マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

ロングステイ者にとっての所得確定申告と税金のお話

2010年03月28日 | プログラムに関わる事柄の説明
マレーシアもこの時期 3月4月は所得確定申告の時期です。ただし日本との大きな違いは、被雇用者の場合いわゆる年末調整が行われないので、被雇用者は自分で確定申告する必要があります。会社組織に雇用される場合は、初めて被雇用される時点で、その人の税納入者番号が内国収入庁つまり税務庁に登録されます。よってその番号を使って毎年、前年度所得を申告することになります。申告用紙には支払った(差し引かれた)税金額及び種種の控除額も当然記入しますから、源泉徴収額がちょうど総所得に見合っているため税金支払い面でなんら調整が要らない人、税金が戻る人、追加税を払う必要がある人、の3種に分かれることになります。

被雇用者である、ないに関わらず、納税者番号のある人は前年度所得のある人もない人も全て所得確定申告する必要があるわけです。もちろんこれは建前であり、所得があっても内国収入庁つまり税務署に個人の税納入者番号が登録漏れになっているような人たちは、確定申告をしないことになります。だから毎年実際に確定申告する人は300万人前後という、1千万人を超える勤労者人口に比していかにも少ない人数を感じさせています。

さて被雇用者の場合、所得確定申告、前年つまり2009年度の総所得申告兼税金確定手続の期限が4月末に迫っています。なお被雇用者でもビジネス収入がある人は、最終期限は6月末です。未払いの税を支払う期限に関しても、それぞれ4月末または6月末が期限となります。
前年度(2008年度)と比べての変化: 累進課税における最高税率が 28%から 27%に下がった、課税所得額がRM 35, 000を超えない人への戻し税額がRM 350から400に上がった、及びその他 ( Intraasia 注:ただし戻し税額の方が納税額より大きくても、その差額がもらえることにはなりません)

マレーシア人と非マレーシア人を問わず、税法上のマレーシア居住者の場合(下記の Intraasia注を参照)、申告できる主な控除とその控除額の例:
本人控除 RM 8千、 両親の医療費 RM 5千まで(制限あり)、 身体不自由者 RM 6千、 重病に対する医療費 RM 5千(制限あり)、新聞雑誌の購入 RM 1千(制限あり)、総合健康診断費用 RM 5百(制限あり)、個人使用のパソコン購入費 RM 3千(制限あり)、スポーツためのスポーツ用品 RM 3百(制限あり)、離婚後の扶養生活費 RM 3千(制限あり)、通常の子供控除 RM 1千、18歳以上未婚の子供で高等教育機関で学んでいる子供 RM 4千、 身体不自由な子供 RM 5千、生命保険とEPF納入金 RM 6千(制限あり)、 など 

Intraasia 注:居住者、非居住者という意味は、マレーシア国民である、ないとは関係ありません、あくまでも税法上の居住者です。ある個人は次の条件のどれかを満たせば居住者と見なされます:

* 申告対象の暦年において、マレーシアに滞在した期間が通算182日以上である者
* 申告対象の暦年において、マレーシアに滞在した期間が通算182日未満ではあるが、この滞在期間がその暦年に隣接する年に途切れることなくまたがっており、その期間が合わせて182日以上になる場合。 隣接する年とは、対象暦年の直前の年 または対象暦年の直後の年 のどちらかを指す。

その他細かい規定は省略します。

税コンサルタント会社のアドバイスによれば:
(夫婦は別々に申告するか、配偶者を扶養者にした合同申告にするかを選択できます) 夫と妻は別々に申告したほうがいいでしょう。 一般に配偶者が全く所得がないまたは年間所得がRM 3千未満の場合は、 申告する夫または妻が合同申告したほうが得になります。なぜならその配偶者を扶養控除にすれば控除額 RM 3千が認められるからです。
夫婦の場合、所得の多い方が子供控除を申告すべきです。


【外国源泉の所得は申告する必要なし】
さて長い前説明になりましが、多少でもマレーシアの税制を知っておかれたほうがいいでしょうから、まず基本的な解説を書きました。マレーシアにロングステイされる方は、ほとんどがマレーシアで働くことはないでしょうから、マレーシア源泉の収入はなしとなります。一方日本源泉の収入は、年金や株配当金や家賃・土地収入など多少に関わらずある方が大多数のはずですね。

でもご安心ください。マレーシアの所得税に関する規定では、外国源泉の所得は、たとえマレーシアに送金されたとしても、課税対象にはならない、となっているからです。ですから毎年度の所得申告用紙にそれを記入する必要はありません(と、税務署も税務コンサルタンも明言しています)。税コンサルタント会社が例としてあげている申告不要の所得例をあげますと: 国外にある不動産から得た賃貸所得、マレーシア国外で雇用されていることから得る且つマレーシア雇用に付随するものではない被雇用者所得

