マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

クアラルンプール圏の住宅写真と地図の連載、 シリーズ第6回

2014年03月27日 | マレーシアの住居知識と情報

これまで『クアラルンプール圏の住宅写真と地図の連載』を既に第1回から第5回まで掲載しました。

初めてご覧になる方は、まず始めに2013年2月19日付け記事-『クアラルンプール圏及びペナン島の住宅写真と地図の連載を始めました』をご覧ください。当ブログページ左側にあるカテゴリーの中から ”マレーシアの住居知識と情報”をクリックすると見つけやすいですよ。

【Picasa ウエブアルバムの閲覧にあたって】

閲覧のための説明です:

  • 当ブログの記事内にPicasa ウエブアルバムの都市写真シリーズへのリンクを示します。
  • そのタイトル(写真と地図、シリーズ何回)をクリックすると別ページで開きます。
  • Picasaのメンバーに登録していなくても、もちろん閲覧できる。
  • 写真を1枚づつクリックすると、その地理位置がGoogle 地図でわかる。
  • 地図は閲覧者が拡大したり位置を移動することができますので、読者の見やすい形でご覧になれます。
  • 写真をスライドショーにして連続してみることもできる。
  • 全ての写真には短い説明を付けました。
  • 詳しいことは、ウエブ上で Picasa のヘルプをクリックして知ることもできる。

 『クアラルンプール圏の住宅写真と地図の連載シリーズ』は閲覧だけなら特に細かな Picasa操作知識は要りませんので、誰でも容易に閲覧できます。

注意点

  1. Picasa ウエブアルバムでは閲覧者のOSまたはブラウザーの種類を判断して、自動的にカタカナが一部表示される仕組みになっている。これは非常におせっかいな機能です。カタカナ読みは間違いが多いので一切無視してください。(おそらく何語であれ一律に英語読みするプログラムになっていることから、マレーシアにおける発音とかけ離れている)
  2. Goole マップは決して最新地図情報を示していません。クアラルンプール圏だけを見ても比較的最近の情報と思える地域部分もあれば、5年以上前ではなかろうかと思えるような地域部分も一杯あります。ペナン島も同様です。最近の新興開発地・施設はほとんど表示されていないと考えておいた方が無難です。

この点を踏まえた上で、Googleマップは大いに有用な場所知識を与えてくれます。

【クアラルンプール圏の住宅写真と地図、 シリーズ第6回】

クアラルンプール圏の住宅写真と地図 - シリーズ第6回


【イントラアジアのひとこと】

クアラルンプール圏に限りませんが、住宅写真と地図 シリーズで掲載している写真は全て、イントラアジアが公共交通機関のバス、電車を使って移動し、徒歩で歩き回って撮影した写真です。
自家用車やタクシーに乗らないと行けないような撮影場所はありません。つまり一部の遠景ズーム写真を除いて、被写体になっている住居や目印のショッピングセンターなどは全て、徒歩、バス、電車で到達できます。

【 Intraasia から2016年8月末のお知らせ】
Google が Picasa ウェブ アルバム利用者に次のようなお知らせ(抜粋)を送ってきました。
2016 年 5 月 1 日をもって、Picasa ウェブ アルバムはサービスを終了します。
ご利用いただけなくなるリンク
・ウェブサイトに埋め込まれたスライドショー。
・ウェブサイトに埋め込まれた Picasa ウェブ アルバムのアルバムや写真

Picasa ウェブ アルバムのサービス終了後は、以下の機能をご利用ください。
・あらゆるアルバムやメタデータはアルバム アーカイブからご覧いただけます。

ということで、当ブログで掲載している『クアラルンプール圏/ ペナン島の住宅写真と地図の連載シリーズ』でリンクしている Picasa ウェブ アルバム は全て無効となりました。写真の説明、Googleマップ上への位置表示などのデータは全て抹消されたようで、もう見ることができません。

唯一残されたデータは、アルバム アーカイブに自動移行された住宅の写真だけです。つまり『住宅写真と地図の連載シリーズ』における情報は全ての住宅写真が閲覧できるが、説明もマップもありません。

