おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

貧困大国アメリカⅡ

2010-05-30 20:23:18 | 国際(欧州・米国)
「貧困大国アメリカⅡ」 堤未果著 岩波新書

 前作はとっても興味深く読めたが、本書は個別事象に深く入り込み、それがアメリカでどの程度の問題なのかもよく分からないため、これをもってアメリカが貧困かどうかは不明。
 学資ローン、社会保障、医療、刑務所に焦点をあてて問題を論じている。たとえば、刑務所の囚人に電話交換やパソコン解体などの業務を低賃金で委託していることなどは、まさに資本主義の総本山といった話。ただし、この労働者を確保するために、ホームレスの軽犯罪者などをドンドン逮捕しているといった話はこの本だけでは信じることができない。
 また、教育ビジネスとして、民間の学資ローンが学生に過剰に貸付を行い、破産もできない学生が返済に困っている状況を紹介している。これも事実と思うが、これがアメリカの現実となるのかは疑問。世界中から多くの留学生がやってくるアメリカの教育の魅力も当然、あるはず。
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ノモハン戦争

2010-05-23 08:27:10 | 歴史(明治以降)
「ノモハン戦争」 田中克彦著 岩波新書

 筆者は言語学(モンゴル学)を専門とする大学教授。このような方の長年の広範囲に及ぶ研究により、過去の出来事が歴史の中で体系づけられて、後世に残されていくのだと思う。心から賛辞。

 私のノモハン事件の認識は、日本・ソ連の国境紛争で日本がソ連の近代的兵器の前に敗北したが、これを関東軍が国民には隠していた程度(たぶん、歴史の教科書の記述もこの程度ではないか)。

 まず、筆者はノモハン事件を「ノモハン戦争」と定義。日本・満州国軍とソ連・モンゴル人民共和国連合軍双方が大量の戦車と航空機を出動させ、4ヶ月間にわたる死闘を繰り広げ、双方の正規軍にそれぞれ2万人前後の死傷者・行方不明者がでている(確かにこれは事件ではないな)。

 そのうえで、筆者の視点が素晴らしいのは、モンゴル人に焦点をあてて、この戦争を分析していること。確かに戦闘があった場所はモンゴル人の居住地であり、満州・モンゴルという大国による傀儡政権の中でモンゴル人が独立を望み、それを許さない日本・ソ連の考えとが複雑に絡み合っている事実が明らかにされている。
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JAL崩壊

2010-05-23 08:12:12 | ビジネス(企業)
「JAL崩壊」 筆者不明 文春新書

 名前も明かさずに、自らの所属する会社の悪口をいいたいほうだい。自分ら(客室乗務員等)は何も悪くなく、経営者、組合、パイロット、管理職などが悪いという主張(パイロットは飛行中寝る。管理職乗務員の女性は7,8割独身で臨機応変の判断ができない。組合はなんでも反対 などなど)
 あまりに内容がひどい。客観性も感じられないし、会社を正しくするために内部告発をするといった正義感も感じられない。ただただ、日頃の不平不満や社内の噂話を意味なく書き連ねただけ。
 この本を読んだ人は、ますますJALが嫌いになると思う。筆者は自分の会社を良くする気持ちはないのだろうか。経営層から末端の社員まで、会社が倒産する理由がよくわかる。

 この内容の本を出版する出版社の見識も疑われる。なんか、時期的にこのタイトルなら、売れると考えたのだろうけど、さみしい。
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リンゴが教えてくれたこと

2010-05-17 21:04:27 | 社会
「リンゴが教えてくれたこと」 木村秋則著 日本経済新聞出版社

 無農薬によるリンゴ栽培に加え、米の自然栽培など、筆者自身が長年苦労した農業の経験がいろいろと記載されている。
 筆者が、無農薬・無肥料にこだわり、周囲からは理解されず、家族にも迷惑をかけながら、それでも実際の観察・努力からついに成功するまでの、壮絶な人生が語られており、凡人にはできない凄みを感じる。
 ただし、全体的に精神論的な内容が多く、どのように成功したかの具体的な内容がわかりにくい。
 読み終えたあとは、とにかく筆者のリンゴが実際に食べたくなる。どんな味がするのだろうか。
コメント (2)
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