どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

七男太郎のよめ・・松谷みよ子

2015年11月20日 | 創作(日本)
<松谷みよ子おはなし集5/松谷みよ子・作 梅田俊作・絵/ポプラ社/2010年>

 母親が亡くなるとき、頭に黒い木の鉢をかぶせたので、鉢かつぎ姫とよばれるようになった姫。

 殿様が再婚した継母は、姫につらくあたり、悪口をいいたてるので、殿様は姫を外につきだしてしまいます。

 鉢かつぎ姫が、このまま死んでしまおうと川にはいるが、頭の鉢がういて、体がしずみません。

 別の国の殿様のところにいって、事情を聞かれても鉢かつぎ姫は、なにもしゃべりません。

 しかし、かわいそうに思ったのか、殿様から火たきばんとしてつかわれることに。

 この殿様には息子が七人いて、末の七男だけが未婚。

 やがて、七男太郎は、お風呂で、鉢かつぎ姫から背中をながしてもらったときに、いつも真っ黒にすすけている鉢かつぎ姫の手が、すべすべと白くて美しいのにはっとします。
 火たきばんのばんばとしかおもっていなかったのが、若い娘と気がついて、鉢かつぎ姫を忘れられなり、自分のよめは鉢かつぎときめます。

 すると乳母がよめくらべの儀をすると、鉢を頭の上にのせた姿ででてこられないだろうと知恵をつけます。

 よめくらべの一つは、三日のうちに衣装をひとそろい縫い上げること。
 二つ目は、その衣装を着て、琴をひく。
 三つめは、よめごのたからものくらべ。

 鉢かつぎ姫は、衣装はうまくぬいあげます。

 しかし、琴をひくところで、鉢をかついだ姿でよめくらべの席にはでられないと、書置きを残して、部屋をでるのですが、七男太郎はすぐに、鉢かつぎ姫を追いかけ、「おまえがでていくなら、おれも海こえても山こえても、どこまでも一緒にいく」といいはります。

 鉢かつぎ姫がその気持ちがうれしくて泣き出し、わか殿も男泣きに涙をおとします。
 その涙が、頭の鉢にかかると、鉢がおち、天女が雲のあいだからあらわれたような、まぶしいばかりの姫があらわれます。

 
 方言がうまく取り入れられているのが特徴で、外国のものを訳したのとは、ちがった味がある話となっています。

 この鉢かつぎ姫ですが、ぼたんもしゃくやくも追いつかね、天女か乙姫様か、五色の雲にのってまいおりたよう、へやんなかさ、ろうそく百本、どっとたいたようにあかるくなったと あります。

 さらに、気立てはまっすぐだし心はやさしいし、声だってすずふるよう。

 なにか比の打ちどころがない姫さまです。

 

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