おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

広島学

2011-10-30 18:35:27 | 島根&広島
「広島学」 岩中祥史著 新潮文庫

 書店に行ったら山積みされていた本。
 名古屋生まれの筆者が、かなり一方的な見方で広島について書いた一冊だが、広島に20年近く住んでいる私でも知らないことが多く楽しかった。
 特に広島カープについて多く記載しており、ファンが暴れて警察官60人が出動(昭和28名)、ファンがビール瓶を投げて選手が負傷(昭和31年)、ファンが暴れて機動隊が出動(昭和39年)など、広島県民のカープへの熱い行動を知った。
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世界を知る力 日本創生編

2011-10-29 15:25:25 | 政治
「世界を知る力 日本創生編」 寺島実郎著 PHP新書

 テレビドラマの「JIN-仁」、親鸞、関東大震災、原子力発電所など色々な話題が出てくるが、最後まで飽きることなく、一気に読めた。

 まず、原子力発電に関し、以下の理由から副次的エネルギーとして認める筆者の主張には共感。
  ①日本は「非核」」という立場から原子力を平和利用してきた唯一の国家。国際的な核管理・平和利用において日本の果たすべき役割は大きい。
  ②今後もアジアにおいて原子力発電所は増加することから、日本は原子力の安全利用のための技術蓄積・技術者養成をすべき
  ③原子力の安全と安定を図ることは近代主義者の責任(人類は原子力というパンドラの箱を既に開けてしまった)

 親鸞の「絶対他力」への言及も面白い。すちわち、歯を食いしばって絶対自力で突き進む人は、やがて己でコントロールできることの限界を知り、謙虚になることで大きな力によって支えられていることに気づき、絶対他力に至るというもの。

 そして最後に「敗戦から65年もたつのに戦勝国の駐留を認めている日本を独立国といえない」とむすぶ。
  
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江戸将軍が見た地球

2011-10-15 20:48:28 | 歴史
「江戸将軍が見た地球」 岩下哲典著 メディアファクトリー新書

 江戸幕府の将軍15人を切り口に、江戸時代の外交政策の変遷を描いた一冊。260年を一つの流れとして整理しており、一気に読めてとても面白い。
 今も昔も、外交というのは国益をかけた利害のぶつかり合い・調整というのがわかる。本書を通じて以下のようなことを初めて知った。

 ・ 家康は関ヶ原の戦い後すぐに朝鮮との国交回復交渉を始めたが交渉は難航し,対馬藩の宗氏は幕府に内緒で家康名で朝鮮国王に謝罪文を書いた。国交が回復するまでは、朝鮮から来るのでは「通信使」ではなく「回答兼刷還使」。これは謝罪への回答と日本から朝鮮同胞を連れて帰るという意味。
 ・ 家康に帰国を許されなかったウイリアム・アダムズは、日本人の妻を迎え2人の子をもうけ、最後は平戸で57才で死亡(息子のジョセフが所領を相続したようだが、その後、どうなったのか?)
 ・ 鎖国後もポルトガルは、1640年、1647年に貿易再開を求めて日本へ来ている(幕府、1回目に使者61名を処刑)。

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宇宙のダークエネルギー

2011-10-10 12:32:49 | 科学
宇宙のダークエネルギー 土居守・松原隆彦著 光文社新書

 前に読んだ「宇宙は何でできているのか」で紹介されていたダークエネルギー。すごく不思議さを覚えており、その記憶により購入。今年のノーベル物理学賞の対象分野となったことから、多分、今後よく売れると思う。
 
 内容は、文系の私でも第一部の「ダークエネルギーの謎と物理学」はすごく楽しく読めた。宇宙の膨張が加速している実態を論理的に説明するために考えられたダークエネルギーの理論。以下のようなことが楽しく読めた。
 ・宇宙のエネルギーは、物質4%、ダークマタ―23%、ダークエネルギー73%。
 ・ビッグバンでできる元素は、ほとんどが水素とヘリウム。その他の元素は、重い星の内部で作られたものが爆発で散ったもの。

 ただし、現状では絶対的な理論として確立しておらず、筆者自身も、現在の宇宙の捉え方が根本的に誤っており、正しい宇宙像によって作られた理論で否定される可能性に言及している。
 それでも、単純に、こんなことを考えられる物理学の人は偉い。

 
 エピローグに記載されている「まだまだ人間には発見されていない未知の世界があって、発見させるのを待っているのです」という言葉は、ロマンがあっていいな。
 
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朽ちるインフラ

2011-10-08 16:08:55 | 政治
「朽ちるインフラ」 根本祐二著 日本経済新聞社

 形あるものいつかは崩れる。高度成長期に多く建造されたインフラ設備が老齢化している現状を警告する一冊。
 公共施設(市民ホール、図書館、市役所など)の54%は建築後30年を経過しており、当然、今後膨大な更新費用が必要となる。しかしながら、多くの地方自治体で危機感は薄く、筆者は以下のような原因をあげている。
 ①国家責任転換型:国全体の問題だから、国がなんとかする。
 ②市民責任転嫁型:市民の希望に応じた結果の公共施設(補修や更新は選挙の票にならない)
 ③聖域主張型:〇〇は別(学校、公民館など、利害関係者が必要性を声高に主張)

 しかしながら、筆者の資産では、今後、50年間の更新費用の総額は330兆円、年間8兆円。現在の財政状況からして、これは絶対無理な金額。

 このため、本書では、複数の機能の一つの施設への複合化・多機能化、インフラの寿命を延ばすためのインフラマネジメント、PFIの活用などの対策を紹介している。

 政治家や自治体は、現状に目をつぶることなく、本書の警告を受け止め、ただちに戦略的に対策を講じてほしい。
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グリーン・エコノミー

2011-10-01 21:29:54 | 経済学
グリーン・エコノミー 吉田文和著 中央新書

 副題の「脱原発と温暖化対策の経済学」に魅かれて読んだが、脱原発と温暖化対策がどのように両立するのか納得のある
説明はなし。森林保全、土壌汚染の浄化、ごみ焼却など、環境問題なら何でもありという感じで総花的な内容。
 ドイツを例にあげてエネルギー政策の主張を展開しているが、フランス、アメリカ、韓国など多くの国が原子力発電所の
維持・拡大を続けていることなどもとあり上げたうえで、優劣を主張してほしい。

 筆者は、経済成長ではなく「よい生き方」への転換を主張し、「生活の質」の向上をうたっているが、私には観念的で説
得力に欠けるように感じる。日本は「失われた20年」を反省し、経済成長を目指すべきではないか。
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