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マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

マレーシアの中高級住宅不動産市場を眺める目 -いろんな不動産ニュースと国民の所得統計情報を基にして

2014年03月02日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

経済は生き物ですから、不動産業界ももちろん景気の影響を受け、さらに業界特有のいくつかの要因によって昇り調子と降り調子を繰り返していることは、皆さんもご存じのことです。マレーシアの不動産業界も当然この例外ではありません。

そこで日本で伝えられる日本語で発信されている二次ニュース、代理業者の観点から捉えた情報、だけしか目にされない方が多いようですから、そういう方たちは、生き物としてのマレーシア不動産界の動向を知る機会がごく少ないことになります。

もとよりIntraasia としてもあらゆる情報を知ることにはなりませんし、例え知ることができたとしても正確な状況把握と絶対確実な予想は無理であることは言うまでもありません。これは不動産専門家であっても程度の差はあるが同じことでしょう。
そういう前提の下でIntraasia は、恐らく日本人読者の方が眼にされることは少ないであろう、というニュースをより注視しています。

当ブログでは『マレーシアの住宅不動産ニュース』カテゴリーで住宅不動産業界のニュースを載せてきました。そしてもう少し具体的には、『マレーシアの住居知識と情報』カテゴリーで様々な情報を載せ且つ解説しています。

さて毎週多くの住宅不動産ニュースが現れる中で、2014年は2013年とはいささか異なった調子のニュースが目立つようになりました。その中から、当ブログの『マレーシアの住宅不動産ニュース』と『マレーシアの住居知識と情報』で以前載せた記事に関連するニュースを選んで、今回の記事としました。下記の2つの記事は2014年2月中旬にマレーシアマスコミに載った記事の抜粋です。

【ジョーホール州は住宅不動産の供給過剰になるかもしれない】  

ジョーホール州の不動産市場、とりわけ(開発特区である)Iskandar Malaysiaでは住宅供給があまりにも急に且つ大量に提供される例になるかもしれません。
不動産プロジェクトの開始と高価格が普通のことになっているジョーホール州では赤い旗が掲げられている。中国の(複数の)デベロッパーによる絨毯的建設を含めて、新規プロジェクト開始のペースが、維持できるであろうよりも多い数の住宅数を伴って市場を溢れさせています。

ジョーホール州不動産と住宅デベロッパー協会の議長は語る、「我々は中国などからの外国デベロッパーを歓迎します。しか不動産市場に住宅を大量に供給して氾濫させることは不動産の過剰を生み出すことになりかねない。」

(公的な機関である)全国不動産情報センターの発表する最新データが次のように示している:ジョーホール州で近い将来建設される新住宅の数は、州の現有戸数である70万2千戸の実に42%にもあたる。
ジョーホール州の市場がちょっとした困難に見舞われている時に、州内では完成間近い30万戸が建設中であるかまたは計画段階にある。

全国不動産情報センターのデーターはさらに示す: ジョーホール州では2013年の第3四半期において 116,859戸の住宅は既に建設が始まった、また162,579戸はまだ建設が始まっていない、さらに 16,168 戸は建築許可が既に出されている。

アナリストは次のように分析する: 州での新たな住宅供給には Iskandar Waterfront Holdings Bhdが売出し開始するプロジェクト分は含まれていない。そのプロジェクトのおかげで新たな供給数は4千戸を超え、2017年までは供給数が高い数にあることが予想される。

新規住宅の供給はジョーホール州で高騰する住宅価格に抑えが利かないかのようです。 新規プロジェクト開始分における価格は、より名声の確立しているクアラルンプール圏で販売されているのと大よそ同じくらいか、それよりも高い値がついている。 住宅の新規供給とその高価格はジョーホール州の住宅価格に明らかに影響を及ぼしている。

ジョーホール州不動産における平均的住宅価格はこの5年間で45%ほども上がった結果、2009年の RM136,034から2012年には RM197,147になった。比較のために見ると、マレーシア国内の平均住宅価格はこの5年間で30%上昇して、RM 248,515になった。

リサーチ会社の Hwang-DBS Vickers Researchは記している:「最近ジョーホール州の Nusajaya, Medini, Danga Bay, Johor Baruで開始された新規プロジェクトでの住宅価格帯は平方フィートあたり RM 600から 1000です(平米あたり約RM 6600-11000)。中でも最高級ユニットは平方フィートあたりRM 1500(平米あたり約 RM 16600)になる。」
「ジョーホール州の住宅が供給過剰になることを想定すれば、中国を基盤とした複数デベロッパーが最近開始したすごい戸数の住宅売出しは憂慮感を起こしています。」

