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マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

マレーシア人の姓名の付け方を知っておけばコミュニケーションの一助になります

2011年02月19日 | マレーシア生活の案内と知識
マレーシアにロングステイするようになれば、日本人コミュニティー内だけで暮らすという方たちを除いて、多い少ないの差はあってもマレーシア人の知り合いができることになります。

ロングステイを始める前にまたはマレーシアマイセカンドホームプログラムに申請する前にマレーシアで体験滞在される時から、友人・知人関係までに発展しなくてもマレーシア人と会話することでちょっとした顔見知りの関係になることがでてくるはずです。そういう時、互いに名前を知るために自分の名前または呼び名は何々と名乗りあうことになりますよね。その際名刺をもらうこともあるでしょうし、口頭だけで聞かされる場合もあるでしょう。

そんな時マレーシア人の姓名のあり方を知っておくと、いくらか覚えやすいしちょっとした親しみもわいてくると思います。そこで今回は、マレーシア人の姓名の基本を説明しておきます。なお文章の基にしているのは、ずっと昔「今週のマレーシア」に載せたコラムです。

【マレーシア人は民族によって異なる氏名法を持つ

姓名の付け方は世界各民族によっていろいろ慣習、規則が違いますから、家制度に基づく日本の氏名制度をそのままあてはめられません。ですから田中家の子供はすべて田中姓を名乗るということにはなりません。
そこでマレーシアは多民族社会且つ複数宗教ですから、氏名の付け方もそれぞれ固有の民族スタイルまたは取り入れた方式があります。

【マレー人はムスリム式であり、子は父親の名前を継ぎ、女性は改名しない】

まず最大民族のマレー人は即ムスリム(イスラム教徒)ですから、イスラム教世界で多数派(だと思うのですが断定は避けます、アラブ式といった方がいいかもしれません)の氏名法を取りれています。命名方法は、名+父親の名前 というやり方です。

例:Hazlinda Mohamad Hashin という娘は名が Hazlinda であり父親の名前 Mohamad Hashinが加わっています。また Shariff Yusofという父親はその息子に Zabidiと名を付けると、息子はZabidi Shariffという名前になります。また身分証明書のような公的書類上では、名+父親の名前の+の所に、アラビア語起源の息子なら bin、 娘なら binti を加える必要があります。つまりMahathir bin Ibrahim`の場合は Ibrahimの息子である Mahathirという意味を明確にしているのです。これは中には男にも女にも使える名前があるのもその理由だそうです。

子供はすべて父親の名を継ぎ、母親の名前が子供の名前に現れることはありません。つまり厳密な意味で言えば姓、英語で言えばSurname、というものは存在しません、そういう概念がありません。もちろん有名なRazak家は代々Razakを繰り返して使うとか、ある一族の流れとして何々一族は存在しても、例えば日本でいう何々家の氏を守るということはないはずです。そもそも家名がありませんからね。

ですからある女性が何々家に嫁として嫁いで(注)改姓するなんてことはありません。マレー女性は結婚しても、その名前、つまり自分の名+父親の名をそのまま使いつづけるのです。但し例外はあるそうです。例えば Aminah Abdullah が結婚すれば Puan Aminah アミナさんと呼ばれます、PuanはMrs.の意味です。ただし西洋風に呼ばれたい人もいるようで、そういう場合はPuan +夫の名 ということになります。つまり誰さんの夫人ということです。

注:嫁とか嫁ぐという言葉と思想は私は嫌いで使いたくありませんが、ここでは仕方なく使っています。

以上のようにマレー人は氏名の頭または頭の2つ(3つもありえるでしょう)にその人の名を示しますから、丁寧に呼ぶ時にはその名に男ならEncik、女ならCikを付けて呼びます。例:Suhaimi Rahman(氏)なら Encik Suhaimi です。Roslina Abu Bakar(嬢)なら Cik Roslinaですね。

なおマレーシアのイスラム法では、結婚登録をしていないムスリムカップルの子供は父親の名前を継ぐことはできません。この場合母親の名前を継ぐか、またはAbdullahという名を + の後に付けます。

【華人は伝統的中国人方式】

マレーシア華人はいうまでもなく伝統的中国人氏名法を使っています(もっと正確には漢民族の氏名法というべきでしょう)。

例:陳美齢 は陳王命の娘であり、劉青雲は劉添民の息子なのです。 女性の林淑平が謝満平と結婚しても姓は変えません、ただ謝太太つまり謝さんの夫人という呼び方はあります。子供は男女にかかわらず原則的に父親の姓を受け継ぎます。そんなことはまずないでしょうが、母親の姓を受け継げる場合はものすごく限られていそうです。例えばシングルマザーのように。

華人の若い世代は西欧風の名(英名)を持っている人が多く(ただし身分証には載らない)、例えばある女性Low Poh Lianは本名の前に英名Sharon を付けて通称Sharon Lowというようにです。お互いに英名で呼ぶのが若い世代には多いですね。