 Picasa ウェブ アルバムは何年か前に、Googleが買収して翼下に収めました。その数年後 Googleは廃止を決めた。Web サービスの存廃や変更は頻繁であることが知られているように、提供元企業の恣意的判断下にあるということを示す一例ですね。


改定:マレーシアマイセカンドホームプログラムの2013年の新規参加者数を分析 - 日本は 739人

2014年03月20日 | 参加者数の統計と解説

マレーシアマイセカンドホームプログラム当局は最近、マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加を認められた2013年の新規参加者数と国別トップ10など及びこれまでの累計から成る、プログラム参加者数統計を修正発表しました。そこで当記事では内容を改定し、同時に掲載日(最初の掲載は2月10日付け)も3月20日に変更しました。

マレーシアマイセカンドホームプログラム当局のホームページは今年になって全面刷新が行われたので、以前より良くなりました。ただそれでもまだ不注意な点があることを強く感じる、とりわけ参加者統計の数字です。例えばこの記事を最初に掲載した時点(2月10日)及び数字を修正した時点(3月20日)でも、統計ページの最終更新が 2013年12月18日と表示されているが、月毎の参加者数表で12月分が最近大幅に修正されたので、この日付は全く当てにならない。

追記のおことわり
プログラム当局は2013年12月の参加者数をいつかははっきりわからないが、2014年3月に入ってからか?、大幅に修正した。このためイントラアジアが当記事を最初に掲載した時点で参照した数字とかなり食い違うことになってしまった。12月分を修正したので年間の合計も当然変わった。

そこで統計数字をプログラム当局の修正統計に合わせるべく、3月20日に改定しました。
2013年12月分の各国の参加者数は当初の数字と比べるとかなり変化している、とりわけ中国は1か月で399人、日本が153人という驚異的な数字に修正されている。

一体全体マレーシアマイセカンドホームプログラム当局の内部で何らかの変化が起きたのだろうか? それとも2013年の申請審査全体を見直して一挙に参加者を増やしたのか? 中国人が12月にわずか1か月に400人もの集中申請をしたのだろうか? 加えて日本人も一挙に150人を超える集中申請をしたのだろうか?
各国からの承認参加者数合計も12月だけが他の月に比べて数倍となっており、飛び抜けて多い962人である。例年12月は他の月に比して極端に増えることは全くなく減ることさえある。

プログラム当局が今回、統計数字をこれほど大きく修正をした背景は何だろう? 単なる記載ミスとは思われない。今回の統計数字の大幅修正には不自然さと奇妙な点を感じざるを得ません。

注記:当記事で用いる数字は全て、観光省翼下のマレーシアマイセカンドホームプログラム当局または観光省がそれぞれの公式サイトで発表する公式統計からの出典です。 また当ブログで詳細に説明しているプログラム参加の条件と規則は、全てマレーシアマイセカンドホームプログラム公式サイトの基準ページである英語ページまたはプログラム当局が発行している英語文書類またはマレーシアマイセカンドホームセンター職員による口頭説明を基にしています(他の言語による翻訳ページ、日本語の二次情報などは一切関知しません)。

マレーシアマイセカンドホームプログラムにおける2013年の特徴 

  • 中国からの参加者数がなんと1千人をはるかに超え、他国を完全に圧倒した。
  • 日本人の参加者数は2012年より多少減少した。
  • 世界各国からの参加者総数が対前年比でまずまずの増加をした。


【マレーシアマイセカンドホームプログラムの参加者数統計のデータと内容-2013年版】

新規参加者とは、マレーシアマイセカンドホームプログラム当局に参加の申請をして、承認が下りた人のことを言う。

A. 世界中からの1年間の新規参加者総数 -年別統計
2002年:818人、2003年:1645人、2004年:1917人、2005年:2615人、2006年:1729人、
2007年:1503人、2008年:1512人、2009年:1578人、2010年:1499人、2011年:2387人、
2012年:3227人、2013年:3675人、
従って2013年は対前年比で約 14%の増加となる。

