑑賞しようと決めていた。数分の予告編であったが、その内容に何故かとっても惹き付けられたのだ。

完全オリジナル脚本、キャストはノーネーム、監督は新人、舞台は南アフリカという全くの正体不明作品だったにも関わらず、全米公開時初登場№1に輝いた上で、アカデミー賞を含め数多くの映画祭にノミネートされるという偉業を成し遂げた話題作。南アフリカ上空に突如現れた正体不明の宇宙船。襲い掛かることもなく、難民として降り立った“宇宙人(エイリアン)”たちは共同居住区“第9地区”で生活を始める。それから28年後-、人間とエイリアンとの対立は激化し、また当地区での犯罪と争いは増え続けてスラム地区と化した為、“彼ら”を強制収容所に移住させる計画を進めようとするが・・・。
宇宙人と地球人という極度な民族性の違い、そこから生ずる差別や対立。強制収容や人体実験、隔離や対立・・・、人類の歴史上で事実的存在した、いや現在でも存在している“汚点”を否応なく連想させられる。各々が自己の利権確保の為に奔走する醜さ、その一方で護りたいモノ(者)への自己犠牲の美しさ-、テーマの深さ故に総てをダイレクトに受け止めることが出来ず、感動の涙が出ることもなかったが、非常に考えさせられる作品であった。当作品にハッピーエンドは不可能だろう。どのように描いても“不幸”が残る。だからこそ、監督の当作品での終わり方は物足りないようで“とっても素晴らしかった”と思う。