丁寧な呼び方は女性に対しては李小姐、夫人の場合は許太太です。男性に対しては黄先生です(先生という日本語の意味に捉われないこと)。

【インド系マレーシア人の氏名法は一律でない】

マレーシアのインド人は出身地インドが超広大で多民族国家であることから、いくつかの民族から構成されています。4分の3ほどを占める多数派は南インドのタミール人ですが、その他にも南インドのTelugu、Malayalis, 北インドのPunjabis、Gujeratiis, スリランカの Singhaleseなどです。宗教はヒンヅー教徒が圧倒的に多数派ですが、mamak と呼ばれるインド系ムスリムも結構多いし、またキリスト教徒もいます。

南インドにはマレー人と同じように姓つまりSurnameがない人たちがいるそうです。また北インド人の一部は西洋式に姓名をもっているそうです。残念ながらイントラアジアはインド系マレーシア人に関しての知識は不足していますが、このブログをお読みの方は次の命名方を知っておかれればほぼ十分でしょう。

マレーシアインド人に比較的よく目にする命名法に、子供独自の名+父親の名スタイルがあります(がこれが全てではありません)。つまり父誰誰の子というやり方ですね。その場合  + の所に息子ならs/o ( 英語の短縮形)または a/l (マレーシア語のanak lelakiの短縮形) を使い、娘ならd/o(英語の短縮形)または a/p (マレーシア語のanak perempuanの短縮形)を使います。 +の所に@を使う場合もあります。なおマレーシアのインド人にs/o, d/oの使用を押しつけたのは、英国植民地政府であったとのことです。

インド人に多い、誰々の息子 a/l 、誰々の娘 a/p の表示は、このようなマレーシア語表示だけでなく、息子s/o、娘 d/o も身分登録上認められることを、イントラアジアは国民登録庁(Jabatan Pendaftaran Negara)を訪れて確認しました。

ところでインド人の名前には長いものが多く、発音に苦労します。Narayanan, Ledchumanan,Thangarajah, Puvaneswaran などなど。

パンジャビ地方出身であるシーク教徒のインド人の命名法は、マレーシアでも次のようです。名前の次に男性ならSingh、 女性ならKaurを加えて性別を明らかにし、さらに上記の父親の名前追加法をとります。 例:Jaswant Singh s/o Balvinder Singh, Surjit Kaur d/o Balvinder Singh

【サバ州とサラワク州の先住民族の場合】


サバ州の先住民族中の最大民族であるカダザンドゥスン族は主にキリスト教徒です。ムスリム方式の命名法ではないと思います。サラワク州の最大民族イバン族もキリスト教徒が多いのですが、こちらはどうなんでしょう。例えばKudang anak Seliu のように子供独自の名+(anak) 父親名式を使っているのを見かける一方 James Jemut Masingのようにクリスチャン名を使っている人もいます、どちらが主流なのかは知りません。

ただ「サバ州もサラワク州もある人の名前が必ずしもその人の宗教と民族を示すわけではない。華語名はその人の先祖に中国人がいたことを示すかもしれない。表面上の面容、言語、習慣においてその人がカダザン人であるのかムルットゥ(Murut)人であるのかの決め手になるでしょう。」という指摘がありますので、名前だけで判断はできないようです。

もう何年も前のことです、サバ州在住で研究生活をされていた日本人学者に教えてもらったところ次のような返事をもらいました。

「カダザン(ドゥスン)人には、名字がある人とない人の2種類があります。たとえばパイリン元州首相はJoseph Pairin Kitinganですが、Josephが洗礼名、Pairinが自分の名前、Kitinganが姓です。そのため、パイリンの一族はみんな名前に Kitinganがつきます。パイリンの子どもも、*** Pairinとはならずに*** Kitinganとなります。
ただし名字を持っている人はそれほど多くないようで、一般の人たちはマレー人と同じように、自分の名前+父親の名前、というスタイルです」

【姓名記述法と概念は各民族で違う】


こうしてみてくると、マレーシア人の姓名の概念が日本人とはかなり違うことがおわかりになられたことと思います。もちろん西欧の概念とも違います。姓名を正式書類などに書く時、First Name, Middle Name, Last Name の順番に書くことを指示されている場合が多いですね。これはあくまでも西欧の氏名概念を適用したものであって、日本人を含めたアジア人の多くには向かない方式ですね。

また Given Name, Family Name或いは Surname という指示方法もありますが、Familyの概念がそれぞれ民族では違いますから、両親の姓が一致するという意味でのFamily Nameはない民族もでてくることになります。Familyという概念はどんな民族にもありますが、その範囲と結びつきへの捉え型がものすごく違うので、単に名前だけにFamilyを示さない民族もあるのです。Surnameとは、子供が両親と共有する名字又は既婚女性が夫と同じにした名字という意味です(英英辞典の定義より)。イスラム教徒や華人・中国人には当てはまらない概念ですね。

さらに姓がない、無くても困らない社会もあることを我々は知らなければなりません。有名な所でいえばインドネシア元大統領のSuhartoで、 彼は姓がありません。


当ブログの性格上これ以上詳しく書くのはふさわしくないので、ここらでこの話題を終えることにします。マレーシア人の姓名のつけ方を知っておかれれば、マレーシアロングステイ生活でなんらかのお役に立つことがあると思いますよ。



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