参入してきた中国基盤のデベロッパー Country Garden Holdings Co Ltd.は一挙に9千戸のアパートの新規売出しを始めたことで、多くの人を驚かせました。このため、それがジョーホール州の市場にどんな影響を及ぼしていくかを、マレーシアのデベロッパーに注意深く見守らせることとなった。

ジョーホール州不動産と住宅デベロッパー協会の議長は確信する、「外国デベロッパーが開発プロジェクトで自由裁量を与えられていると、このような多量で大規模な新規売出しは、不動産バブルを引き起こしかねません。」
「ジョーホール州不動産と住宅デベロッパー協会は、ジョーホール州政府が規制を設けることを期待しています、その規制とは市場の需要に見合うように、1年間に建築する戸数の数に制限を設けることです。」 と議長は語る。

上記のHwang-DBS Vickers Research は表明する、「中国デベロッパーの Country Gardenがジョーホールバルの Danga Bay地区だけで一挙に9千戸も新規に売り出すのは過剰を生み出すことになりかねない、もっとも今後3年から4年は建設資材と建設労働者に余裕がないことを考えれば、(その住宅を)完成させて引き渡すことは困難なことであるだろうが。」

アナリストたちは次のように心配する:「こういうデベロッパーは中国におけるゴーストタウンを再現してしまうでのはないだろうか、もし Iskandar Malaysiaで建築過剰が起これば、それは中期的に現実の不動産市場全体に弊害をもたらすことになる。」

しかしながら、不動産専門家の中には、もし(複数の)外国デベロッパーがマレーシア人購入者だけを対象にするよりもむしろ外国人購入者を引き付ければ、更なる供給は問題とはならないだろう、と考える人もいます。

中国デベロッパーCountry Gardenは、マレーシアにおける初プロジェクトとしての Danga Bayプロジェクトでは2013年8月に開始した売り出しで、総戸数の約70%を見事販売しました。その中国デベロッパーCountry Garden は当新聞社の質問に電子メールで次のように返答してきました、「その内の約3千戸はマレーシア人が購入しました。」 「一方外国人購入者においてはシンガポール人が50%、中国人が45%を占めた。」 「売り出した戸数の多くが1か月以内に売れました。」
以上


【クアラルンプール圏で入手可能な住宅】  

クアラルンプール圏で住宅を購入するには世帯の平均月収がRM 14,580 必要であることが、最近の調査で分かりました。
この調査は、Sime Darby Property Bhd がマラヤ大学構築環境学部と共同で行いました。その際には現在の世帯消費傾向と、住宅価格と住宅ローン金利を考慮に入れました。

調査で分かったこと
・購入者の一部層は、戦略的な地区に興味を持っており、その人たちの世帯月収の56倍にもなる価格の住宅を手に入れることができる。
・この層の人たちはまたその世帯収入の最高26%までを住宅ローン支払いに回すことができる。
・そこでは、価格的に入手できるだけでなく価値が上がっていく可能性を持っていると考えられる、クアラルンプール圏の戦略的地区を特定している。そういう地区: Nilai, Denai Alam, Bukit Jelutong、 Bukit Subang などです。

調査報告書には次のように書かれている: クアラルンプール圏の選ばれた複数地区の住宅は、2軒目の住宅に投資しようと考えている住宅所有者には依然として入手可能である。

都市福祉と住宅と地方自治体省大臣は”住宅と収入指標”のお披露目式で語る、「”住宅と収入指標”及び主な調査結果を我が省で再検討しています。 我々はこれらの情報は価値あるものだと捉えている。なぜなら政策立案者とデベロッパーが一致協力しながら、入手しやすいだけでなく価値が上がっていく住宅をさらに建てていくことに役立つからです。」

この調査を行った Sime Darby Property Bhd は述べる、「調査結果からわかったことを基にすると、クアラルンプール圏で計画中の住宅プロジェクトの 68%は入手可能な範疇にある。」

”住宅と収入指標”は住宅オーナー像を、とりわけ住宅購入に関して世帯収入と支出パターンを、より良く知ろうという狙いで開発されました。
この調査では 1529人の返答者があり、その内1183人が自宅所有者です。その人たちの居住地は次の12地区です(注:全てクアラルンプール圏): Bukit Jelutong, Denai Alam, Bukit Subang, Bandar Bukit Raja, Subang Jaya, USJ, Putra Heights, Ara Damansara, Mont Kiara, Melawati, Kajang 、Nilai.

