入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

山室川の聖人のこと

2013年07月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 天気:晴れ、気温:25度C

 此処へは毎日標高差1,100メートルを登る。片道約1時間と少々、40キロの道のり。

 途中、山室(やまむろ)、荊口(ばらぐち)、芝平(しびら)という山奥の集落を通過する。山室川を渡る手前に、大きな総二階の家があり、かつてはこのあたりも養蚕が盛んであったころの面影が残る。しかし今は、典型的な過疎地。

 荊口で見かける年の頃80歳を過ぎた小柄な老婆、2,30坪ほどの畑に出てよく野良作業をしている。ご主人には先立たれたのだろうか、いつも一人でいる。足が悪いようで、小さな乳母車に頼ることもある。さして肥沃とも思えぬ土地を春から草をむしり、種を撒き、丹精込めて野菜を育てている。今朝はインゲンを収穫していた。

 そういう姿を目にする都度、癒される。ありがたさのような気持ちがわいてくる。もう大方のことは済んで、いつお迎えが来てもいいというふうに見えてしまう。格別の楽しみがあるでなく、朝起きて野良に出て、小さな体を動かし、夜が来れば寝る、それだけの毎日が続く。大地の恵みだけで暮らし、不満も執着もなく、達観している人に見える。

 一度声をかけてみたい誘惑を、まだ抑えている。


 Jaxaの入笠山光学観測所
 
                  夏の雲とダケカンバ
                  

 
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