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人は「進化」のために死ぬ   №287

2024-01-14 15:34:20 | 公認心理師
 植物は環境や条件が整えば永遠に生き続けることができるといわれています。しかし、私たち人や生物は、加齢とともに老い、死んでいくのが当たり前だと考えています。しかし、実は、クラゲの一種でわずか10ミリほどの大きさのベニクラゲは、死なないどころか、若返りさえするのだそうです。なぜ、ベニクラゲだけが不老不死で、他の生物は死ぬのでしょうか。
 生命科学者で医学博士の吉森保大阪大学教授は、LIFE SCIENCE (ライフサイエンス)という著書(日経BP社刊)の中で、人や生物が死ぬのは「進化」と大きく関係があるといっています。生き物が進化するためには、死んだ方が有利だったのではないか、死んだほうが、種の絶滅が防げるからではないか、ということです。
 もし、私たちが死なないで済んだとしたら、どうなるでしょうか。まず、子ども生まれにくくなります。死なないなわけですから、子孫を残す必要がありません。もし生まれたとしても、私たちがずっと生きていたら、「人口爆発」が起きます。食料不足で全滅するかもしれませんし、共食いを始めるかもしれません。また年寄りばかりだったら、外敵に襲われたときにすぐに滅ぼされてしまうと思われます。
 また、世代交代が行われないことになるので、遺伝子の変異による進化が起きにくくなります。世代交代がないということは、「進化」もないということです。人口爆発を避け、変異を伝えて「進化」するためには、死ぬことが必要だったのです。
 もし、私たちが死ななかったら、他の生物との激しい生存競争にさらされ滅びてしまうことでしょう。私たちは、死ぬことで人間という種を守ってきたわけです。
 人間を含めて、ほとんどの生き物はわざわざ老化するのだと考えられるといっています。老化も死と同じように、「進化」の過程で、わざわざそれを選んだ可能性が高いのではないか。なぜか、それは、「絶滅を避ける」と言う説が有力だと言われています。
 老化している個体がいると、もし集団全員が飢饉や疫病に襲われた時、先に死んだり、感染したりするのはもちろん年寄りです。年寄りが先に時間を稼げば、若い個体は逃げ延びることができるかもしれません。感染症だけではありません。外敵から身を守る時も同じです。
 人間の体は、生物学的には120歳まで生きられると言われています。そのような社会が果たして私たちにとって幸せな社会と言えるのでしょうか?あなたはいくつまで生きるのが幸せだと考えていますか?