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子どもに甘える親 〜親子の役割逆転〜 №241

2016-07-10 23:14:29 | 日記
 人は、甘えたい時に甘えられないと傷つくといわれます。甘えの欲求は、子どもが親に対して持つものばかりではありません。親もまた子どもに甘えたいという欲求を持っています。愛着理論をはじめとする早期母子関係理論を提唱したイギリス出身の精神科医ジョン・ボウルビィは、「親子の役割逆転」が子どもに与える影響について語っています。
 「愛情」というのは本来、相手を思いやることで、見返りや打算を求めないものですが、未熟で甘えの欲求が満たされていない親は、子供のために何かをすることに、子供から感謝されたいという動機を持っています。ですから、子どもが感謝したり喜ばないと面白くありません。時には、「あなたのためにしてあげたのに何で喜ばないの」と子どもを叱りつけたりします。
 年齢に関係なく、甘えの欲求を持った人は傷つきやすく、子どものちょっとした一言で不機嫌になり、怒り出します。すると、子どもは親の顔色を見て育つようになります。子どもは誰でも両親に気に入ってもらいという欲求がありますから、両親が何かをしてくれたら、たとえ、おいしくない料理でも満面の笑みで「おいしい」といい、プレゼントされたおもちゃが気に入らなくても「気に入ったふり」をして喜ばなくてはなりません。まさに、「親子の役割逆転」です。子どもが親の気持ちに配慮しなくてはならなくなっています。
 友達のお母さんの手料理を食べて「おいしかった」と、自分の母親に言える子は幸せです。傷つきやすい母親はこんなことを言うと怒りますから、従順な子はけっしてそんなことはいいません。
 「親子の役割逆転」をして育った人は、大人になってもその感情的記憶は残っているので、他人の好意を断ることができないと言われています。誰かを傷つけてしまうのではないかと恐れ、人前で自由に意見をいうことができません。そして、周囲に不機嫌な表情の人がいると自分が何かいけないことをしたのではないかと不安なります。
 私たちは、子どものためと言いながら、じつは、自分が子どもから感謝されたくてその行為を行っているのではないか、ともう一度よく考えることが大切なようです。