片雲の風に誘われて

自転車で行ったところ、ことなどを思いつくままに写真と文で綴る。

7/5 橘玲『ダブルマリッジ』読了

2024-07-05 21:48:08 | 読書

 橘玲のフィクションは初めて読む。今まで社会評論の類はたくさん読んでいる。彼はこれらのジャンル以外にも金儲けの本もたくさん書いているようだ。

 この小説は、大手商社の部長で同社中興の祖と言われる男の孫娘と結婚して出世のラインに乗っている男とその娘が主人公だ。男は結婚する前にマニラに駐在したことがある。その時夜の世界で少女と出会い、現地で結婚式を挙げた。その後、現地の女性に入れ挙げていることで本社へ帰任を命じられマニラを離れる。帰任してからは忙しさに紛れ彼女のことは忘れる。前述の女性と結婚して娘を設ける。男がパスポートの更新で戸籍をとったところ、マニラ時代の女性の名前が配偶者の欄に記載されている。妻は戸籍が乗っ取られたと友人の弁護士などに相談する。男はかつてマニラで結婚式を挙げたことは話せない。そのうち若い男の名前が息子として記載される。戸籍の本人の承認なしに他人が同じ戸籍に入ってくるのはおかしいではないかと市役所の戸籍係に文句をいうが、マニラで日本大使館にフィリピンの婚姻制度で結婚届が出されれば日本でも自動的に戸籍に記載されるなどの行政手続きについて著者らしい説明がなされる。

ファッション雑誌の読者モデルなどをして浮ついた生活をしている女子大生の娘は突然現れた腹違いの兄に興味を持ち接触する。兄を通してその母、かつて父親と結婚した女性にも興味を持ち、マニラの貧民街まで訪ねたりする。この貧民窟の様子や成り立ち、フィリピンの社会システムなどこれも著者らしい細かさで記述される。さすがだと思うが、小説として人物描写、状況描写は細かさを欠くように見える。しかし、話の筋はひきつけて離さない場面が続き、昼過ぎに読み始めて読み終わったのは日付の変わった深更に及んだ。

 朝になって、娘からモンタロウの咳がひどく新幹線に乗せられない。迎えに来れるかとラインが入った。昼前に妻と出かけた。娘のアパートのパーキングが混んでいたので、部屋にも入らず娘たちを乗せてすぐとんぼ返りだ。

コメント
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