昨夜から冷え込んでいたが、予報どおり寒波がやってきた。今朝は―3度か、朝から北風が強く、晴天なのに寒い1日だった。そして、今日はあまり縁起の良くない日でもあった。
朝、スイミングプールへ行く途中のこと。市の職員らしき服装の人が道端に屈んでビニール袋を手に何やらやっている。私は遠くがよく見えないのでだんだん近づいて行って初めて分かった。「あっ!」 思わず顔をそむけたがもう遅い。私の視界の中に、大きな三毛猫がぐったりしているのが見えた。車にひかれたのだろう、少し血が付いていた。
この道は国道ではなく、うちの前を通って山沿いにある大きな工場の敷地で行き止まりになっている。片側は海で山側に人家が並んでいて、工場へのトラックと従業員の車しか通らない道なのだ。どの車もそれほどスピードを出さないのに、それでもはねられて死んだのか。あの大きさからすると大分年を取った猫で運動神経が鈍くなっていたのかもしれない。朝から見たくないものを見て、ちょっと嫌な気分になった。でも、ぐったりした重い猫を袋に入れるのに苦労している人は、仕事とはいえやりきれない気分だったろう。
その後、プールの送迎バスに乗ってしばらく行くと、右手の海を見ながら隣の人が「このあたりかなあ?」という。「何ですか?」と聞くと、21日の夜だろうか、このあたりで男性が入水自殺したそうで、翌朝から船やヘリが飛んで大掛かりな捜索が行われたという。だが、24日の今日になってもまだ遺体は見つからないそうである。
そうか、あのヘリだったのか。22日、朝9時前からヘリが低飛行で行ったり来たり、入り江の周辺を飛び回っていたので、何事だろうかと写真を撮って、22日のブログに雲の話題のついでに載せたのである。知らぬこととはいえ不謹慎であった。
昔から自殺をする人は靴を脱いでそろえて置くというが、この男性も靴をきちんとそろえて、免許証など身元が分かるものも置いていたという。場所は、ちょうど私の家からは島が影になって見えないが、カキ筏がたくさん浮かんでいる入り江である。このあたりは波が穏やかで2日や3日で外海に流されるとは思えないのだが、いまだに見つからないというのはどうしたことだろう。
聞けば、まだ40代の若い男性だというが、何を思い悩んでいたのか。こんな話を聞けば何やら切なくなってくる。今の世の中、誰しも先の見えない不安に生きる気力を失いがちだが、この男性の追い詰められた心中は余人には分からない。1日も早く遺体が見つかるよう祈るばかりである。
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