《夢の跡》
作者 高田愛弓さんは、現在高校1年生です。
これは彼女が小学4年生から、昨年中学3年まで、6年間「全国小・中学校作文コンクール」で
毎年入選、入賞した秀作の文集本です。
AMAZONのカスタマーレビューでも絶賛されていますが、小中学生の優秀な作文かと思ったら大間違い
最初の小4の時点で、あっけにとられるというか、たった9,10歳のこどもが・・
どこをどうしたらこんな表現ができ、このような語彙を知ったのか
作品の素晴らしさ以前に、大きな疑問となって、いまだによくわからない
そもそも、一般の小学生の定番である”課題図書”なるものの感想文?のような作文にはまったく興味がなく
こちらのコンクールでは「テーマ・自由 枚数・自由」という彼女にとって夢のようなという表現通り
好きなものを好きなだけ書いた・・と
彼女のテーマは、いかにも小学生らしい身近なものから、戦争・平和についてその当事者たち
裏で暗躍ではなくて、図らずも加担せざるを得なかった人々の心理という奥深いもの
中学生になってからは、衝撃的な事実をしっかり見つめ描写するあたりは、読み進むうちに
わずか13,4歳の世間では女の子と称されるまだ子供が書いているのだということを忘れさせます。
作文というより、リアルな短編小説を読んでいる・・・
中でも中学2年生の時書いた、この本の題名にもなっている”夢の跡”は
「父が、逮捕された」という衝撃の書き出しで始まるのですが、実際目の前で起こった衝撃的な事実を
娘の視点で率直に描いた文章はぐいぐい引き込まれていきます。
ノンフィクションゆえの現実感と臨場感がそうさせているのでしょうが
読み進むうちに、ふと<これって中学生が書いてるんだよね>と何度も確認することになるのです。
どんな道に進むのか、将来が非常に楽しみな高校1年生であります。
芥川賞の候補に名前があったりして・・覚えておいてください<高田愛弓>さんです。