【ロングステイ者は申告義務はあるけど、しかし・・・・・】
マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者であろうとなかろうと、上記で説明しましたように、マレーシアで一定の滞在日数を超せば申告義務は出てきます。つまり税務上の居住者になるからです(だからマレーシアマイセカンドホームプログラム参加者ではない Intraasias は納税者番号をマレーシアに来た当時得たこともあって、それ以来ずっと確定申告をしています)。 ただしマレーシア当局はこのあたりをさらと触れているだけで強調することはしていません。

マレーシアマイセカンドホームプログラムの公式サイトの文言をここでも再引用しておきましょう。
「プログラム参加者は、マレーシアの税の政策、仕組み、規定に拘束されます、加えてマレーシアに住む外交官に認められたような税免除を受ける資格はありません。」

なぜこんなに簡単に書かれているか? それは、参加希望者などが”課税される”と思い込んでしまうような誤解を避けたいからでしょう、まあ当然と言えるでしょうね。

でも心配することはないのです、上記にあるように、外国源泉の所得、つまり年金や家賃収入などは記入する必要がないからです。ですから一般にマレーシアマイセカンドホームプログラム滞在者は所得なし、よって所得税ゼロになるはずです。ただし推測するに、マレーシアマイセカンドホーム参加者で自主的に納税者番号をもらって、さらに申告している人はごく少ないでしょうね。当局がこのあたりを厳格に指導と監視してないことは明らかです。

少し前のブロッグで、マレーシアマイセカンドホーム参加者が Imigresenの許可を得て週労働時間及び職種の制限付きで被雇用者として働ける場合があることを、解説しています。その場合はあくまでも時間制限付きパートタイム的な仕事であることもあって、高額所得にはならない場合が多いことでしょう。ですから、課税所得額が RM 35, 000あたりを超えなければ、現実として税金を納める必要はないことになります。

以上で、滞在者の所得確定申告と納税に関する解説を終えます。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
FXに関する課税について (池田)
2011-11-21 00:32:56
初めまして。
MM2H取得を検討している池田と申します。
副業としてFXをしておりわずかな利益がありますが、マレーシアで日本の業者を使わずFXにて利益がでた場合の課税率が分かれば教えてください。
シンガポールでは課税されないようですが、マレーシアでの情報についていくら検索してもでてきません。ご存知でしたら、お願いいたします。
Unknown (Intraasia)
2011-11-22 17:03:08
FX取引の会社またはFX取引を勧める広告を以前よく見かけました、特に気にしてませんでしたが、確かに最近その種の広告を見かけません。
そこでちょっと調べてみたら、中央銀行がFX取引は違法だからそういうのに参加しないようにという指示を出した、という記事を見つけました。http://1-million-dollar-blog.com/bank-negara-declare-forex-trading-illegal/

外貨投資や取引に関する詳しい指令や声明が中央銀行 Bank Neagara のページにいくつか載っています。http://www.bnm.gov.my/index.php?ch=8&pg=14&ac=2105
このなかでPDF形式のいろんな声明があります。

ただマレーシア人で依然として海外の業者を通してFX取引している人は当然いるでしょう。 いくつかのブログの書き込みを見るとそんなことがわかります。海外源泉の所得は免税という枠組みはあります。

マレーシアの税専門家の解釈がどうなっているかウエブ上で見つけられませんでした。またLHDNつまり税務当局が FX取引からの所得にどう対応しているか、現時点では知りません。

日本の業者を利用して日本の口座でウエブ上で取引している限り、マレーシア滞在者に所得申告に関する義務は生まれないはずですね。ただしマレーシアの口座から振り込んだり振り込まれたりすれば、そうともいえないことになりそうです。
正直言ってFX取引の件は明確なことはわかりません。
なお一般に年間RM 3万ぐらい所得がないと所得税はかかりません。
税金についてご質問 (Unknown)
2012-10-24 12:32:18
税金のことで、困っております。。。
もしお分かりでしたら、教えてください。

マレーシアに去年の10月に来て、
3月にTAXオフィスに行き申告をしてきました。

非居住者、居住者を選択する項目があり、
わからなかったので、
近くに居たマレーシア人に聞いたところ…
非居住者を選びなさいと言われました。
そしたら、請求額RM1600。
26%の税金だそうです。

何か回避する方法はありますでしょうか。
甘い捉え方が将来起こりかねない題を示唆する (Intraasia)
2012-10-24 20:20:26
この記事 『ロングステイ者にとっての所得確定申告と税金のお話』で説明したとおりです。ただし現在の最高税率は26%です。
日本語で書いてるので、内容は誰でも明確に理解できるはずです。

マレーシアで所得が規定額以上あれば払うことになるし、国外源泉であれば、申告する必要はない。
ご自分がそのどちらであるかはご存知でしょう。

内容がわからなかったので、何々に印をつけた、イエスと言った、などという言い訳は、通用しないことを知るべきです。

例えば警察などでこういう返事をすると、それが記録に残り、訂正は非常に困難です。どんな時でも、知らないことを肯定しない、誰かの話を鵜呑みにしないという意識をつけないと、将来もっと重大な問題に面することになります。

