おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

蒼天見ゆ

2015-11-23 18:33:45 | ビジネス(企業)
「蒼天見ゆ」 葉室麟著 角川書店

 日本で最後に親のかたき討ちをした元秋月藩の武士臼井六郎とその父を描いた一冊。父である臼井亘理が優秀であるがゆえに、藩内の政治対立に巻き込まれ、幕末最後の年に恨みをかい妻と一緒に暗殺される過程や、その後13年かかってかたき討ちを果たした息子六郎の生き様が描かれている。
 親のかたき討ちは江戸時代なら大いに褒められる行為。しかし、明治になり殺人として犯罪行為になる。それでも、時代に流されず、平和な時代に流されず、ひたすらかたき討ちのための行動した六郎。かたき討ちを誇ることもなく、刑務所に入り出所後も淡々と生活している。現代の感覚から言えば、褒められる行為ではないが、まっすぐな生き方に心を打たれた。

 筆者の創作部分と思うが、勝海舟との出会いや犬養毅との議論など、明治の時代背景がわかるように工夫されている。
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クール・ジャパン!?

2015-11-08 15:36:41 | 社会
「クール・ジャパン!?」 鴻上尚史著 講談社

 外国人から見た日本のクールが数多く紹介されている。
 数が多すぎて、途中でやや疲れるが、読んでいて価値観や視点の違いに驚き、楽しい。また、外国人も一様ではなく、国によって受け止め方が大きく違うのが楽しい。

 ・弁当という文化のない西洋で、筆者の体験した外国人の昼食が笑える(ポテトチップス、バナナ、野菜のないパスタなど)
 ・ゆるキャラは、子どもじみて西洋人には不快。でも、コスプレは個性的でカッコいい。
 ・生涯学習は未熟と受け止められる。
 ・娘と一緒に風呂に入るのは日本だけ。
 
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下流老人

2015-11-08 13:22:18 | 社会
「下流老人」 藤田孝典著 毎日新書

 日本が、既に一億総中流ではなく、多くの国民が不安定な老後のリスクを負っていることがよくわかる。
 病気、子どもの引きこもり、熟年離婚、認知症などにより、普通の人が下流老人になる時代。そして、そこで暗躍する貧困ビジネス。
 読んでいると暗くなる。

 ただ、国民みんなが老後に備え貯蓄し、国が生活保護をどんどんすれば、今度は景気悪化や財政の破綻につながる。解決策にやや疑問
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小林カツ代と栗原はるみ

2015-11-08 13:08:04 | 社会
「小林カツ代と栗原はるみ」 阿古真理著 新潮社

 わが家にも小林カツ代の料理本があり、何となく購入。
 タイトルの2人だけではなく、料理研究家なる職業の誕生から、二人の息子でケンタロウ氏や栗原心平まで、歴代の料理研究家まで解説。
 料理研究家の解説本であるが、料理研究家を通して、昭和・平成の食文化・家庭文化・女性の社会進出の変遷がよく分かる。
 「料理は化学であり科学である」との持論で時短料理を提案した小林カツ代。出した本は230冊。まさに、家庭料理に革命を起こした料理研究家。
 「カリスマ主婦」として脚光を浴びた栗原はるみ。

 料理に詳しくない私も満足の一冊。
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ドイツリスク

2015-11-08 12:46:30 | 国際(欧州・米国)
「ドイツリスク」 三好範英著 光文社

 福島の原子力発電所の事故に対する報道の比較が面白い
 筆者はドイツの報道をグロテスクと表現しているが、まさにそのとおり。花粉症対策でマスクをしている写真をアップに「死の不安にある東京」とか、事故で1万6千人が死亡とか。
 一方、英国は、日本政府の情報操作はないこと、放出された放射能はチェルノブイリよりはるかに少ないことなどを冷静に報道している。

 筆者に寄れば、これらの根底には、ドイツの「夢見る政治」すなわち過剰なロマン主義がある。
 最近ドイツは、ロシアや中国への接近が目立つが、これは「東への夢」がもたらすものとのこと。
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