守銭奴/ロシアの民話3/アファナーシェフ・著 金本源之助・訳/2010年初版
「守銭奴」というと、うかぶのはモリエール。守銭奴というのは物語になりやすいようです。
大金持ちの商人と貧しい男がでてきます。
大金持ちが散歩していると乞食にあいます。右に出るほどのけちんぼは、またとみつからないほどの大金持ち。
乞食にはもちろん素知らぬ顔で通り過ぎた大金持ちでしたが、すぐ後ろで貧しそうな男が1コペイカをやったのをみて、きまりわるくなり、貧しい男から1コペイカ借りて、乞食にあたえます。
借りた1コペイカは、明日屋敷にとりにくるよう貧しい男にいいます。
男がやってくると、「いま小銭がない」、もういちどやってくると、高額紙幣をだして「つりをくれ」と。なかなかかえそうとしません。
もういちど男がやってくると、大金持ちの商人は、今度は死んだふりです。
男は、体を清めさせてくれと、煮え立っているやかんのお湯を金持ちの体にふりかけます。
それでも金持ちは、じっと我慢。
男はお祈りをするからと、教会についていきます。
真黒な夜、この教会に盗賊がやってきて、盗品の山わけをはじめますが、最後の黄金の剣を誰がわがものにするか、喧嘩をはじめます。
男は「死人の首を見事にはね落とした者が、剣を手に入れたらいい」と大声。
これを聞いた金持ちが、首を落とされては大変と、はねおきると、盗賊たちは宝物を放り出し、一目散に逃げてしまいます。
盗賊が残していった宝物は、二人で山分け。
結局、金持ちは、小銭の1コペイカも返さずじまい。
金持ちは、ここまで徹底しないとなれないし、さらに幸運にもめぐまれます。
昔話では、金持ちはもともと損な役割ですが、きまりわるくなって乞食にあたえるというあたりが、人間的でしょうか。
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