契約や決め事や争いごとに対して日本的な思考は持つべきではない、というレッスンだったと思うべきでしょう。

当ブログをご覧になる、海外生活に慣れていない皆さんに注意を促します:
イントラアジアは口当たりの良い事だけは言いませんし、ご機嫌取りのようなことは書きません。なぜなら厳しい言い草であってもそれが皆さんのためになるからです。


国外源泉について (川口道夫)
2012-10-26 10:57:02
国外源泉については課税されない、とありますが
金額に関係なくでしょうか。
年間10億円の金をマレーシア以外の第3国から私のマレーシア銀行口座に振り込まれた場合でも。
私は来年から、MM2Hでマレーシアに移住しようと思っています。
税金でいろいろ調べていたら、このブログに行きついたので、質問させていただきました。
よろしくお願いします。
外国源泉のお金はそれ自体はマレーシアで課税されない (Intraasia)
2012-10-27 07:12:25
マレーシアの所得税に関する規定から、マレーシアに送金されてきた外国源泉のお金は課税対象にはなりません。 その額が幾らまでなら非課税となる、といった規定はないはずですし、そのような話を聞いたことはありません。、
マレーシアはある特定の国々と二重課税防止協定も結んでいるが、この質問はその範囲外ということだと思います。

こうした特典を利用者して、富裕な外国人が数百万リッギットの住宅不動産を購入しているし、不動産業界は外国人への高級不動産販売をより盛んにしようとしている。

外国からマレーシア居住者の口座に振り込まれたお金に対して、それ自体に税金はかからない。多額な外国送金受領の場合は、中央銀行の定めによって、該当銀行の用紙に入金に関しての記載が求められる。この金額は以前は時々変更されていた、RM 10万以上の時もあったと記憶している。
現在の確かな数値は覚えていませんが、いずれにしろ、多くの国でも定めてあるはずの、外国からまたは外国への一定額以上の入出金は届出が必要となる。

現在はマネーロンダリング防止に関する法律もできて、多額の入出金の繰り返しにはそういう法律の規定を受けます。これは税金とは関係ないことです。

外国から振り込まれて自分の口座に入っているお金をマレーシアで運用しない限り、所得税は関係してきませんね。運用とはつまり株を売買したり、不動産を売買するというような意味です。

マレーシアマイセカンドホームプログラムの趣旨は、参加者は外国からできるだけたくさんのお金をマレーシアに持ってきてください、マレーシアでお金をどんどん使ってください、という狙いであり、そのために特典が提供されているわけです。
コメントありがとうございました (川口道夫)
2012-10-29 10:52:34
早速のご回答ありがとうございました。

大変参考になりました。
プログラム参加者であることと税務上の居住者とは関係ない (Intraasia)
2015-06-08 07:47:26
ごく最近読者からの質問が書かれたコメントの投稿がありました。ただその方の個人情報が書いてあるので、この場で公開はしないことにしました。そこで質問内容に沿ってわかる範囲で書きます。
既掲載の記事で及びコメント返答で書いたことと重なる面もあります。

ずっと以前に 『ロングステイ者にとっての所得確定申告と税金のお話』- 2010年03月28日付け - という記事を書きました。 マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者が知っておくべき、所得申告に関する基本知識です。どこの国でも同じでしょうが、税率や控除の種類などは毎年改定されるので、当時と現在で多少の違いがあることはご承知おきください。

詳しくはいわば税務署にあたる Inland Revenue Board of Malaysia(マレーシア内国収入庁)の公式サイト www.hasil.gov.my/ を参照してください。

マレーシアの税務上の居住者は、プログラム参加者、プログラム非参加者、マレーシア国民、外国人であることとは関係ない。

税務上の居住者と見なされるのは課税される暦年で年間182日以上マレーシアに居住した事実があることです。外国人の場合、通常はその人が保持するパスポートでチェックされる。年をまたぐ場合は多少別の規定があります。

税務上の居住者ではない場合は、税務上居住者とは別建ての税率が一律にかかる(収入種によって26%/ 15%/ 10%)。 
なおマレーシア以外の国から受け取る年金に関して、これに税がかかるとは書かれていないが、一方非課税となる例にも示されていない。
そこで非居住者用申告書式 M を見てみると
Statutory income from discounts, premiums, pensions, と書かれており、年金も法定収入の対象となっている。つまり申告対象となる。

税務上の居住者の場合、累進課税が適用されるので税率も比較的低い場合が多く且つ受けられる控除の種類が増える。
マレーシア国外が源泉である所得は申告不要です、従って例えば日本でもらう年金などは申告する必要はない。
参照:”With effect from the year of assessment 2004, income derived from outside Malaysia and received in Malaysia by a resident individual is exempted from tax.”とマレーシア内国収入庁の公式サイトに書いてある。
なおマレーシアに居住して外国と取り引きなどを通して得た所得は、当然国外源泉所得にはならない。

基本的にプログラム参加者は働けない、ビジネスを行うことはできないので、マレーシアを源泉とする所得はないはずです。例外は当局の許可を得たパートタイム職に就く場合、これはマレーシア源泉なので所得税の対象になる(もちろん、課税額に達しなければ非課税)。

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