12/16に山梨県の都留アルプスに行ってきました。
アルプスと言っても全国各地にある○○銀座のようなものです。
11月に九鬼山に登った際に登録有形文化財の落合水路橋の傍を通りましたが、100年以上前に建設され今なお現役で使用されている姿を見て感銘を受けました。
興味をもって少し調べてみると、桂川は東京に近いことや水量が豊富なことから、大月より上流側の都留市などに、落合水路橋が送水している箱崎発電所(明治40年完成)の他に7つもの発電所があり、このような送水路や送水橋、送水トンネル(隧道)があるようです。しかも、これらは100年程前の明治40年~大正13年までの短期間(20年弱)で建設されたというから驚きです。
なお、水力発電所というと、私も含め一般にはダムのイメージがありますが、この地域の水力発電は上流で取水し緩やかな長い水路で適当な落差が得られるところまで水を導き発電する水路式です。
源流の山中湖から、落差の大きなものとして、鐘ヶ淵発電所、鹿留(ししどめ)発電所、谷村(やむら)発電所、駒橋発電所が夫々の放水を利用する形でシリーズにつながっています。
そこで、その中の谷村発電所の導水路が都留アルプスという山々の山中を通過しているので、巡ってみることにしました。導水路は総延長5.6km、ほぼ水路トンネルですが、地理院地図では4か所で地上に出るようです。都留アルプスの案内図ではその中の1ヶ所に言及しています。
都留アルプスは都留市街に沿った全長約8km、標高550~700m程度の山々です。ただ、麓の標高が450~500mなので、裏山といった感じの山々です。所要時間は約5時間半となっています。 → 都留アルプス
なお、都留市は我々JCの本拠地である町田市の小山田と関係があります。鎌倉時代に小山田氏の一族から甲斐国に移り、谷村(都留市)を本拠とした甲斐の小山田氏がいるそうです。
本来なら桜や新緑の季節が良いはずなのですが、この時期にしたのは落葉樹が落葉し草が枯れて見通しがよく、導水路の構造物がよく見えるだろうとの考えからです。
これが今回のガーミンのログです。上側が通常表示、下側が地形追加表示です。本来ならYAMAPのデータが良かったのですが、無料版なので出力できません。トータルの距離は16.19km、所要時間は5時間42分でした。
目論見としては都留アルプスは3時間半程度で終了し、昼頃に駅前の日帰り温泉で汗を流してビールで給水と考えていたのでしたが。導水路のことしか頭になく、全く考えが甘かったです。
以下、当日のもようです。
スタート地点の富士急行の東桂駅を8:50に出発しました。この時間でもまだ0℃位で寒かったです。駅名表示はどこもラベンダー色の様です。
始めに前段として、鹿留(ししどめ)発電所(最大出力18,400kW/大正3年完成)周辺を少し回りました。
この地図の左下のV字部分です。V字の右側の直線が発電用送水管、左側の青い直線が余水路です。
また、地図中央を右上方向に伸び、やがて山中に入り青い点線(破線)となるのが谷村発電所の導水路です。
(地理院地図)
鹿留発電所を桂川と一緒に撮影していますが、画面奥に右上から左下方向に送水管が見られます。ただ、余水路などは時間が掛かるので見に行きませんでした。
送水管は、以前は3条だったそうですが、現在は1条で下部で3分岐しているそうです(有効落差142m)。
なお、この両側には桜が多く植えられ、ここは桜の名所だそうです。
鹿留発電所の放水庭です。左側が発電所建屋で左から右側に水は流れて地下水路で谷村発電所の取水口に通じています。
さあ、ここからが本題で、まず谷村発電所の取水堰や沈砂池などを見ようとしましたが、高い金網で良く見えず、一方で良い場所を探して回るのは時間が惜しいので止めました。画面では奥から手前に水は流れています。
画面の奥に向かう導水路です。開渠ですが上面全体に金網が被っています。
重要インフラなので警備が厳重でフェンスだらけです。今回使用したミラーレス一眼ではなく、網目にレンズが入るコンデジの方が良かったです。
導水路が山の中へ消える所です。(フェンスの上から撮影)
横から見たところですが、水路橋となっています。川は桂川支流の鹿留川です。
この付近は「おなん淵」と言われ、昔「おなん」という奉公人の娘が淵の上から身を投げた所だそうです。
さて、ここからが都留アルプスです。9:30過ぎです。少しここまで時間が掛かり過ぎですかね。
入ってすぐに住吉神社があります。
そして古城山(583m)。
先程の地図の続きです。左端が導水路がトンネルになる場所、右端が「都留」を全国区にした都留文科大のキャンパスです。
この地図では水路トンネルが2か所で地上に出ることが分かります。始めはトンネル入口から200m位、北側の登山道からは100m位ですが、地図上草地のようなので見通せるかと思いました。(地理院地図)
ここが、その最初に導水路が地上に出ている場所です。篠竹があったので登山道からは見えませんでしたが、水音がしたので向かっていったところ見えました。水は右から左です。
コンクリートの空堀に囲まれた感じでありました。右側から水は流れてきます。
導水トンネルの開口部からかなりの勢いで水が流れて来ていました。迫力があります。
迫力があったので、つい動画を撮影してしまいました。
これは前の写真の反対方向を写しています。堰を越えて向こう側の水槽に流れ込んでいるように見えますが、白濁していて流出口は見えません。特に水門も何もない感じでトンネルに入ったばかりの所で、ここは何をするところでしょうか?ただ、この中に落ちたら大変ですね。
なだらかなコースを進みます。