B. 国別の2013年の新規参加者数
1位:中国 1337人、 2位:日本 739人、3位:バングラデシュ:285人、4位:台湾 151人、 5位:英国 148人、
6位:シンガポール 145人。 7位:韓国 101人、 ここまでは3桁数の参加者数。
8位がオーストラリアで77人、それ以下はごく少ない人数です。

C. 日本の2013年の新規参加者数 -月別統計
1月 78人、2月 42人、3月 59人、4月 59人、5月 48人、6月 47人
7月 44人、8月 58人、9月 68人、10月 70人、11月 13人、12月 153人、合計:739人
参考:日本の新規参加者数の推移
2002年:49人、2003年:99人、2004年:42人、2005年:87人、2006年:157人、2007年:198人、
2008年:210人、2009年:169人、2010年:195人、2011年:423人、2012年:816人、2013年:739人

従って2013年の参加者数は、2012年の 816人より77人少なく、減少率 10%である。これは上記に示した2013年の全世界からの新規参加者数における増加率 14%の下ではやや目立つ減少と言えるかもしれないが、実人数は十分多い。

D. 日本と中国の新規参加者数の比較 -カッコ内は対前年の増減率
日本:2010年 195人、2011年 423人(117%)、2012年 816人(93%)、2013年 739人(-10%)、
中国:2010年 154人、2011年 405人(163%)、2012年 731人(80%)、2013年 1,337人(83%)
参考:12年間の累計では、中国が4,925人、日本が3,184人となる。世界中からの累計は 24,105人。

ここ数年は日本と中国が年間新規参加者数トップ国の座を争ってきた。しかし2013年は座を争ったとはとても言えないほど、中国は倍近い圧倒的な差をつけてトップになった。

E. 全世界からの新規参加者数を大陸別に比較
アジアが占める割合は、2013年:3675人中の86%、2012年:3227人中の84.5%、2011年:2387人中の80.6%、 2010年:1499人中の70%、

【イントラアジアの分析とコメント】

1. 2013年の新規参加者数を対前年比でみると、日本は 10%減となった。一方中国は 83%増と大幅に増えている。
2013年は中国が1位、日本が2位という順位が1月から12月までずっと続いた。

2. 世界各国からの新規参加者数合計が、2012年比で 14%増加している中、中国だけが突出して大幅に増えている現象は際立つ。中国は 12月に399人という驚異的な数を記録した。この人数は異常と呼ぶしかない多さだ。
世界の国の中には対前年比で増加している国が数少なくある、例えばシンガポールと台湾。ただ両国とも2012年の年間参加者は2桁数であったので、増加率が大きく示されても実人数が大きく増えたわけではない。

3. プログラム開始の2002年から2013年までの新規参加者数累計でも、2013年単年度の新規参加者数においても、トップ3か国は中国と日本とバングラデシュです。ただバングラデシュが2013年は対前年比27%減と大きく参加者数を減らしたことから、2013年は中国と日本の新規参加者数の多さがより際立っている。

4. 2013年の新規参加者数において、中国と日本の2か国だけで全体の 56%も占めている:中国が36.4%、日本が20%。
この両国が新規参加者総数に占める比率を見ると、2012年1年間では 48%を占めたので、2013年はその傾向をより強めた。中国と日本の両国によるプログラム参加者寡占化が進んでいると言える。
なお過去の特異な現象として2005年の例があり、バングラデシュと中国で全体の52%を占めた。

中国と日本の両国による寡占化が進んでいる要因として、2011年は4位、2012年は2位から大差の3位であったバングラデシュが、2013年は順位自体は3位のままだが大きく新規参加者数を減らしたことがあげられる。

5. 2013年は、中国1か国の新規参加者数が世界中からの新規参加者総数の3分の1さえ超えている。1年間に1か国が占める割合が 36.4%というこの数字は過去最高であろう。

実はプログラム開始の初期にも似たような現象が起きた。2003年に中国1か国で全体の32%を占め、2005年にバングラデシュ1か国で全体の33%を占めた。恐らくそういう現象が生まれた背景をプログラム当局は精査したのであろう、申請参加条件をその後改定した、つまりより厳しいものにした。

