おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

自滅する人類 分子生物学者が警告する100年後の地球

2013-06-27 21:15:13 | 社会
「自滅する人類 分子生物学者が警告する100年後の地球」 坂口謙吾著 日刊工業新聞社

 過去の多くの生物の絶滅を解説しながら、地球という制約環境で生きる以上、人類が永遠に繁栄することはないと主張する一冊。
 確かに、巨大隕石の衝突による恐竜の絶滅や、地球全体が氷に覆われた氷河時代における生物の大量絶滅など、生態系のトップになっても、地球環境が激変すれば、その環境変化に耐えられない生物は絶命が待つ。

 筆者によれば、知的動物(人類)は、農耕文明を発達させ、史上初めて飢餓と無縁の生き物となり、無限増殖に入った。このため、既に多くの生物がこの影響により絶滅している。ただし、石油・石炭の使用による環境悪化は急速であり、今後、メタンハイドレートを使用すれば、大気の酸素濃度の低下と高温化により地上のほとんどの生物が絶命すると警告。
 ただちに人口減少に取り組むことを提言。
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大研究!中国共産党

2013-06-22 08:12:26 | 国際(BRICS)
「大研究!中国共産党」 沈才彬著 角川SSC新書

 中国人で日本の大学教授の筆者。両国をよく知る筆者が、日本人の疑問に答えるように、なぜ、中国共産党が他の社会主義国と異なり一党独裁を続けているのかなどを述べている。
 筆者によれば、中国共産党が崩壊しないのは、マルキシズムに立脚しながらも、貪欲に資本主義の手法を取り入れる「徹底した現実主義」
 ・毛沢東:農民社会である現実を踏まえ、都市革命路線をやめ、農民革命に重点。革命後、資本家・資産家を殺さず温存
 ・小平:日本・シンガポール・米国を訪問し、現場を踏まえた「白猫黒猫論」。社会主義市場経済の導入
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羽生善治論ー「天才」とは何か

2013-06-21 05:17:39 | 囲碁・将棋
「羽生善治論ー「天才」とは何か」 加藤一二三著 角川書店

 加藤一二三が羽生善治を語る。タイトルに引かれて即購入。
 しかし、内容はかなりタイトルとは違う。。。筆者自身がいかに「神武以来の天才」かが続く内容。特に最後の羽生VS加藤の3番は、加藤が2勝・羽生1勝の公式戦が紹介されており、本書の最後は加藤が羽生に勝った一番で終わり、読み終えた後に違和感。

 もっとも、筆者が自分の棋士としての過去を振り返り、戦いの中で感じてきたことをまとめたと受け止めれば、楽しい一冊。棋士はやはり自分自身を天才と思うようなところがないとなれないと感じる。また、自慢話も嫌みがなく、そのままに受け止められる。
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ある奴隷少女に起こった出来事

2013-06-08 15:44:34 | 小説
「ある奴隷少女に起こった出来事」 Harriet Ann Jacobs著 堀越ゆき訳  大和書房

 「すごい」の一言。ここに書かれていることはすべて筆者の経験した人生。
 自分の奴隷制に対する知識の薄さ、奴隷という身分の不合理、自分の人生を尊厳を持って行きぬく辛さ・尊さ、色々な感情を呼び起こしてくれる一冊。

 物として売買される奴隷。奴隷の意思とは無関係に所有者の意思で、家族バラバラに売り払われ、生涯家族の行き先も分からない。逃亡しても執拗に捜索され、見つかれば殺されることもある。現代の感覚では理解できないことが、ほんの100数年前に行われた事実。実際、その理不尽な世の中で戦いぬいた筆者の言葉・経験に裏付けられる本書の迫力は本物。

 訳者のあとがきにあるが、本書の内容は、読み書きができないはずの奴隷が書くとは思えない知的な文書、奴隷制の実態を知らない米国北部の読者の理解を超えたものであり、本書はフィクッションとして受け止められ、120年間も忘れられていた。これが歴史学者のよって発掘され、現代においてベストセラーになっている。筆者同様に波乱に満ちた本の歴史である。
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