からいもとどろぼう/脚本・さえぐさひろこ 絵・高部晴一/童心社/2018年(12場面)
むかし、肥後の国のたすけが、薩摩の国へ荷物をはこび、その家の夕飯をごちそうになったときのこと。
はじめて味わう食べ物はじつにおいしく、おじいさんに聞くと、それは「からいも」で、ひでりでも畑いっぱいに育つという。
たすけのところは、ひでりで 米も麦も不作で こどもたちも はらぺこ。苗をもらって 育てたら助かると思い、苗をゆずってもらおうと思いましたが、持ち出し禁止で、見つかったらころされてしまうという。
つぎの日、船で帰ろうとするとき、おじいさんは、娘さんのために買った手毬を たすけに 持っていくよう 話します。役人の目を あざむいて おじいさんがくれた手毬には、よくみると葉のようなものが。
苗を植えると、雨も降らず 暑い日が続いても からいもは 元気にそだっていきました。やがてツルがぐんぐん大きくなり ちいさな花も つきました。ところが 実はひとつもなりません。
たすけがあきらめかけたころ 野菜を狙った泥棒が やってきました。泥棒は 葉っぱの下やあいだをひっしに 探しましたが なにひとつ なっていません。
みんなが、泥棒にきがつき、追いかけると みごとに たおれました。追いついたたすけがよくみると、泥棒の足に からいもの ツルがからみつき、その先には たくさんの「からいも」が ついていました。
「からいも」は、土のなかになるものと知った たすけは、泥棒のおかげで 「からいも」が 見つかったと、泥棒を許し、からいもをふかし みんなで 食べます。それからどこの畑でも 「からいも」が つくれるようになり こどもらも おなかを すかせることが なくなりました。
「からいも」は、サツマイモのことですが、事前に話した方がいいのか オチとして最後まで取っておくほうがいいのか悩むところ。