2014年の現在はマレーシアマイセカンドホームプログラムに関する政府と観光省の捉え方と目指すところは10年位前の頃とは幾分違うだろうが、マレーシアマイセカンドホームプログラムのあるべき観点から捉えたら、単年度においてある1か国がこれほど大きな比率を占めるのは、決して好ましい現象とは思えない。これは中国だからではなく、仮に日本が35%占めたとしても、イントラアジアの観点は同じです。

このことは、2013年12月1日付け記事 『マレーシアマイセカンドホームプログラムの変節と参加条件の改正を考察する』 である程度言及しましたのでご覧ください。

6.新規参加者の86%はアジアの国々からということは、マレーシアマイセカンドホームプログラムはアジア人で支えていると見なしても言い過ぎではないでしょう。
2002年から2013年までの全世界からの参加者数累計(24,105人)において、トップ10か国中非アジア国は英国のみであり、その割合は全体の8.6%です。

マレーシア政府と観光省は、マレーシアマイセカンドホームプログラムの対象の広がりによく言及していますが、現実はアジアの国々からの参加者がプログラムを独占し、同時にプログラムはアジアの国々で持っている。


マレーシアの中高級住宅不動産市場を眺める目 -いろんな不動産ニュースと国民の所得統計情報を基にして

2014年03月02日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

経済は生き物ですから、不動産業界ももちろん景気の影響を受け、さらに業界特有のいくつかの要因によって昇り調子と降り調子を繰り返していることは、皆さんもご存じのことです。マレーシアの不動産業界も当然この例外ではありません。

そこで日本で伝えられる日本語で発信されている二次ニュース、代理業者の観点から捉えた情報、だけしか目にされない方が多いようですから、そういう方たちは、生き物としてのマレーシア不動産界の動向を知る機会がごく少ないことになります。

もとよりIntraasia としてもあらゆる情報を知ることにはなりませんし、例え知ることができたとしても正確な状況把握と絶対確実な予想は無理であることは言うまでもありません。これは不動産専門家であっても程度の差はあるが同じことでしょう。
そういう前提の下でIntraasia は、恐らく日本人読者の方が眼にされることは少ないであろう、というニュースをより注視しています。

当ブログでは『マレーシアの住宅不動産ニュース』カテゴリーで住宅不動産業界のニュースを載せてきました。そしてもう少し具体的には、『マレーシアの住居知識と情報』カテゴリーで様々な情報を載せ且つ解説しています。

さて毎週多くの住宅不動産ニュースが現れる中で、2014年は2013年とはいささか異なった調子のニュースが目立つようになりました。その中から、当ブログの『マレーシアの住宅不動産ニュース』と『マレーシアの住居知識と情報』で以前載せた記事に関連するニュースを選んで、今回の記事としました。下記の2つの記事は2014年2月中旬にマレーシアマスコミに載った記事の抜粋です。

【ジョーホール州は住宅不動産の供給過剰になるかもしれない】  

ジョーホール州の不動産市場、とりわけ(開発特区である)Iskandar Malaysiaでは住宅供給があまりにも急に且つ大量に提供される例になるかもしれません。
不動産プロジェクトの開始と高価格が普通のことになっているジョーホール州では赤い旗が掲げられている。中国の(複数の)デベロッパーによる絨毯的建設を含めて、新規プロジェクト開始のペースが、維持できるであろうよりも多い数の住宅数を伴って市場を溢れさせています。

ジョーホール州不動産と住宅デベロッパー協会の議長は語る、「我々は中国などからの外国デベロッパーを歓迎します。しか不動産市場に住宅を大量に供給して氾濫させることは不動産の過剰を生み出すことになりかねない。」

(公的な機関である)全国不動産情報センターの発表する最新データが次のように示している:ジョーホール州で近い将来建設される新住宅の数は、州の現有戸数である70万2千戸の実に42%にもあたる。
ジョーホール州の市場がちょっとした困難に見舞われている時に、州内では完成間近い30万戸が建設中であるかまたは計画段階にある。

全国不動産情報センターのデーターはさらに示す: ジョーホール州では2013年の第3四半期において 116,859戸の住宅は既に建設が始まった、また162,579戸はまだ建設が始まっていない、さらに 16,168 戸は建築許可が既に出されている。

