頭に来てもアホとは戦うな！

「頭に来てもアホとは戦うな！」　田村耕太郎著　朝日新聞出版

　元国会議員で華麗な経歴の筆者。
　前半は、なるほどと感じる箇所が多く、ぐんぐん読み進めた。
　　・終わったことにこだわって、未来をムダにしない（やり返しても、相手は憎むだけ。負の連鎖）。
　　・戦いを挑んできた人間を「たいした奴だ」と受け入れてくる人間はいないと思え（金持ち喧嘩せず）。
　　・気まずいときこそ、無理にでも話しかける。
　
　ただし、後半はだんだん話がそれていく感じ。
　筆者の華麗な経歴にあわせ、時系列で本書をまとめてくれると伝記としても楽しいと思う。

復興の日本人論

「復興の日本人論」　河口マーン惠美著　（株）グッドブック

　サブタイトルの「誰も書かなかった福島」のとおり、総額７兆円を超える東京電力の損害賠償金の支払いにより、どのような影響を地元に与えているのか、東京電力の社員が謝罪しながら、納屋の片付けや草刈りなど、住民の方の様々な要望に応じていることなど、様々な角度から福島および原子力発電に関することを記載している。
　ここまで原子力発電賛成の意見を述べる筆者の勇気はたたえるが、原子力船「むつ」、オバマ大統領の核軍縮、日印原子力協定など、後半は福島や原子力発電所から離れた話題も多く残炎。筆者の経歴に照らし、もっとドイツのエネルギー政策の現状と日本の比較について記載してほしかった。

上司が壊す職場

「上司が壊す職場」　見波利幸著　日本経済新聞出版社

　メンタルヘルス研修などを行う筆者が、自身の経験も交えながら、問題のある上司を４つに分類し、その特徴・対処法などを解説。
　　○ 機械型（部下の気持ちをくみ取れない）　　○ 激情方（職場には敵と味方しかいない）
　　○ 自己愛型（自分は優秀をアピール）　　　　○ 謀略型（部下は自分の出世の道具）

　確かにこのような要素をいくつか持っている傾向の管理職はいる。ライン管理職に登用しないように見極めが大切

南京事件を調査せよ

「南京事件を調査せよ」　清水潔著　文集文庫

　いまだ諸説入り乱れる南京事件。本書の帯に池上彰氏の「これが調査報道だ」という書評があり購入。
　一次資料（兵士の日記）や現地調査など、色々な角度から事件の有無・内容を調査しており、興味深く読めた。結論的には、日本による虐殺はあった（ただし、何人かは不明）。
　ただ、ところどころで安倍政権への批判的な記述が唐突で記載されており（古賀氏の報道ステーション降板、反政府デモなど）、もったいない。淡々と事実を記載した方がより南京事件の真相を伝えることができる。
　

定年バカ

「定年バカ」　勢古浩爾著　ＳＢ新書

　筆者が色々と定年に関する書籍を分析したうえで、持論を述べていることは理解できるが、既存の定年
に関する書籍を延々と批判するので、読んでいて良い気分にはならない。
　結局、趣味、地域社会、老後資金などあれこれ心配せずに、自由に生きればよいという主張。

小水力発電が地域を救う

「小水力発電が地域を救う」　中島大著　東洋経済新聞社

　長年にわたり小規模な水力発電に関わってきた筆者が、その可能性について多くの実体験を交えながら解説。
　ＦＩＴ制度の導入前の苦労（許認可を得るのが大変など）と、導入後の状況変化がよくわかる。
　第８章の小水力発電の歴史の記載は、ヨーロッパ（戦後も小水力を活用）と日本（織田史郎氏のいた中国地方を除き、戦後小水力は衰退）の対比で書かれており、興味深く読んだ。