「小さな政府(小泉構造改革)」=格差社会

格差問題を中心とした考察 ※コメント、トラックバックは受け付けません

安倍新内閣の所感 その2

2006年10月18日 | 安倍内閣
安部内閣で次に気になったのは、経済財政担当大臣に就任した「大田弘子氏」(一橋大卒、政策研究大学院大学教授)。

竹中平蔵の「私的懇談会の座長」を引き受けるなど、基本的に竹中氏と方向性は一緒なんだろうな、現実の経済を知らないで机上の理論の人なんだろうなという感じがしている。

他に気になるのは、財務大臣「尾身幸次氏」(一橋大卒、通産官僚出身)が就任したこと。

この方に関しては、平成9年当時「サンデープロジェクト」での話が忘れられない。

第二次橋本政権下、尾身氏の甘い景気見通しに詰め寄る司会の田原総一郎氏に対し、尾身氏は「桜の咲くころには景気は回復する」と言い切っていた

しかしながら景気は回復するどころか、悪化の一途。 その後も「景気は参院選のころから着実に回復する」とか、いい加減な見通しを繰り返した政治家である

結果は、三洋証券北海道拓殖銀行山一証券などの倒産により経済は大混乱し、参院選も自民党は大敗退となったのである。

当然の事ながら、政治家は選挙以外に責任は問われることがないため、尾身氏からはお詫びの言葉など聞くことはなかった。

それどころか、小泉内閣で沖縄及び北方対策担当大臣、科学技術政策担当大臣に抜擢され今回、また財務大臣とは!

こんな先見性のない政治家が主要閣僚、しかも経済閣僚でよろしいのかなと思うのである。


【平成10年4月国会答弁から抜粋】
■国務大臣(尾身幸次君) 景気の回復時期について、私がこれまで申し上げてきた発言に関する御質問がございました。私は、桜の咲くころに景気が回復軌道に復帰し始めると申し上げてまいりましたが、これは、昨年末から本年初めに見られた金融システムについての不安感が金融システム安定化対策等の実施によりほぼ解消してきていることや、三月まで続いた早期是正措置を控えての貸し渋りが四月以降緩和されると期待されることに加え、十年度予算及び税制関連法案などの予算関連法案のほか、電気通信事業、労働者派遣事業、土地の有効利用などに関する規制緩和の法案が四月から五月にかけて順調に成立することになれば、経済は次第に順調な回復軌道に復帰し始めるということを期待したものであります...

安倍新内閣の所感 その1

2006年10月18日 | 安倍内閣

山口県8人目の首相として安倍総理が誕生したことは、山口県人としては喜ばしいことである。
しかしながら、組閣初日において早くも気がかりなことが3点ほどあった。

最も気になったことは、いきなり「総理自身の報酬を3割カットし、閣僚の報酬を1割カットする」と表明したことである。

「成長戦略を実施し、さらに無駄遣いを省き歳出削減も進めていく」とも発言している。

これは、「増税の前に歳出カットを断行する」という姿勢を強く打ち出したかった、ということであろう。
今後「公務員の給与もカットするぞ」という意思表示だと思う。

ただ、この場合、カットした人件費分のお金を確実に世の中に回せば良いのだが(例えば、若手の臨時職員を増やすとか、公共事業を増やすなら確実にお金は回りる)、単純に人件費分を削減ということであればGDPは下がり、結果、税収も連れて下がることとなる。

無駄遣いを省いて、他の必要なところに歳出しないということでは、成長戦略にならないのである。
「歳出削減すれば良い」ということであれば、前内閣の基本的考え方となんら変わらない。

この考え方は、経済学の基本である「合成の誤謬」を理解できていない経済運営だといわざるを得ない。

「ミクロの世界で正しいことが、全体でも正しいはず」と考える経済運営が続いていくわけである。
「企業経営と国家運営は違う」と認識しなければならない。

多くの企業がリストラで利益を上げても、その一方で多くの企業が倒産し、失業者や自殺者は増えるのである。

ただし、今回のように輸出企業を中心とした景気回復があると、全体でも正しかったような錯覚(構造改革は成功した、成功し始めているという錯覚)に陥いることになるのである。

「内需の不幸を外需の幸が埋めて余りある」状況
「国外で車は売れるが、国内で車は売れない」状況
「愛知(トヨタ)には仕事があるが、沖縄、青森、島根には仕事がない」状況

やはり錯覚は錯覚である。
地方の政治家、経済学者の方は頑張ってくれ!

※「合成の誤謬」現実の例 【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】 現実の経済政策決定においては合成の誤謬を考慮しなかったために思う結果が出なかったことがある。 ・世界恐慌において、それまでどおりの均衡財政を維持しようとしたアメリカ政府は、自らの歳出削減による経済縮小と歳入減少に苦しんだ。 ・1990年代の日本において財政改革で増税をした結果、景気が著しく悪化しかえって財政構造が悪化したことがある。 これは財政が経済に占める規模が大きいため、一家計や一企業の収支を改善する方法が通用しないことを示している。