おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

任天堂

2009-08-02 17:07:27 | ビジネス(企業)
「任天堂 ”驚きを生む方程式”」 井上理著 日本経済新聞

 任天堂の歴史、強さの秘密、経営層に受け継がれる哲学、丁寧な取材・分析に基づく内容で面白くあっというまに読み終えた。

 任天堂といえば、前社長の山内博が、花札の家業を一代でゲームに特化した大企業に育てたことが有名だが、成功にいたる過程には多くの試行錯誤があったことを知った。タクシー、インスタント食品、事務機器など迷走といえる多角化路線。これらの失敗を横井軍平のアイディア玩具で乗り切り、娯楽の会社としての方向性が固まった。
 ここから、娯楽で生きる覚悟を決め、揺るがないのが名経営者として地位を不動にしたと思う。娯楽は生活必需品ではなく、常に驚き・喜びを与え続けなければ売り上げは維持できない。しかしも、商品の質は努力比例するものではなく、一瞬のひらめきが勝ることも多い。本書では、山内氏へのインタビュー結果も掲載されているが、成功・才覚をひけらかすことなく、運とソフト体質がついていたとしている。これが、任天堂という会社に沁みわたり・定着してることがすごい。

 また、本書では岩田社長と宮本専務がDSとWllを成功させる過程が詳細に記載されているが、過去の成功体験にしがみつくことなく発想を転換し、ゲーム人口拡大戦略やお母さん至上主義により、マイクロソフトやソニーという超大企業に勝っていくことは、会社の成功が経営者によることをあらためて認識させられた。

 本書は、ゲームにまったく興味のない人でも楽しく読める一冊。
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