入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’22年「夏」(41)

2022年07月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 穏やかな夕暮れがまた牧に戻ってきた。気温20度、薄く引き伸ばした真綿のような雲と、青空、そしてその下方に灰色の重たげな雲の塊が幾つか浮かんで見えている(この呟きときょうのPHは関係ない)。
 梅雨という病からまだすっかり回復は出来てはいないような空模様だが、それでも短い夏の到来を感じさせてくれている。左手後方、後立山の辺りから手前に広がる広い雲海の上に穂高の峰の一部が見える。
 正面には東の車山から霧ヶ峰の平原が、そしてさらにその向こうにも平板な美ケ原が北方の空間に広がっている。
 毎夏、二つの高原には都会の夏とでも言いたくなる華やかな雰囲気が誕生し、十代の田舎者の目を眩しくさせてくれたものだったが、しかしそれもすでに半世紀以上も前の記憶で、今のことは知らない。

 囲いから第1牧区へ移した牛たちは、和牛とF-1が同じ畜主の群れに加わり、他は囲いの中で出来た仲間、2頭のジャージーを含む乳牛の群れに1頭だけ和牛が入ってもう一つの群れを形成している。こういうふうに2群に別れた方が牛たちにとっても気が楽で、特にホルスやジャージーは横暴な和牛に気兼ねなく過ごすことができるだろう。
 囲いの中の囚われの鹿は脱出の機会を逃し残留した。その鹿が、再度仕掛けに触れる可能性を想定の上で、一昨日に罠を仕掛けた。そしたら、今朝罠のゲートが落ちていた。やはり、囚われの鹿に邪魔されたのかと思ったらそうではなかった。まだ頭数は確認していないが、少なくとも罠の中に5頭は鹿の姿を数えた。そのうちには落ち着くだろうが、今は脱出できそうな場所を必死になって探っている。警戒心も強い。このまま週末まで置いておくには、いつもながらのことだけれども少々逃亡の不安を感じる。
 
 牧の朝はその冷涼な大気が人を清新な気持ちにさせ、そして夕暮れの牧は、一日の終わる安らぎに満ちた深い平安に誘ってくれる。どちらに軍配を上げたらよいかと迷うところだが、それでも夕暮れの牧の、あのえも言えない寂しさの混ざる空白感の方を、わずかな差だが推す。
「満点!」と叫んで昨日、最後に2名の女性が帰っていった。きょう旧知の一組の夫婦が帰れば、またここには誰もいなくなる。いや、と思っていたら、きょうからまた1名の外国人の予約が入っていたことを思い出した。
 撮影、キャンプ、牧場と忙しい対応がしばらく続いた。そして朝夕の甲乙つけがたい爽快感をようやく味わえる短命な季節を迎える。昨夜も夜中に夏の星座を眺めた。

 キャンプ場を含む「入笠牧場の宿泊施設のご案内」は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。 

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