斜面をトラバースします。
前と同じ地図で、右側に水路トンネルの第2地上出現箇所(水路橋)が記載されていますが、この地図と違い実際のトレイルはそちらへ向かわず道路がループ(野球場)している所を右下に向かっていますので100m程離れています。(地理院地図)
水路トンネルの第2の地上出現箇所はこの方向100m程先になりますが、この感じなら行けそうなので行ってみました。
ありました。水路橋です。見難いですが下側にアーチ状の隙間が見えます。
傍に来てみたところです。水路は開渠ではなくトンネルのままです。橋の上にカマボコが乗ったようです。
小谷沢水路橋という名前のようです。これが見られたのは良かったのですが時刻は11時。まだ行程の1/3も来ていないと思います。
傍に祠がありました。山神大権現となっています。麓からここまで踏み跡が続いていました。
野球場の傍を通ります。
少し上ります。
尾根道という感じです。
都留アルプス最高峰となっていますが、尾根の続きのようで山頂感はありません。
視界がパッと開けました。気持ちが良いですね。但し、時刻は12時近く、漸く行程の半分を少し過ぎた位です。街並みと街並みの間の山をまだずっと奥へ向かいます。お風呂とビールという話は難しそうです。
反対側を見ると今や山間地でよく見かけるソーラーパネルが見えました。
少し下りてくると、都留アルプス案内図に記載された千本桜植栽地に出てきました。白く見える円筒状のネットがそれだと思います。このサイズの画像だと見難いですが、向かいの丘にも針のように見えます。
「友愛の森」あずまや。地元小学校の学校林です。
登山道沿いにある導水路水路橋に出ました。(水は右から左へ)
水路は左下から右上に伸びています。中央やや下に短い水路橋(現在来ている所)が見られ、中央上部に長い水路橋が見られます。この長い方が都留アルプスの案内図に説明されています。(地理院地図)
元坂水路橋という名です。
傍から見るとこんな感じで、前のと同じカマボコ状です。(水は右から左へ)
カマボコ状の表面は石が敷き詰められているようにも見えます。(水は奥側から手前へ)
天神山(580m)。
実際の地図ではこちらが天神山山頂。実際もこちらの方が高いような感じです。
12時半過ぎ、都留アルプスの案内図に説明されている水道橋に来ました。(画面中央から右上に)
左側にトレイルに沿って続いています。
下から見上げています。アーチ状になっている所は長い水道橋の一部のようです。(水は左から右へ)
橋の傍にあった説明。
水路橋は低い所にあるので、ここから結構登ります。というか疲れてきたため、そう感じるのかもしれません。
水路橋から少し上がった所にあるパノラマ展望台です。
南西側の街並みが見渡せます。
前の写真の左端に富士山の頭が少し見えました。
都留アルプスの説明がありました。
長安寺山(654m)。
白木山(625m)。
都留テレビの中継所がありました。
ここは蟻山(658m)というそうです。
昔ののろし台跡だったようです。確かにここは山頂感が今までで一番ありました。
説明です。「戦国期の小山田氏の時代に構築」と書かれています。
都留アルプスと導水路の終盤の地図です。右下の658mの所がのろし台跡の蟻山です。谷村発電所は画面上部で、細い2重線は送水管、その右の直線は余水路、逆に左の波線は遊歩道です。
蟻山からは下りだったので15分程で、谷村発電所の上部にある水槽に出てきました。漸くまた水に出会えました。ここはスキージャンプ台の上といった感じでしょうか。(有効落差115m)
このすぐ横に富士山展望台があるとのことで行ってみました。
富士山展望台からの眺めです。
富士山は丁度逆光でした。
富士山をアップするとこんな感じです。
先程の水槽に戻ってきました。水は下から湧いている感じで、前方のすだれ状の部分を通過してゆくようです。音もなく静かに流れてゆく感じです。なお、右端で白く見える開口は余水路用だと思います。
水槽より少し下がってきた所です。送水管は直径約1.5mで3条あります。
中間部分です。ここは鹿留発電所と同様、送水管の両側に桜が数多く植栽されているようです。
14時に漸く下まで降りてきました。
谷村発電所(最大出力14,700kW/大正9年完成)建屋と送水管下部です。発電機が回るような音がしていました。
あちこち寄り道したり、間違えたり、再度戻ったりして時間を浪費したので挽回のため緩い下りは少し走りましたが、4時間半ほど掛かりました。15時台は電車がないので14時台に乗るためにはお風呂はあきらめざるを得ません。
仕方がないので、現在、注目を集めている小水力発電を全国に先駆けて行っている現場を見ながら隣の谷村町駅に向かうことにしました。都留市は元々城下町で江戸時代に整備された家中(かちゅう)川に3種類の小水力発電機があります。
ところが、行ってみると今の季節だからか川に流れがなく残念ながら全て稼働していませんでした。
ネーミングはもう少し考えられなかったのかですが、「元気くん2号」。開放型上掛水車、出力19kw、有効落差3.5m。
「元気くん3号」。開放型らせん水車、出力7.3kw、有効落差1.0m。
「元気くん1号」。開放型下掛水車、出力20kw、有効落差2.0m。
谷村町駅です。何か可愛い感じがします。
時間の想定が甘くお風呂に入れなかったのが残念ですが、都留アルプスは想像より良いところでした。
なお、続いて他の導水路巡りをやるかはわかりません。
トレイルF
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