エチオピアという呼び名を最初に使ったのは紀元前5世紀頃のギリシャ人であるが、ただ、今の国名が使われるようになったのは19世紀という。それまでは、この地域は有力な部族と周辺部族が混在する地域で、国家としての概念は存在していなかったというが、昔話にとっては国家概念はあまり必要のないところです。
紀元3世紀の邪馬台国がどこにあったか論争のあることと比較すると、その歴史の古さが際立っています。
・おはなしのだいすきな王さま(エチオピア)(山の上の火/クーランダー、レスロー・文 渡辺茂男・訳/岩波書店/1963年初版)
題名どおりおはなしのすきな王さまが、おはなしをきけばきくほどたくさんのおはなしをききたくなって、「もうたくさん、やめてくれ」といわせることができたら広い土地と王子の位をあたえるという。
国中の話がうまい者がやってくるが、次から次へと王さまからお話を要求され、話すことがなくなって帰っていく。
ある日やってきた百姓が話し始めたのは、穀物倉にあいていた穴からアリが麦をはこぶ話。
次の日も次の日もアリが麦を運ぶという話。延々と続く話に、王さまは、聞き飽きたとさけぶが、同じ話が続き、王さまはついに「もうたくさん、やめてくれ」といってしまい、百姓は王子になって広い土地の持ち主になる。
・はなしずきな殿さま(日本の昔話4 さるかにかっせん/おざわとしお・再話 赤羽末吉・画/福音館書店/1995年初版)
宮城県教育会の郷土の伝承がもとになっているお話。
殿さまに「昔話はあきた」と言わせることができたら、望みどおりのほうびをあげるという。
ある日、ひとりの娘がやってきて話し始めたのは、ネズミが橋をわたる話。この話も同じ繰り返し同じ話が続くので、殿さまは「昔話はあきた」といってしまい、娘はたくさんのほうびをもらってかえっていきます。
どちらも素直に楽しむことができます。単純な繰り返しだけでなく、日本版は、一息入れるごとに殿さまの「おーやれや、ずんどへいへい」とあいづつがはいるのが楽しい。
しかし、褒美が、エチオピア版では王子の位と広い土地という豪勢なものであるのに、日本ではたくさんのほうびとあるだけ。日本で広い土地を手に入れるというのは、昔話でも語れないのが少々さびしい。
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