この国は金持ちと貧乏人に分断された・・・

　「現代ビジネス」サイトに、『この国は金持ちと貧乏人に分断された―第２部』“新・貧困層はこんな人たち　日本人の６人に一人が貧乏で７１人に一人が大金持　新・富裕層と新・貧困層の対決が始まった！”という記事があった。　　 
　興味をひいたのは、厚労省「平成２３年賃金構造基本統計調査」を基に算出された平均年収ランキングという表である。当然のことながら東京都が第１位。以下ベスト９は関東以西、それも近畿地方までの主要都市で占められ、関東以北の都市は茨城県１県だけである。反対に、ワースト１０では、沖縄県が１位、東京都から北や南へ遠く離れて行くにつれ年収が低いという、おかしな格差現象が見える。
　　
　まったくの余談だが、先日のスポーツ記事に、ヤンキースに移籍したイチロー選手は、セントラルパーク近くに豪華なアパートを借りたとあった。そのこと自体は別に何でもない話だが、その１ヶ月の家賃が、なんと沖縄県人の平均年収とほぼ同額の約３２０万円だというのには驚いた。　　
　また、イチローはワシントンにある豪邸を売りに出しているという。写真は、売りに出されている「イチローの家」らしいという内部写真。まるで超一流ホテルのような豪邸である。
　　
　　
　　
　
　イチローは引退しても、年俸の分割分「１５０万ドル×年利５％」ずつが５９歳になるまで支払われるという。また、６０歳になると、ＭＬＢの生涯年金２０００万円を死ぬまで受け取ることができる。これはイチロー自身が稼いだ、自分の実力と努力の代価である。おそらく、イチローのようなアメリカンドリームを手に入れた日本人選手はもう二度と現れないだろう。そんなイチローと比べるのは極端すぎるということは百も承知だが、アパートの家賃１ヶ月分で１年を暮らす人もいるというこの現実、天と地ほどの超格差になんともやりきれなさを覚えるのである。　 

　記事中に、【５億円以上の金融資産を持っている富裕層を『ビリオネア』と呼んでいますが、２００９年に２万６３２６人だったのが、２０１１年は３万４８７９人と増えています。その多くは医療法人や弁護士事務所を経営している。代々の資産を受け継いで、それを大きく殖やしている方も多いです。】とある。
　お金持ちがお金を増やそうとすると、投資額の桁が違うから、自ずと利益額の桁も違ってくる。貧乏人は元手がないから増やそうにも増やせない。わずかのお金を投資しても儲かる金額は知れている。要するに富が富を生み、お金持ちはもっとお金持ちになれるのということである。 

　そして、富裕層と貧困層には教育にも格差が生まれるという。つまり、親の年収が高い家庭の子どもほど学歴が高いというのである。個人の努力よりも、生まれによって社会階層が決まるのでは、将来への希望も持てなくなるだろう。いくら努力しても、どんなに真面目に働いても生活はどんどん貧しくなってゆく。「働けど働けど　我が暮らし楽にならざり　じっと手を見る」という切ない歌を、今の世に実感させられるとは…。 

　こういう状況を政治家たちはどこまで認識しているのか。選挙を先に延ばしたい民主党、早く選挙をやりたい自民党、どっちもどっちである。民主党にいても落選するかもしれないから離党しようか。だが、小沢新党に入っても同じだ。ならば、どこにくっついたら生き残れるか。消費増税反対、脱原発も生き残りたいがためのお題目に過ぎないと、国民はみんな知っているよ。
　今、日本を託したいと思う政治家は１人もいない。選挙があっても書きたい名前がないとなれば、どうしたらいい？