返答者 1529人のプロフィール
・民族: (マレー人主体の)ブミプトラ 68%、華人 30%、 その他 2%
・年齢層: 31歳から40歳 35%、 41歳から50歳 31%、51歳から60歳 18%、21歳から30歳 12%、その他
・性別:男性 73%、女性 27%
・職業別:民間で被雇用 59%、 自営・個人業 20%、公務員 14%、その他
・支出区分:運輸交通費 16%、食費 15%、住宅ローン支払い 14%、その他のローン 15%、子どもと教育費 7%、預金 12%、その他

報告書のデータから:上記の12地区において、その地区で住宅を購入するに必要な最低限の世帯月収
最も低い地区: Melawati RM 9,360、 次いで Nilai RM 9,430, Bukit Subang RM 9,670.
最も高い地区: Mont Kiara  RM 200,160、次いで Bukit Jelutong RM 17,310, Subang Jaya RM 15,660.
以上

直上の記事では、調査対象者がほぼ中流層に限られています。クアラルンプール圏の住民の皆がこういう範疇に入るなんてことはありえません。
そこで2013年後半と2014年1月初旬にマレーシアマスコミに載った記事から抜粋して次に載せますから、国民の所得実態を知る手掛かりになります。

【世帯の平均月間収入を調査した統計から】

統計庁は2012年に世帯収入調査を行いました。調査にあたって全国の4万4千世帯を訪問したとのことです
その調査では、世帯の平均月間収入はRM 5000でした。2009年の平均月間収入はRM 4025でした。

全国の世帯平均月収: 2009年 RM 4025、 2012年 RM 5000、 年率 7.2%増
都市部の世帯平均月収: 2009年 RM 4705、 2012年 RM 5742、 年率 6.6%増
田舎部の世帯平均月収: 2009年 RM 2545、 2012年 RM 3080、 年率 6.4%増

またこれとは別の記事で発表された、首相府直下にある経済計画部の統計から示します。全国及び主な高所得地域における世帯の平均月収の推移

1995年: 全国 RM 2020、 KL RM 3371、ジョーホール州 RM 2138、ペナン州 RM 2225、
1999年: 全国 RM 2472、 KL RM 4105、ジョーホール州 RM 2647、ペナン州 RM 3128、
2004年: 全国 RM 3249、 KL RM 5011、ジョーホール州 RM 3076、ペナン州 RM 3531、
2007年: 全国 RM 3686、 KL RM 5322、ジョーホール州 RM 3457、ペナン州 RM 4004、
2012年: 全国 RM 5000、 KL RM 8586、ジョーホール州 RM 4658、ペナン州 RM 5055、

【イントラアジアのコメント】

いつも主張することです、平均値は実態を見えにくくします。本来は中央値を用いるべきだと思う。 中央値を取れば、上記各項目で平均値より下の値になるはずです。 

それはとして、1999年から2012年までの13年間で全国平均がほぼ倍増していますね。ごく一部の年を除いて、毎年所得が上昇する傾向にある、中進国マレーシアらしいところです。
 単身世帯数は少ないので、世帯員の合計収入にすればかなりの額になる。月収RM 5千あれば都会暮らしでも一応中流生活ができます。 クアラルンプールの2012年の値がずば抜けて高いのが注目される。なおクアラルンプールを取り巻くスランゴール州ではKLの平均より2割程度少ない。

ジョーホール州の世帯平均月収から判断すれば、上段の記事【ジョーホール州は住宅不動産の供給過剰になるかもしれない】で言及されているような、高級住宅を購入できる層はかなり限られていることがお分かりになるでしょう。

Iskandar Malaysia内で建築された及び建てられる高級な新規住宅は、相当割合を外国人投資者・投機者に依存せざるを得ない。仮にそのほとんどを外国人投資者・投機者が購入したとしても、実際に彼らがそういう住宅に住むわけではないから、賃借者を見つけなければならない。ではIskandar Malaysia内で高級住宅を賃借できる人たち、マレーシア人であれ外国人であれ、がごく近い将来十分増加していくのであろうか、という疑問が湧いてきます。