アナリストは次のように分析する: 州での新たな住宅供給には Iskandar Waterfront Holdings Bhdが売出し開始するプロジェクト分は含まれていない。そのプロジェクトのおかげで新たな供給数は4千戸を超え、2017年までは供給数が高い数にあることが予想される。

新規住宅の供給はジョーホール州で高騰する住宅価格に抑えが利かないかのようです。 新規プロジェクト開始分における価格は、より名声の確立しているクアラルンプール圏で販売されているのと大よそ同じくらいか、それよりも高い値がついている。 住宅の新規供給とその高価格はジョーホール州の住宅価格に明らかに影響を及ぼしている。

ジョーホール州不動産における平均的住宅価格はこの5年間で45%ほども上がった結果、2009年の RM136,034から2012年には RM197,147になった。比較のために見ると、マレーシア国内の平均住宅価格はこの5年間で30%上昇して、RM 248,515になった。

リサーチ会社の Hwang-DBS Vickers Researchは記している:「最近ジョーホール州の Nusajaya, Medini, Danga Bay, Johor Baruで開始された新規プロジェクトでの住宅価格帯は平方フィートあたり RM 600から 1000です(平米あたり約RM 6600-11000)。中でも最高級ユニットは平方フィートあたりRM 1500(平米あたり約 RM 16600)になる。」
「ジョーホール州の住宅が供給過剰になることを想定すれば、中国を基盤とした複数デベロッパーが最近開始したすごい戸数の住宅売出しは憂慮感を起こしています。」

参入してきた中国基盤のデベロッパー Country Garden Holdings Co Ltd.は一挙に9千戸のアパートの新規売出しを始めたことで、多くの人を驚かせました。このため、それがジョーホール州の市場にどんな影響を及ぼしていくかを、マレーシアのデベロッパーに注意深く見守らせることとなった。

ジョーホール州不動産と住宅デベロッパー協会の議長は確信する、「外国デベロッパーが開発プロジェクトで自由裁量を与えられていると、このような多量で大規模な新規売出しは、不動産バブルを引き起こしかねません。」
「ジョーホール州不動産と住宅デベロッパー協会は、ジョーホール州政府が規制を設けることを期待しています、その規制とは市場の需要に見合うように、1年間に建築する戸数の数に制限を設けることです。」 と議長は語る。

上記のHwang-DBS Vickers Research は表明する、「中国デベロッパーの Country Gardenがジョーホールバルの Danga Bay地区だけで一挙に9千戸も新規に売り出すのは過剰を生み出すことになりかねない、もっとも今後3年から4年は建設資材と建設労働者に余裕がないことを考えれば、(その住宅を)完成させて引き渡すことは困難なことであるだろうが。」

アナリストたちは次のように心配する:「こういうデベロッパーは中国におけるゴーストタウンを再現してしまうでのはないだろうか、もし Iskandar Malaysiaで建築過剰が起これば、それは中期的に現実の不動産市場全体に弊害をもたらすことになる。」

しかしながら、不動産専門家の中には、もし(複数の)外国デベロッパーがマレーシア人購入者だけを対象にするよりもむしろ外国人購入者を引き付ければ、更なる供給は問題とはならないだろう、と考える人もいます。

中国デベロッパーCountry Gardenは、マレーシアにおける初プロジェクトとしての Danga Bayプロジェクトでは2013年8月に開始した売り出しで、総戸数の約70%を見事販売しました。その中国デベロッパーCountry Garden は当新聞社の質問に電子メールで次のように返答してきました、「その内の約3千戸はマレーシア人が購入しました。」 「一方外国人購入者においてはシンガポール人が50%、中国人が45%を占めた。」 「売り出した戸数の多くが1か月以内に売れました。」
以上


【クアラルンプール圏で入手可能な住宅】  

クアラルンプール圏で住宅を購入するには世帯の平均月収がRM 14,580 必要であることが、最近の調査で分かりました。
この調査は、Sime Darby Property Bhd がマラヤ大学構築環境学部と共同で行いました。その際には現在の世帯消費傾向と、住宅価格と住宅ローン金利を考慮に入れました。

