はたから見ただけでは分からない・・・

　午前５時50分、黄金色に輝く東の空、美しさにうっとり！

　先日、近所の知人から聞いた話。「Ｎさん家の奥さんはすい臓がんで、もう手術もできない状態なんだって…」と。Nさんは同じマンションの住人である。そういえばもう長いこと姿を見かけないなあ。もっとも私は朝の散歩以外は全くと言っていいほど外に出ないから、同じマンションでも顔を知らない人が多い。
　それから何日か後、久しぶりにNさんのご主人と出会った。「奥さんはお元気ですか」「ええまあ、持病があるので…。先月も京都の病院へひと月入院しました」と。そういえば昔、白血病ではないが血液が作れない難病だと聞いたことを思い出した。
　「食事の支度や洗濯など、ぼつぼつやっているがすぐに疲れる。ひざ関節痛もあり、動かないと歩けなくなるから心配している」とNさんはいう。難病に苦しんでいるのは間違いないが、すい臓がんだなんて誰が言い出したのか。人のうわさは話半分に聞かなきゃあネ。
　また、早朝散歩で出会う近所の老夫婦。最近、奥さんの姿がみえない。「奥さんは？」と聞くと、「長男がちょっと具合悪くて…」という。知らなかった、聞いてびっくり。難病でもう何年も家に引きこもっているとか。そんな大変ことをさらっと言われて、聞く方が驚いた。
　そしてマンションの清掃担当の女性は60歳になったばかり。子どもがまだ小さい時に離婚、その後乳がんを発症、手術。２人の子どもはそれぞれ結婚し、今は一人暮らしだとか。先日の健康診断で腎臓に異変があるとかで検査中。おまけにひざ関節が痛くて…と、この人も笑いながらケロッとして話すのには驚いた。
　他人からは幸せそうに見えても、みんな何かしら問題や悩みを抱えているものだ。が、それを不幸だと嘆くでもなし、さらっと口に出せる精神力の強さ、明るい人柄には敬服するほかない。
　みんなそれぞれ大変な思いをしながら生きているのに、私は足や腰の具合が悪いくらいで愚痴をこぼすなんて、とても贅沢なことだと思った。
　腰痛はおさまった。明日は暖かい朝になるそうだから「ばあ散歩」に出てみようかな。以前のように歩ければそれでいい。それ以上の贅沢は望まないことにしよう。　
　ネットで見つけた言葉、「上を見てもキリがない、下を見てもキリがない！　自分の幸せの尺度を持とう」。私の幸せの尺度は“今”であることを肝に銘じよう！