おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

日本の難点

2009-08-30 18:24:19 | 政治
「日本の難点」 宮台真司著 幻冬舎新書

 タイトルに魅かれて購入したが、少し読んでは止まる。薄い新書を読破するのに一か月。論点がいろいろと多岐にわたり、筆者の一方的な意見が出てくるだけで、内容に深みを感じなかった。
 教育、日米関係、社会保障、裁判員制度などなど、一つひとつが重いテーマであり、そもそも一冊の本に納めることが無理な気がする。
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義経

2009-08-19 11:05:08 | 歴史小説
「義経(上)(下)」 司馬遼太郎 文春文庫

 宮古島での夏休みを利用して、何年かぶりに読んだ。
 題名は義経だが、源頼朝、後白河法皇、源義仲、平知盛などの考え方・心を活き活きと描いており、改めて司馬遼太郎のすごさを感じた。
 この小説の面白いところは、義経を悲劇のヒーローとして単純に描くのではなく、戦いの天才で政治的に「阿呆」としているところ。兄頼朝との血の繋がりのみを信じ、後白河法皇の手の中でうまく転がされ、知らないところで、どんどん頼朝との間に溝を深めていく様子が悲しい。部下の努力を認めることなく、自分の力で平家を打ち滅ぼしたことを言えば言うほど、周囲が疎んじ、頼朝が警戒することを理解できない義経。悲劇のヒーローではなく、自業自得。

 もう一つ面白いのが、後白河法皇の立ち回り。何の武力も持たない天皇・皇室が現在まで1000年以上にわたり存続している理由をうまく描いている。その時々の権力者を選別し、天皇を頂点とする秩序の中に巧妙に入れ込み、他の権力者が台頭すれば、冷酷に乗り換える。義経と頼朝にそれぞれ相手の追討を命じる院宣を出すところなど、二股の保険をかけている。

 本書における義経の位置づけから仕方がないかもしれないが、欲を言えば、義経が京都を出てから、平泉で死ぬまでのも描いてほしかった(本書では1ページのみ)。
 
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誰も書かなかった 徳川家の謎

2009-08-09 17:50:11 | 歴史
「誰も書かなかった 徳川家の謎」 小泉俊一郎著 中経出版

 タイトルの「謎」に魅かれたが、内容は徳川家の小話。余暇を過ごすには適度な一冊。筆者は歴史学者ではないので、大胆な推理を展開。面白かったのは以下の内容。

 ・ 五代将軍綱吉は、身長が124センチであったことから、劣等感を持っており、自己顕示欲を満たすために生類憐みの令を出した(私はこれを信じていよいのか判断できないが)。
 ・ 16代目の家達は、貴族院議長を務め、大正3年に内閣組織の大命を受けたが、徳川一族の会議を開き断った(受けていれば、まさに徳川政権の復活)。
 ・11代将軍家斉の子ども数は57人。このうち25名が成人し、どこの大名家に押し込むかが大きな政治的課題であった(現代の感覚ではバカ)。
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任天堂

2009-08-02 17:07:27 | ビジネス(企業)
「任天堂 ”驚きを生む方程式”」 井上理著 日本経済新聞

 任天堂の歴史、強さの秘密、経営層に受け継がれる哲学、丁寧な取材・分析に基づく内容で面白くあっというまに読み終えた。

 任天堂といえば、前社長の山内博が、花札の家業を一代でゲームに特化した大企業に育てたことが有名だが、成功にいたる過程には多くの試行錯誤があったことを知った。タクシー、インスタント食品、事務機器など迷走といえる多角化路線。これらの失敗を横井軍平のアイディア玩具で乗り切り、娯楽の会社としての方向性が固まった。
 ここから、娯楽で生きる覚悟を決め、揺るがないのが名経営者として地位を不動にしたと思う。娯楽は生活必需品ではなく、常に驚き・喜びを与え続けなければ売り上げは維持できない。しかしも、商品の質は努力比例するものではなく、一瞬のひらめきが勝ることも多い。本書では、山内氏へのインタビュー結果も掲載されているが、成功・才覚をひけらかすことなく、運とソフト体質がついていたとしている。これが、任天堂という会社に沁みわたり・定着してることがすごい。

 また、本書では岩田社長と宮本専務がDSとWllを成功させる過程が詳細に記載されているが、過去の成功体験にしがみつくことなく発想を転換し、ゲーム人口拡大戦略やお母さん至上主義により、マイクロソフトやソニーという超大企業に勝っていくことは、会社の成功が経営者によることをあらためて認識させられた。

 本書は、ゲームにまったく興味のない人でも楽しく読める一冊。
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