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The Okinawan spirits ~泡盛百花~vol.8 稲垣千明

2009年08月19日 | 水曜(2009年7~8月):稲垣千明さん
 泡盛のさまざまな側面や、それにまつわるエピソードを、少しでもたくさん、ご紹介したいという思いで、ここまで、あれやこれやと書き連ねてきましたが、けっこう内容も多岐にわたってきたなぁ、と思いながら、ちらっと初回のブログを振り返ってみました。
 
気付けばあれから、もう7回も連載を重ねさせていただいていたのですね(今回で8回目!)。この連載も残すところ2回のみとなりました。まだまだ、あれもこれも、書かせていただきたいことは、いっぱい残っていて、その中から、たった二つだけ選ぶのは、本当に難しい!

…とテーマを選びあぐねていましたが…。おっと、いけない、いけない! 初回の掲載写真(嘉瓶)の添え書きで、今後のブログでご紹介するって書いているではありませんか! 言ったからには…

そんなわけで、今回のテーマは泡盛の器に決定です☆

泡盛の器と一口に言ってしまいましたが、泡盛を寝かせる容器から、飲む際の酒器まで、これまた、いろいろあります。

まずは、今も昔も泡盛を熟成させ続けている器・「甕(かめ)」。




これも、初回から写真が載せてありましたね(よろしければ「泡盛百花」vol.1、vol.6もご参照ください)。お土産や記念に買い求めやすい小さな甕(二升≒3.6ℓ程度)から、自宅で古酒を寝かせるのによく用いられる中くらいの甕(五升≒9ℓ程度~)、そして、酒造所などで本格的に用いられる大きな甕(一石甕≒180ℓクラス)まで、大小さまざまあります。

次に同じ焼き物仲間の酒器。こちらは形も多彩です。

◇ 嘉瓶(ゆしびん)
(写真は、「泡盛百花」vol.1をご参照ください)

 初回でもご紹介しましたが、おめでたい席に用いられる器です。もともとは、おめでたい席に出席する人が、先方に泡盛を差し入れるときに容器として使ったもので、これに入れて届け、役割を負えると瓶は返してもらえたのだそうです。泡盛が量り売りだった頃の、よそ行きの器とでもいえるでしょうか。
腰のくびれは、抱えて持ちやすいようにつけられたという説もありますが、嘉瓶のチャームポイントになっていますよね。


◇ 抱瓶(だちびん)




こちらは泡盛の水筒といったところでしょうか。かつては泡盛を携帯するための器でした。腰にフィットするように弧を描いているのが、真上から見ると、よくわかります。現在では、本来の用途を離れていますが、その個性的な形は、観賞用・インテリアとしても人気があります。


◇ 鬼の腕(うにぬてぃー)

 

名前がユニークなこちらは、昔、とっさの時の武器(こん棒?!)代わりにもなったのだとか。どっしりした形は、たくましくて、かっこいいですよね。


「猫に小判」? いえ、「猫に《鬼の腕》」


◇ 瓶子(びんしー)
(写真は、「泡盛百花」vol.3をご参照ください)

 徳利の下にラッパのような広がりが付いた形のものが、もともとの瓶子のようですが、現在では、お供えや、お祈りの際に使う華奢な瓶のことを広く一般的に、びんしーと呼んでいるようです。

 
◇ からから




これは、おそらく、みなさんが一番、身近で目にすることの多い
酒器なのではないでしょうか。県外でも、沖縄居酒屋に行くと置いてありますよね。
 中にラムネ瓶のように玉が入っていて、泡盛が空になってしまうと、お酒に浮かなくなった玉がカラカラと音をたてるから「からから」と呼ばれるなどという説もありますが、じつは玉が入るようになったのは現代になってから、とも言われていて、その由来は定かではありません。でも「からから」っていう名前の響きは、可愛らしくも思え、なんだか親しみやすいですよね。


◇ 茶家・酎家・酒家(ちゅーかー)


 
急須のような形ではありますが、泡盛用のそれは、注ぎ口が繊細にできているように思います。上等な古酒は、小さなちゅーかーから、小さなちぶぐゎー(盃)に注いで、さらに、そのちぶぐゎーから、ちびちびと舐めるように飲むのが、より雰囲気を感じさせてくれて、私は好きです。ちなみに、ちびちび飲むのは、泡盛が貴重だった時代の飲み方だそうです。


これらの焼き物の器たちは、骨董として価値があるものや、名の有る陶芸家が焼いた芸術的価値の高いものもあって、器としてだけでも、蒐集・愛好する方々が少なくないようです。

県外から沖縄観光に来られる方も、土産物店などを回る際、沖縄の焼き物にもぜひ注目してみてください。その中には、ここにご紹介したような器たちが、きっと待ちうけていますよ。もしかしたら、「花活けにいいかも♪」と手に取ってみた瓶は、泡盛の酒器だったりするかもしれません。夫婦で、旅の記念に花活け兼酒器として一緒に選んでみたりしても素敵ですよね。関心の強い方は、陶工の町・壺屋や、窯元が多く集まる読谷村を訪れてみられるといいかもしれません。

 茶道のように、器を楽しみながら味も楽しむ。お酒は、ちょっぴりしか飲めない方も、お気に入りの酒器を見つけて、器とともに泡盛を楽しんでみられてはいかがでしょうか?

 さて来週は最終回。今から、ラストを飾る内容を絞り込むのに思い悩みこととなりそうです。う~ん…これは、かなりの難題…。



 ▼ 写真撮影協力:「うりずん」/「ぱやお」泉崎店 
うりずん・ぱやおの皆さん、ご協力、本当にありがとうございました!






text:稲垣千明





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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kappa-rock)
2009-08-19 22:51:31
泡盛の水筒!?
少しびっくりしただにぃー。
笑ってしまったぁ。。

「鬼の腕」
僕たちKappa族の知り合いの酒呑童子の腕かな??

もう、最終回だにかぁ???
頑張ってくださいねぇ。
今夜は紹興酒だぁいぃぃぃ。
眠れそうにねぇぇぇ。。。
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 (やあ)
2009-08-19 23:27:31
最終回とは残念ですね。
まだまだネタあるなら泡盛百花2やりませんかね?
今度窯元巡ってみたくなりました!
返信する
kappaさん、「やあ」さん (Chiharu)
2009-08-23 20:39:47
コメントありがとうございます! 

「鬼の腕」が泡盛の器ならば、「河童の腕」と名が付くようなものはなんでしょうかね?きゅうり?!

「鬼の腕」にしても、身体にフィットするように形づくられた酒器の名の「抱瓶」にしても、ネーミングに愛敬を感じますよね。

「やあ」さんも、窯元を巡る機会を得られたら、「鬼の腕」の質感や、「抱瓶」のフィット感を、ぜひ楽しんでみられて下さいね!
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