つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

元静岡大生に無期懲役の判決・・・

2006-06-14 | Weblog
 「被告人を無期懲役に処する」。6月12日、静岡地裁の判決公判で、女性2人を殺害した元静岡大生・高橋義政被告(26)に無期懲役の判決が下りた。
 静岡市で昨年1月、脳神経外科医院の2階にある健康関連商品販売店の女性従業員2人を殺害、現金を奪った事件で、強盗殺人などの罪に問われ、死刑を求刑されていたが、「責任は極めて重大だが、当初から強盗目的だったわけではなく、犯行に劣悪な成育環境が影響していることは否定できない」として、無期懲役が言い渡された。
 よくある凶悪犯罪の判決で、格別注目すべきでもないが、ただ、判決内容にある「劣悪な成育環境」とはどういうことか、この被告の生い立ちに興味をひかれた。
 判決では、幼少期に受けた激しい虐待に言及しており、被告は、幼児から中学生の頃まで、父親から日常的にすりこぎ棒やまた板などで殴られ、首に縄をつけられて引きずられたり、冬に服を脱がされて家の外に出されたこともある。その反動か、被告は弟にしつけと称して体罰を加えるようになり、家族から追い出されるように一人暮らしを始めたという。裁判長は「父親への恨みと、母親に対する愛情の渇望感を心の中に蓄積し、周りの人間への憎しみの感情を精神的な支えにするようになった」と指摘した。
 事件発端の、亡くなった知人の女性は、彼にとってどのような存在であったのか。おそらく母の愛情に飢えていた彼は、その女性に母の姿を見ていたのだろう。そして、その女性の死によって、唯一のより所を失い自暴自棄になった……。
 十分な両親の愛情を受けることなく、その上激しい虐待の中で成育した彼が、道を誤ることなく最高学府へ進学を果たすまでの軌跡はどんなものだったのか知りたい。
 彼は判決の直前に、極刑を覚悟していたらしく弁護士に荷物の処分を頼み、被害者への金銭的な補償も申し出ていたというが、両親の協力がなければ補償など無理なことである。自分達の責任が皆無とはいえない両親は、現在の彼をどう見ているのだろうか。加害者の家族の立場は、社会的に相当厳しいものであり、いつも家族への同情を禁じ得なかったが、この事件に限り、そういう気持ちにはなれない。
 何があっても、身を挺して守り養育すべき親が、彼にとっては憎しみの対象であったとはとても悲しいことである。十分な愛情ある養育を受けることなく成育し、これまで苦労したであろうに、たった26歳の若さで社会から隔絶された塀の中で、これから贖罪の日々が始まる彼に、罪は罪として、少なからず人間的に哀れさを感じる。

 ついこの前までテレビの広告公共機構のCMであった「命が大事だと何千何万回言われるより、ただ一人の人にあなたが大切だと言われたら、それだけで生きてゆける」というこの文言に、自分が愛されているという事実を求めている若者の心の叫びのようなものを感じていた。
 また、新聞の投書欄に「尊敬できる人母親で幸せ」という学生の文が掲載されていたが、こう言える本人も、言われる母親も、なんて幸せだろうと思った。世の中がすべてこういう親子であれば、争いごとは起こらないだろうに。
 人間形成には、いかに幼少期の環境が左右するか、両親の愛情がいかに大事かが分かる。そして、人間自分一人では生きられないということも。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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高校時代 (高校の同級生)
2006-07-16 01:28:05
彼は英語が得意で数学は毎回赤点でしたよ。

一度、告白したことがありましたが、見事に振られてしまいました(笑)
コメントありがとう (オールドレディー)
2006-07-16 07:26:45
 英語が得意で数学が赤点、いいじゃないですか。数学が得意な人ってなんだか苦手です。

 貴女の告白を受けて恋の花を咲かせていれば、彼の人生も大きく変化していたでしょうに、人生の転機を見極めることは大事ですね。

 

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