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「なりたい職業」と「なれる職業」 №200

2013-10-21 17:03:02 | インポート
 一般的に職業選択には三つのプロセスがあるといわれています。第一段階が、「興味・関心」です。第二段階が、「能力・適性」です。スポーツに例をとってみればわかりやすいと思いますが、野球やサッカーに興味・関心があり、そこそこ上手くても、それだけではプロになれません。プロとして報酬を得るには、興味・関心があるだけでなく、高い能力や適性が要求されます。
 第三段階が、「環境因子」です。環境因子というのは、自分の成育環境をめぐる様々な要因のことです。例えば、長男であるとか、一人っ子であるとかという家庭環境であれば、保護者の面倒をみるため、自宅通勤可能な職場を選ぶということになります。また、医師や先生になりたいと思っても、経済的な要因で進学そのものを断念せざるを得ない人もいます。
 子どもの頃、「将来どんな仕事をしたいの」と聞かれると、たいがいの子どもは素直にあこがれの仕事を言うことができます。ベネッセ教育総合研究所が行った「子ども生活実態基本調査」のアンケート結果(20009年)によると、小学生の男の子が「なりたい職業」の上位は、①野球選手②サッカー選手③医師④大工、ゲームクリエイター、大学教員の順で、5年前とほとんど変わっていません。女の子は①ケーキ屋さん・パティシエ②保育園・幼稚園の先生③芸能人④看護師⑤デザイナーの順です。漫画家の人気が落ちてデザイナーがあがっています。
 同じ調査で高校生男子が「なりたい職業」は、①学校の先生②公務員③大学教員④医師⑤SEの順で、高校生女子では、①保育園・幼稚園の先生②学校の先生③看護師④薬剤師⑤理学療法士、臨床検査技師、歯科衛生士の順となっています。当然のことながら、高校生になり、自分の能力・適性や家庭環境などが客観的に把握できるようになるにしたがい現実的で安定的な志向が目立ってきます。
 問題は、能力・適性等から判断して、「なりたい職業」に就くことはほとんど不可能だと周囲の人には思えるのに本人が「現実と妥協」することなく、「夢」を追い続ける場合や、「なりたい職業」を見失い「現実逃避」してしまう場合です。
 ベネッセの調査によると、5年前に比べて「なりたい職業」が「ない」と回答する子どもの数が増加しているということです。特に、高校生男子の54%が「なりたい職業がない」と答え、5年前の調査に比べ18%も増加しています。女子でも39.3%が「なりたい職業がない」と答え、14%も増加しています。
 就職そのものが難しい時にあって、「なりたい職業」を選択する余地はほとんどなく、とりあえず「なれる職業」を選択せざるを得なくなっているというのが現実です。そこで問われるのは、「適性」よりもむしろ「適応力」といった方が良いのかもしれません。
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