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おひとりさまの老後とソリチュード №203

2013-11-07 14:53:45 | インポート
 上野千鶴子さんの「おひとりさまの老後」を読みました。その中で、日本語の「孤独」という言葉は、英語では、「ロンリネス(Loneliness)」と「ソリチュード(Solitude)」という2つの言葉で表わされるという一節がありました。
 「ロンリネス」は、友達がいない、交友関係がないというような場合の、寂しいとか心細いという時に使われる言葉で、「ソリチュード」は、むしろ独りでいることが快適で、静かにくつろぐことができるというようなニュアンスで使われるようです。
 上野さんは、「おひとりさま」だからといって「ロンリネス」とは限らない。むしろ「おひとりさま」だからこそ、「ソリチュード」の人もいると言っています。趣味のサークルやデイケアセンターにでかけて寂しさを紛らわしたいと言う人もいるでしょう。独りきりで読書をしたり、音楽を聞きながら自分だけの世界に浸り、食事も入浴も就寝も誰に気を使うことなく自分のペースで生きていくことで充実感に浸れる人もいるのです。
 イシドロ・リバスというイエズス会司祭は、『同じ孤独でも「ロンリネス」と「ソリチエード」とはその意味するところはたいへん違う。両者は無関係なのではなく、むしろ深い関係があるとも言える。「ロンリネス」に陥って寂しくなる時に、もしそれをごまかさないで正面から見つめれば,多くの場合「ソリチュード」へのきっかけとなる。すなわち寂しい時に一人になって考えたり、本を読んだり、黙想したりして、深い「ソリチュード」を味わうことができるようになる。
 現代人の多くの不安と寂しさは、「ソリチュード」の時間がほとんどないところからくるのではないか。「ロンリネス」に悩んで仲間を求めるが、「ロンリネス」になるのは仲間がいないからではなく、心の底からの本当のコミュニケーションが足りないからだ。いつも他人と共にいて「ソリチュード」がないから、本当の自分を失って、本当の自分を分かち合うことができなくなってしまいる。一言で言えば、「ロンリネス」になるのは「ソリチュード」が無いからだ。』といっています。
 私たちはともすると一人でいることが不安で、さして関わりたくない人達と群れることで寂しさを紛らわせていますが、ふと我に返ったとき言いようのない虚しさや不安を感じるときがあります。あえて「おひとりさま」を選ぶこともありませんが、一人でいても、自分が世界や周囲の自然の中で人として生き、生かされていることを感じられることができるようにありたいものです。