大空自動車帳 店主浅酌低唱

大分市自動車特定整備認証事業場(車検・点検・診断・修理)休みは日曜・祝日、平日不定休です

     ★★始めに★★

 現店主はディーラーサービス勤務を経て専業工場を経営しております。職業を離れて書くことのほうが多いかも知れませんが毎営業日の更新挑戦中。 きっと間違ってる情報もあるでしょう。しかしコメントは受け付けておりません。

     ★★工場案内★★

 九州運輸局認証自動車特定整備事業場・整備付車検・車両診断・自動車分解整備・事故修理・車両販売。 当工場はお車の使用環境に合わせたメンテナンスをご提案できます。

     ★★そのほか★★

●記事中に価格が載っている場合、全てその時点の価格であります。特に物販品に関しては順次価格改定してます(2022)●部品持込は原則的に受け付けておりません(2023)

5/25土曜

2019年05月25日 | 店主の「あんたも好きねぇ、ちょっとだけよ」
食品由来機械潤滑油を購入した時に、ふと大昔の事を思い出した。

当時、会社の先輩に誘われた私は、とある建物の会議室に連れて来られた。
狭い会議室の中、同じように「連れて来た者、連れて来られた者」が20名ほどだっただろうか。
私は思った「ははーん、これが怪しい商売の説明会か」

入社して一年ほど経ってから、その先輩は何かっちゅうと「夢を叶えようよ!」と私に言い寄ってきていたのだ。
日頃から鬱陶しく言ってくるので、先輩の気持ちをなだめるつもりでこの「夢を叶える」説明会に私は参加した。
しかしいざとなると疎ましい。ご丁寧にちゃんと参加名簿にわたしの名前がありやがる。その時点で帰りたかったが意を決して扉を開いた。
そして席に着く。隣の先輩は「今から面白い映画が始まるよ風」でウキウキしていた。なんだろな。

落ち着くと参加者の会話が聞こえてくる
「〇〇さん、今日で貴方の夢の一歩が始まるよ」
「〇〇くん、二人で夢の生活をしよう!」
「〇〇さん、素晴らしい夢に向かっていこう!」

私は自分の「夢」をその先輩に語った事が無い。
だけど先輩は自身が思い描いてる夢は、きっと私も同じように思っているに違いないと思い込んでいる。
ま、そこら辺がズカズカと誘ってくる者達の、度し難い思考ではあるが。

そうこう思っていると講師と思われるおっさんが入って来る。中肉中背、年の頃は今の私より年下か。
とにかく笑顔が怪しい。いやいや私が怪しいと思い込んでこの会に参加してるのだから、怪しくなくても怪しく見えたのだきっと。
姿勢よく一礼し意気揚々に挨拶が始まる。
「皆さん!今日、私の話を聴いたら皆さんの人生が変わります!一緒に夢を掴みましょう!!」
やっぱり怪しい。また「夢」か。

だから夢って何だよ、具体的に言え!と私は思った。夢夢夢夢夢。

先輩はと言うと瞳を輝かせ、まるでその講師を拝むように見ていた。
やんちゃな子供が(将来こんな大人になりたいな)みたいな感じでそのおっさんを見ているようだった。
なんか笑えた。

そこでおっさんの話が始まる。果たして夢とは?一緒に掴むとは?
その全容が明らかにされる時が今来たのだ!

・・・と思ったら、そのおっさん、まさかの自分の生い立ちを語り始めた。
「えーわたくしは福岡の田舎町で生まれ、云々」
どこの誰かわからない怪しいおっさんの生まれ故郷からの話など聞かされているのだ。我が身が哀れで仕方ない。
先輩はと言うと「へえ~そうなんだ!素晴らしい」みたいな顔をして聞いている。
なんか憎めなかった。

「・・・というわけで、今はこれ一本で夢の生活をしております!!!」

やっと終わった。途中は覚えていない。いつの間にか本題の「夢」に入っていたようだ。

要約すると「自分は素晴らしい商品に巡り会ったから、今は会社を辞めてこの商品を売ることに専念している。そして夢の生活を手に入れている。だから皆さんも夢の実現のためにこの素晴らしい商品を買って下さい。そして売って儲けて下さい。」とのことだった。

・・・なんだ、別に普通。

とこの時思った。結局在庫持たないといけねーじゃねーか。とも思った。
まだ20歳そこそこの私が思っていた「怪しい商法」の概念そのまんまだったのでちょっぴり拍子抜けした。

先輩はと言うと物凄い拍手をしていた。
そしておもむろにこっちを向き「な!すげーやろ!夢を掴もうえ!!」と真顔で私に迫ってきた。
怖かった。

おっさんは実際に商品を持って来ていた。
段ボール箱の封をカットし開ける。まずは発泡スチロールの緩衝材を取り出す。
そして何を思ったか、その緩衝材ビニール袋を破り、直径3センチほどの発泡スチロール玉(原料はわかりません)をひとつ手に取り、自分の口の中に放り込んだ。
「モグモグ、モグモグ」なんか食べてるで。

さらにモグモグ、ゴックン。

「うん!美味しい! この緩衝材もこの会社が作ってあるんですよ実は。
地球と人体に優しい商品を、地球と人体に優しい緩衝材で包んでるんですよ皆さん!
ここに一応「食べ物ではありません」て書いてあります。でもこれは便宜上書いてあるだけなんです!!
食べても何ら問題ないんですよ皆さん!どうですか!!!」

わー素晴らしい!と割れんばかりの拍手である。
「美味しい!」のあとに「今日はちょっと塩味が効いてるな」と言ったような覚えがある。
とにかく得意気な表情である。
その様子から後ろの奥様方は感動して「おやつに良いね~」とか言っている。
「食用でない」と書いてあるのに、目の前のおっさんの魔力で「おやつ」になってしまった。

私はそんなのがイヤだ。
食べてしまっても何も起きないかもしれん。
だけどわざわざ食って「美味い!」ってなんだ。と思った。


ま、こんなことを思い出したんです。
なんとなく人体に優しい、と言うか影響が少ない印象繋で思い出しただけです。
長々すみませんでした。わはは


ところで肝心の商品が何だったか全然思い出せない。
モグモグゴックンが強烈に印象に残っているので、私の記憶はそこで止まっている。
時代を経て現在では食用緩衝材がある。そう思うと、あのおっさんの行動自体は先見的だったのかも知れない。
どーせ受け継いできたアクションなんだろうけど。

一方、先輩はと言うと「わー俺も食べてー!帰って絶対食べる!」とか言っていた。
こいつもいつかは皆の前で同じことをするに違いないと思った。
だがその前にだ

なんだ、もう仕入れてるじゃんと思った。

まさかダブついた在庫をわたしに売りつけるつもりだったのでは。とも思った。

今となっては不明。