おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

インド

2011-03-27 12:16:34 | 国際(BRICS)
「12億の常識が世界を変える インド」 長谷川慶太郎著 ポプラ社

 広く浅くインドの現状について述べた本。あたりまえだが、200ページ程度の本でインド全体(政治、経済、文化等)を語れるわけはなく、やや物足りなさを感じる。
 ただ、インドの概要はよく理解できる。
 例えば、
  ・12億人の人口のうち、25歳以下が52%(人口ボーナスによる経済成長が当分予想される)
  ・中間層が拡大する一方、1日1ドル以下の絶対貧困層が約35% 
  ・多言語国家(公用語で200語以上、存在が確認されている言語は14000以上)
  ・カースト制度による差別が依然残っている(病院の看護師が極端な分業制になったり、企業内の昇格などにも影響)

 実際に行って自分で見たくなった。
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日産式「改善」という戦略

2011-03-21 13:49:13 | ビジネス
「日産式「改善」という戦略」 武尾裕司・井熊光義著  講談社

 改善といえばトヨタ。日産と改善は結びつかず、タイトルがインパクトがあるので、すぐ購入。
 トヨタの改善と大きな違いはなく、標準化の必要性をといているが、これに気付くきっかけが面白い。1980年代半ばから、海外での生産が本格し、日本の各工場から現場指導のために熟練指導者を派遣するが、アメリカの工場が逆に混乱する。理由は、当時の日産には統一的な現場管理体系がなく、日本の各工場がそれぞれの方法で自動車を生産しており、アメリカに派遣された技術者が、自分の工場の方式を教えていたため(これを踏まえ実態を調べたら、16通りの標準作業書の存在が判明)。

 また、トヨタ出身のコンサルティング会社が多くの改善を指導しているが、日産も自らの手法で他業界の改善を指導していることを初めて知った。本書では、具体例として 惣菜屋(標準化でまっすぐなエビフライ)、ホテル(標準化でルームメーキング時間の短縮)、病院(現状をガンチャートに整理して、待合室の廃止などで、診断待ちに時間を短縮)、中華レストランをあげている。

 最後に、日産といえば、ゴーン社長の登場ですべてが変わったようなイメージがあるが、筆者は日産生産方式(NPW)が1994年に開始したことを明らかにしている。決して一人の英雄ですべてが変わるのではなく、地道な現場の努力もあることを主張したいのだと思う。
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経済学的思考のすすめ

2011-03-20 06:35:18 | 経済学
「経済学的思考のすすめ」 岩田規久男著 筑摩書房

 シロウト経済学者のデタラメを正すとして、辛坊一郎・辛坊正記氏の『日本経済の真実ーある日、この国は破産します」を徹底的に攻撃しており、読み終えた後に、後味の悪さが残る一冊。よほど腹が立つことがあったのかもしれないが、あるいは辛坊両氏の主張がデタラメすぎるのかもしれないが、ここまで徹底的に個人を攻撃するのは、やや大人げない気がする。

 もっとも、この点を除けば、経済学の考え方をシロウトにも分かりやすく記載しており、なるほど、と思う箇所も多い。帰納法による経済理解の限界を示し(例えば、中国産は安いものが多い。だから、中国からの輸入が多いとデフレになる、という主張は、日本以外はデフレがないことから破たんしている)、「仮定、演繹、命題、検証」というプロセスによる経済の理解の仕方を丁寧に説明している。
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ユーロ連鎖不況

2011-03-10 22:01:34 | 国際(欧州・米国)
「ユーロ連鎖不況」 中空麻奈著  PHP新書

 タイトルと中身は少し違い、ギリシャ危機を踏まえた日本の国債・財務問題に関する事項が半分以上を占める。
 世界でも突出した日本の財政赤字については、問題ないという意見など様々あるが、筆者は明るい未来が描けないほど深刻として、その理由を分かりやすく述べている)。
 そのうえで、ただちに財政健全化に取り組むことを主張。子ども手当についても、将来の子供が重い返済負担を被るだけとして反対し、ただちに消費税を上げることを述べている(とっても共感)。
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ユーロ 危機の中の統一通貨

2011-03-03 22:50:23 | 国際(欧州・米国)
「ユーロ 危機の中の統一通貨」 田中素香著 岩波新書

 ユーロ導入までの道のり、およびユーロ導入から最近のギリシャ危機までをコンパクトにかつ分かりやすく解説したうえで、ユーロは崩壊しないと結論づけている。
 まず、ドイツは仮にユーロを離脱しマルクを復活させれば、大幅な通貨切り上げになり、現在のユーロ安による製造業のメリットがなくなるので離脱しないとし、ギリシャについては、離脱すればドラクマが暴落しユーロ建て国債のデフォルトが避けられないとする。 
 
 なお、ユーロの加盟国ごとに、様々な分析をしているが、ギリシャについて面白かった。
 ギリシャの民主主義は、ポピュリズム政策を競っており、でたらめな経済政策。失業者を公務員にするが仕事がないので「幽霊公務員」が7割とか、53歳から年金が受給可能とか、独身の娘は親の年金を相続できるとか、あげくの果てには、財政赤字を虚偽申告し、ユーロ加盟前年の200年から2009年まで、一度もユーロ加盟の条件であるGDP比3%以下を一度も達成していない。これでは、ギリシャ危機は当然起こる。

 
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