おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

西園寺公望

2009-01-31 16:01:46 | 歴史
「西園寺公望」  岩井忠熊著 岩波新書

 古本屋で買った一冊。
 明治から昭和の歴史の中で幾度なく名前の出てくる政治家であるが、伊藤博文、山県有朋、原敬などに比べると印象が薄く、何をした政治家なのか興味があった。

 本書はその生涯をコンパクトにまとめており、興味深く読めた。

 天皇家とかなり近い血縁関係にあった公家の名門の出身であること、20歳のとき現在の立命館大学を創設したこと、21歳から31歳までフランス留学をしていたこと、オーストリア、ドイツ、ベルギー公使を歴任していること(ドイツ公使の在任中、ドイツの食事はまずいとして、暇さえあればパリに遊びに行き、1年のうち3分の1を程度をパリで過ごしていた)など、総理大臣、枢密院議長、元老などとして明治・大正・昭和の政治で大きな役割を果たすまでの経歴を初めて知った。

 本書の最後の章は「おわりに-失敗に学ぶ」で、なぜ西園寺が戦争への道を止められなったかについて、次のような筆者の考え方が述べられている。
 ・ 19世紀のヨーロッパ諸国の帝国主義に疑問をいだかなかったこと(これを是として、日本の朝鮮・中国への侵略を正当な権益と考えていた)
 ・ 天皇至上主義で、天皇に責任が及ぶ事態を回避することが最優先で、国民大衆とはいかなる意味でも通路をもっていなかったこと

 本書を読み終え、西園寺が稀有な政治家であることがわかった。
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異形の将軍

2009-01-25 06:26:01 | 政治
「異形の将軍」 津本陽著 幻冬舎文庫

 田中角栄の生い立ちから死までのを、多くの資料をもとに描いた本で、最後までいっきに読めた。
 自分の子供のころの記憶の中では、闇将軍として絶大な権力を有している「悪者」としてしか存在しない田中元首相であるが、はじめて全体像を知ることができた。
 一兵卒として満州に出兵していたこと、敗戦のドサクサで軍需工場に関する資金を着服して財をなしたと考えられていること、10代のころから多くの仕事についていたこと、最初の選挙は落選していたこと、多くの女性と関係があり隠し子も多いことなど驚きの連続。この本を通じて。功罪両面を併せ持つ戦後政治における偉大な政治家であることがよくわかる。
 絶えず金権政治との批判の絶えない政治家であったが、ライバルである福田元首相などの東大卒・元官僚というエリートコースの政治家が、人脈・学閥・閨閥を駆使して財界から「きれいな」お金を調達できるのに対し、小学卒のたたき上げの田中角栄が、自ら資金を調達しなければならなかった点があり、金権政治を認めるわけではないが、同情すべき部分を感じた。
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メジャーの投球術

2009-01-18 13:46:55 | スポーツ
「メジャーの投球術」 丹羽政善著 祥伝社

 NYへの旅行中に読んだ一冊。余暇を過ごすのに適した一冊。
 100球制限の根拠、松坂のジャイロボール騒動の真実、報復行為の理由、不正投球(松ヤニ、冷凍保存ボール、唾)など、メジャーリーフの投手に関するおもしろい情報が満載。
 メジャーの多くの選手が、スライダーが野球を変えたという一方、イチロー・城島がともに、スライダー自体ではなく、それにより球種が増えたことが大きいという話がおもしろい。
 なお、変化球の変遷に関する解説が多いが、野球に詳しくない人間のために、変化球の内容とボールの握り方をイラストで紹介してくれれば、もっとよかった。
 いずれにせよ、とっても楽しい一冊。
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地球温暖化対策が日本を滅ぼす

2009-01-08 21:09:55 | 科学
「地球温暖化対策が日本を滅ぼす」 丸山茂徳著 PHP研究所

 二酸化炭素排出量の増加による地球温暖化は,科学的に正しくないとする文献は既に多くあるが,この著者の主張は,内容の正誤は別にしてすごい。
 主な主張は次のとおり。
・太陽活動の低下等により,地球は既に寒冷化が始まっている
・温暖化騒動は,日本を追い込むためにヨーロッパに仕掛けられた罠
・寒冷化と資源の枯渇による最悪のシナリオとして,2035年ごろに世界戦争に突入
・日本は京都議定書を離脱し,人口が5000万人程度となるように政策的に人口を抑制すべき

余暇を過ごす一冊としては面白いが,筆者(地球惑星科学を専攻する東工大教授)の専攻を超えて政治・経済などにも論点が及んでおり,また,論理がかなり飛躍しており,すべての内容を信じることは困難。
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発明品はこうして生まれた

2009-01-04 16:18:32 | その他
「発明品はこうして生まれた」 発明研究団著 ㈱マガジンランド


 身近な商品を中心に発明までの秘話がコンパクトにまとめられており、小話として面白い。
 たとえば、
  ・電気椅子は、直流システムを普及させようとしたエジソンが、交流システムのネガティブキャンペーンのために開発したこと
  ・輸血は17世紀ごろから行われているが、失敗の繰り返しの歴史で、1901年にABCOの型が発見されて成功率が向上したこと
  ・覚せい剤を発明したのは日本人で、「ヒロポン」として、戦前・戦中は多くの人が使用していたこと
  ・平賀源内はエレキテルを発明していないこと(オランダの機械を手にいれ、これを日本に知らしめただけで、静電気発生の仕組みをあまり理解していない)

 


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就活のバカヤロー

2009-01-04 15:55:11 | 社会
「就活のバカヤロー」 石渡嶺司・大沢仁著 光文社新書

 最近の大学新卒の就職状況を、学生、大学、企業、就職情報会社という4つの関係者別に解説。
 自分自身の就職活動は数十年昔となり、最近はこんなことをしているのかと、初めて知ったことも多い。
 たとえば、
 ・就職活動は3年の秋から開始(大学の勉強や卒論はどうなるのかと素朴な疑問を感じる)。
 ・就職率や大企業への就職実績などが、大学の人気に直結するため、各大学とも就職担当部署を設置し、就職活動をサポートしていること(私が大学生のときには、何もなかった)。
 ・学生に嫌われた企業は、「2ちゃんねる」などで炎上することから、各企業とも本音と建前を使い分け大変なこと。

 また、次のような実態も紹介
 ・日東駒専までなら採用に値する人材はいるが、それ以下はにないという人事担当者の本音。
 ・インターンシップは、「仕事体験」ではなく、「学生を囲い込み、他社の選考を妨害するための手段」。
 ・昼休みを3時間とるような就職担当部署のようなところでも、「就職支援に熱心」とどこの大学もアピール。

 最近の大学生の就職事情がわかり楽しく読めた。
 しかし、ゆっくり勉強や遊びに取りくめない大学生は可哀そう。
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