もう1つ2014年1月にマレーシアマスコミに載った記事から抜粋して紹介します。

【マレーシア国民間にある貧富の差が拡大している】

貧富間の差を見たとき、マレーシアはアジアでその深刻度が高い国の1つです。 例えばマレーシアのジニ係数は、世界銀行の統計で2009年が 0.462です。 なおマレーシア官庁の出している数字では 0.441になる。

Intraasia 注:ジニ係数の説明をネットや書籍で探せば、所得・資産分配の不平等度さを示す指標の一つという説明が載っている。係数は0と1の間の値をとり、値が1に近づくほど不平等度が高くなる。例えばある国において1人の国王だけに莫大な所得があり、国民の誰もが所得なしの場合の係数は1、一方ある国において国民各人の所得が全て等しいという場合の係数は0となる。もちろん係数1と0は単なる理論値です。
参考までに日本のジニ係数は「OECD諸国 2008年の統計」によれば、0.321と書籍に書いてあった。

次はアジア開発銀行の調査からです: マレーシアの貧困人口の比率は、1990年の10%から 5%を下回るまでになった、2004年には5.7%、2009年には3.8%。 ただし都市部と田舎部での貧困比率を比較すると悪化しており、その差は4.9倍にもなる (下記の統計を参照)

マレーシアの平均月間世帯収入を3つの階層別に比較
1980年: 下位40%世帯 RM 377、 中位40% RM 1016、 上位20% RM 3354
2008年: 下位40%世帯 RM 1222、 中位40% RM 2957、 上位20% RM 8157

マレーシアの貧困水準以下の人口割合 -2009年時点
全体の3.8%になる、 その内で都市部では1.7%の比率、田舎部では8.4%の比率です。
参考:2010年のタイでは、 全体の7.8%が貧困水準以下であり、都市部では3%、田舎部では10.4%の比率になる

【イントラアジアのコメント】

このような記事もよく読んでいれば、上の記事中の記述である「クアラルンプール圏で住宅を購入するには世帯の平均月収がRM 14,580 必要であることが、最近の調査で分かりました。」 という部分をどう捉えればいいかがわかってきます。


マレーシア政府が実施する/した、中高級住宅不動産市場に対する3つの過熱抑制策

2013年11月06日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

新築住宅不動産市場における価格上昇傾向はもう何年も続いていることが、頻繁にニュースになってきました。
1ユニット(住宅1戸)RM 50万以上の高級な住宅から、RM 20万から40万前後の中級住宅まで、その値上がり方に差はあれど、値下がるようなことは起きていません。

この住宅市場のいささか急こう配過ぎる値上がり傾向を受けて、政府と中央銀行Bank Negaraは、不動産過熱抑制策を今年(2013年)後半になって導入しました、または近々導入することになります。

なおユニット(1戸)価格RM 10万位までの低コスト住宅は、国のいわば公共住宅政策として行われています。住宅デベロッパーは中高級住宅開発に伴って、一定数の低コスト住宅を建設する義務があります。いずれにしろ中長期滞在する外国人にとって、購入はもちろん賃借にも全く関係がないのでここでは触れません。

注:マレーシアの住宅に関しては、これまで様々な情報を20編近い記事にして掲載してきました。当ブログのカテゴリーから 『マレーシアの住居知識と情報』 をクリックしてご覧ください。

中央銀行Bank Negaraはまず、デベロッパー側を対象にした抑制策を打ち出しました。いわゆるデベロッパーによる利子負担販売法を禁止する処置を講じました。これによって投機的傾向を持つ住宅購入者を減らすことになつながるそうです。

一般論として、中央銀行の抑制策は各市中銀行の住宅ローン方針に影響を及ぼすので、それが顧客つまりローンの借り手に及ぶことで、顧客の過熱した投資または投機傾向を抑制する効果を生むことになるのはどこの国でも同じではないでしょうか。

【2014年度予算案で発表された、3つの住宅不動産市場の過熱抑制策】

マレーシアでは例年10月頃に翌年度予算案が発表されます。ナジブ首相は2013年10月下旬に発表した2014年度予算案の中に、次の3つを盛り込みました:
・不動産デベロッパーによる利子負担方式の禁止
・不動産利得税率の改定

