おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

柳は萌ゆる

2019-02-24 12:59:18 | 歴史小説
「柳は萌ゆる」 平谷美樹著 実業之日本社

 戊辰戦争をいわゆる薩長史観からではなく、薩長の横暴に対し、正義の戦いを挑み死んだ者として、盛岡藩の家臣楢山佐渡を描いた物語。
 前半は仙台越訴などの藩政の混乱が描かれ、その中で民百姓の声を聞かなければならないことを学ぶ楢山佐渡。
 後半、倒幕と佐幕で藩政が揺れ動くなか、京都へ行き、西郷隆盛、木戸義隆、岩倉具視らと会談するが、攘夷をすて洋装の軍服で外国の銃で徳川への攻撃に拘泥する考え方から、藩にもどり奥羽列藩同盟への参加に藩論を統一させる。
 新政府側についた久保田藩を責めたが(秋田戦争)、米沢藩、仙台藩などが降伏し、盛岡藩も降伏。藩主に代わり、戦争の責を負い切腹。
  
 大正6年に盛岡で行われ戊辰殉難者50年祭において、原敬が「戊辰戦役は政見の異同のみ」と祭文を読み、朝敵の汚名に対し抗議して、本書が終わる。

 明治維新なのか、薩長による暴力革命なのか、江戸幕府から明治政府への政権の移動は色々な見方ができるが、本書のように小さな藩から歴史を考える視点は面白い。
コメント
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