おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

ロヒンギャ危機

2021-03-06 09:56:33 | 国際(アジア)
「ロヒンギャ危機」 中西嘉宏著 中公新書

 新聞で散発的に読む程度の知識しかないロヒンギャ危機について、詳しく知りたいと思い購入。
 少し読み進めたところで、軍事クーデターが発生し、これに反対する市民が殺されているミャンマー。
 本書は、複雑なミャンマー情勢の背景がよく分かる。
 
 ロヒンギャとは、ミャンマー西部のラカイン州に住むイスラム教徒。圧倒的に仏教徒が多いミャンマーでは少数民族。古くから土着しているが、バングラディッシュ独立戦争の際に、東パキスタンから大量の難民がラカイン州に流入したことなどもあり、ほとんど国籍を持たない。
 このような状況下で民主化が進展し、多数派民族の支配による少数民族の排除が進展(民主主義のダークサイド)。
 2017年ロヒンギャの武装集団が国境警察と国軍の施設を襲ったことがきっかけに、国軍による掃討作戦が始まる。ここから、民族浄化ともいわれる殺戮と大量の難民が発生する「ロヒンギャ危機」が始まる。
 当時、国際社会はアウンサンスーチーを非難したが、本書では、アウンサンスーチーが、民族浄化を否定しただけで、国軍の残虐行為は認めており、微妙な国内情勢の中で適切な対応をとっていたことを主張。単に、ロヒンギャの帰国や犯罪行為者の処罰を求めるだけでは、決して解決しないことを明らかにしている。
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