ひとつずつ、色々なことが変わっていった。
母が、テレビを見なくなった。
私が子供の頃から、母はよくテレビで洋画をみていた。
クリント・イーストウッドをみた時、将来必ず売れる
と思ったそうだ。
だんだん、字幕の洋画を見なくなり、
テレビがついていても、寝ていることが多くなった。
そのうち、気に入った番組の時だけテレビをつけていたが、
それもなくなった。
そして、あんなに明るく、冗談も必ず言ってた母が
笑わなくなった。
私が、魔法の力と思っていたものも、
効かなくなっていた。
新潟に住む母の姉との電話、
姉や孫の訪問。
私の手作りパン。
まわりの皆が、母のためにと下さったもの。
いろいろ考え、思いついた。
朝になると、私は蒸しタオルを母に渡し、
手鏡を持たせ化粧水、乳液を差し出した。
すると、母の症状は途端にシャッキッとし、
鏡を見ながら丁寧に1本ずつしわに染込むように
化粧水を塗りはじめるのだ。
母が動けなくなってしまい、この日課は中断してしまった。
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