麦畑のみはりばん/ベス・フェリ・文 テリ-・ファン&エリック・ファン・絵 よしい かずみ・訳/化学同人/2022年
麦畑の見張り番をしている案山子。収穫が終わっても立ち続け、やがて冬。だれも ともだちはいません。
季節が進み、麦の穂が緑色になったとき、目の前に なにかが ぽとんと おちてきました。かわいそうに カラスのひなでした。巣から落ちたか、翼が折れたのか?
案山子は思わず、せなかの さおを ぼきりと おって ゆっくりかがむと、ひなを すくいあげました。案山子は、ひなを ほし草の むねに かかえ、ここでやすんでいいんだよと、すっかりひなに 夢中になり。子守唄もうたいます。ふたりは、とても気が合い、友達になると、カラスのひなは すくすくと そだっていきます。
やがて夏のある日、カラスは案山子のもとから旅立ちます。秋になり、冬の寒さの中で、案山子は またひとりぼっち。
どれぐらいたったでしょうか。麦の穂が緑に色づくころ、あのカラスがやってきて、おれた さおを なおし とびでたわらをととのえてくれました。
「ずっと ここにいるよ」といったカラス。春には、カラスは、二羽になり、案山子に見守られ、子育てもするようになります。
四季の移り変わり、ハチ、チョウ、トンボなどの生き物もさりげなく描かれ、やさしい絵が つづいています。
ただ、つっこみどころも。キツネやシカ、カラスの見張り番しているはずなのに、最後のページでは、キツネもネズミ、シカとも なかよしになっています。