調査で分かったこと
・購入者の一部層は、戦略的な地区に興味を持っており、その人たちの世帯月収の56倍にもなる価格の住宅を手に入れることができる。
・この層の人たちはまたその世帯収入の最高26%までを住宅ローン支払いに回すことができる。
・そこでは、価格的に入手できるだけでなく価値が上がっていく可能性を持っていると考えられる、クアラルンプール圏の戦略的地区を特定している。そういう地区: Nilai, Denai Alam, Bukit Jelutong、 Bukit Subang などです。

調査報告書には次のように書かれている: クアラルンプール圏の選ばれた複数地区の住宅は、2軒目の住宅に投資しようと考えている住宅所有者には依然として入手可能である。

都市福祉と住宅と地方自治体省大臣は”住宅と収入指標”のお披露目式で語る、「”住宅と収入指標”及び主な調査結果を我が省で再検討しています。 我々はこれらの情報は価値あるものだと捉えている。なぜなら政策立案者とデベロッパーが一致協力しながら、入手しやすいだけでなく価値が上がっていく住宅をさらに建てていくことに役立つからです。」

この調査を行った Sime Darby Property Bhd は述べる、「調査結果からわかったことを基にすると、クアラルンプール圏で計画中の住宅プロジェクトの 68%は入手可能な範疇にある。」

”住宅と収入指標”は住宅オーナー像を、とりわけ住宅購入に関して世帯収入と支出パターンを、より良く知ろうという狙いで開発されました。
この調査では 1529人の返答者があり、その内1183人が自宅所有者です。その人たちの居住地は次の12地区です(注:全てクアラルンプール圏): Bukit Jelutong, Denai Alam, Bukit Subang, Bandar Bukit Raja, Subang Jaya, USJ, Putra Heights, Ara Damansara, Mont Kiara, Melawati, Kajang 、Nilai.

返答者 1529人のプロフィール
・民族: (マレー人主体の)ブミプトラ 68%、華人 30%、 その他 2%
・年齢層: 31歳から40歳 35%、 41歳から50歳 31%、51歳から60歳 18%、21歳から30歳 12%、その他
・性別:男性 73%、女性 27%
・職業別:民間で被雇用 59%、 自営・個人業 20%、公務員 14%、その他
・支出区分:運輸交通費 16%、食費 15%、住宅ローン支払い 14%、その他のローン 15%、子どもと教育費 7%、預金 12%、その他

報告書のデータから:上記の12地区において、その地区で住宅を購入するに必要な最低限の世帯月収
最も低い地区: Melawati RM 9,360、 次いで Nilai RM 9,430, Bukit Subang RM 9,670.
最も高い地区: Mont Kiara  RM 200,160、次いで Bukit Jelutong RM 17,310, Subang Jaya RM 15,660.
以上

直上の記事では、調査対象者がほぼ中流層に限られています。クアラルンプール圏の住民の皆がこういう範疇に入るなんてことはありえません。
そこで2013年後半と2014年1月初旬にマレーシアマスコミに載った記事から抜粋して次に載せますから、国民の所得実態を知る手掛かりになります。

【世帯の平均月間収入を調査した統計から】

統計庁は2012年に世帯収入調査を行いました。調査にあたって全国の4万4千世帯を訪問したとのことです
その調査では、世帯の平均月間収入はRM 5000でした。2009年の平均月間収入はRM 4025でした。

全国の世帯平均月収: 2009年 RM 4025、 2012年 RM 5000、 年率 7.2%増
都市部の世帯平均月収: 2009年 RM 4705、 2012年 RM 5742、 年率 6.6%増
田舎部の世帯平均月収: 2009年 RM 2545、 2012年 RM 3080、 年率 6.4%増

またこれとは別の記事で発表された、首相府直下にある経済計画部の統計から示します。全国及び主な高所得地域における世帯の平均月収の推移

1995年: 全国 RM 2020、 KL RM 3371、ジョーホール州 RM 2138、ペナン州 RM 2225、
1999年: 全国 RM 2472、 KL RM 4105、ジョーホール州 RM 2647、ペナン州 RM 3128、
2004年: 全国 RM 3249、 KL RM 5011、ジョーホール州 RM 3076、ペナン州 RM 3531、
2007年: 全国 RM 3686、 KL RM 5322、ジョーホール州 RM 3457、ペナン州 RM 4004、
2012年: 全国 RM 5000、 KL RM 8586、ジョーホール州 RM 4658、ペナン州 RM 5055、

【イントラアジアのコメント】

いつも主張することです、平均値は実態を見えにくくします。本来は中央値を用いるべきだと思う。 中央値を取れば、上記各項目で平均値より下の値になるはずです。 

それはとして、1999年から2012年までの13年間で全国平均がほぼ倍増していますね。ごく一部の年を除いて、毎年所得が上昇する傾向にある、中進国マレーシアらしいところです。
 単身世帯数は少ないので、世帯員の合計収入にすればかなりの額になる。月収RM 5千あれば都会暮らしでも一応中流生活ができます。 クアラルンプールの2012年の値がずば抜けて高いのが注目される。なおクアラルンプールを取り巻くスランゴール州ではKLの平均より2割程度少ない。

ジョーホール州の世帯平均月収から判断すれば、上段の記事【ジョーホール州は住宅不動産の供給過剰になるかもしれない】で言及されているような、高級住宅を購入できる層はかなり限られていることがお分かりになるでしょう。

Iskandar Malaysia内で建築された及び建てられる高級な新規住宅は、相当割合を外国人投資者・投機者に依存せざるを得ない。仮にそのほとんどを外国人投資者・投機者が購入したとしても、実際に彼らがそういう住宅に住むわけではないから、賃借者を見つけなければならない。ではIskandar Malaysia内で高級住宅を賃借できる人たち、マレーシア人であれ外国人であれ、がごく近い将来十分増加していくのであろうか、という疑問が湧いてきます。

もう1つ2014年1月にマレーシアマスコミに載った記事から抜粋して紹介します。

【マレーシア国民間にある貧富の差が拡大している】

貧富間の差を見たとき、マレーシアはアジアでその深刻度が高い国の1つです。 例えばマレーシアのジニ係数は、世界銀行の統計で2009年が 0.462です。 なおマレーシア官庁の出している数字では 0.441になる。

Intraasia 注:ジニ係数の説明をネットや書籍で探せば、所得・資産分配の不平等度さを示す指標の一つという説明が載っている。係数は0と1の間の値をとり、値が1に近づくほど不平等度が高くなる。例えばある国において1人の国王だけに莫大な所得があり、国民の誰もが所得なしの場合の係数は1、一方ある国において国民各人の所得が全て等しいという場合の係数は0となる。もちろん係数1と0は単なる理論値です。
参考までに日本のジニ係数は「OECD諸国 2008年の統計」によれば、0.321と書籍に書いてあった。

次はアジア開発銀行の調査からです: マレーシアの貧困人口の比率は、1990年の10%から 5%を下回るまでになった、2004年には5.7%、2009年には3.8%。 ただし都市部と田舎部での貧困比率を比較すると悪化しており、その差は4.9倍にもなる (下記の統計を参照)

マレーシアの平均月間世帯収入を3つの階層別に比較
1980年: 下位40%世帯 RM 377、 中位40% RM 1016、 上位20% RM 3354
2008年: 下位40%世帯 RM 1222、 中位40% RM 2957、 上位20% RM 8157

マレーシアの貧困水準以下の人口割合 -2009年時点
全体の3.8%になる、 その内で都市部では1.7%の比率、田舎部では8.4%の比率です。
参考:2010年のタイでは、 全体の7.8%が貧困水準以下であり、都市部では3%、田舎部では10.4%の比率になる

【イントラアジアのコメント】

このような記事もよく読んでいれば、上の記事中の記述である「クアラルンプール圏で住宅を購入するには世帯の平均月収がRM 14,580 必要であることが、最近の調査で分かりました。」 という部分をどう捉えればいいかがわかってきます。