さらに外国人が購入できる住宅不動産の1ユニット最低限価格をRM 100万に引き上げるとの措置も含めました。これまではRM 50万でしたから、最低限価格が倍になったわけです。 この実施は2014年1月初めからです。

【外国人が購入できる最低限価格がRM 100万に引き上げられる】

そもそも住宅不動産の1ユニット(1戸)価格RM 50万というのは、既に高級住宅の部類であり、低所得層には全く購入不可能な価格です。
一般的な中所得階層の購入する住宅価格は、RM 35万-40万位までと言われており、RM 50万を超えると、まず手が出ないことになります。

ですから、外国人の購入できる住宅最低限価格のRM 50万は、以前から国民の大多数の購入住宅価格とは競合しない価格でした。
ユニット価格RM 50万以上の住宅を買える層は、間違いなく十分な所得を得ている人たちか資産がそれなりにある人たちとなる。

最低限価格RM 100万に引き上げられる以前から、ユニット価格がRM 100万以上の住宅の購買層は富裕層に限られます。例え少々高給を得ている勤労者クラスの人たちでも、この価格帯の住宅には手が出ません。

通貨に関する注:マレーシアの通貨は Ringgit Malaysia です、その記号 RM は紙幣はもちろん、至る所で使われている。Ringgit Malaysia を英語表記にしたものが、マレーシアリンギットです。なおマレーシアドルなどという通貨は存在しませんよ。

それではなぜ政府と中央銀行Bank Negara はこういう住宅不動産過熱に対する抑制策を打ち出してきたかの背景には、次のような事情があります。
イントラアジアの「マレーシアの新聞の記事から」ブログの記事を引用しておきます

【住宅不動産市場でバブルが起きるか起きないか】 2013年8月28日付け

国立Putra大学の住宅リサーチセンターの教授は述べる、「最近の政府の取り組みは、住宅価格の上昇問題に取り組むというものです。しかしそれだけで十分かは明確ではない。」 「意識的に作り出された価格の上昇はバブルにつながる。所得と不動産価格との間には不一致がある、とりわけクアラルンプール圏においてです。」 

「このことが次のことを示している:手に入れやすい価格の住宅が一般向け市場に供給するために建築されていない、クアラルンプール圏の多くの購入者は投資者かまたは投機家であろう。」
「市場の不動産価格は修正局面に向かっており、投機は減っていくことで、ユニット価格 RM 55万以上の住宅は供給過剰になるかもしれない。」

都市福祉・住宅・地方自治体省の大臣は第16回全国住宅と不動産サミットの開会演説で語る、「政府は不動産市場での行き過ぎた投資と投機活動を軽減しなければなりません、そうして不動産のバブルを防ぐようにします。」 「前に進みながら、政府は不動産投機を抑えるために金融政策をさらに引き締めることをちゅうちょしません、そして確かに適当で手の届く範囲の不動産価格になるようにします。」
「昨年不動産利得税が5%から15%に上がったが、不動産利得税の低いことが住宅価格の上昇を防ぐことに効果的ではありませんでした。」

不動産コンサルタント CBRE Malaysia の最高経営責任者は述べる、「選ばれたアジアの豪華住宅価格に比べれば、クアラルンプールは東南アジアでそれらが最も安価である都市の1つです。」 「香港では豪華住宅は平方フィートあたりUS$3,000 (RM10,200) であるのに、クアラルンプールでは平方フィートあたりUS$250 (RM850) です。」

その時点でIntraasia が加えたコメント:
大中の不動産デベロッパーは、ほとんど毎週と言えるぐらい頻繁に首都圏での高級住宅開発の開始と売出しを行っていることが、それを知らせる広告の多さからわかる。一体どれぐらい需要があるのだろうかと思えるのだが、実態は実際に住むのではない投資者と投機家がかなりの比率を占めるから、これほど多くの新規高級住宅の開発ができるわけです。
こういう住宅は低所得層はもちろん中の下層にも全く縁のない価格帯、つまりRM 50万以上のものばかり。 投資者と投機家に国外からの者が少なからずの割合を占める、筆頭はシンガポール人ですね。近年は台湾、中国、香港、インドネシア、韓国、日本などからも増えていると、不動産デベロッパはしきりにこの点を語る。つまり需要は固いと言いたいのでしょう。

新聞界にとって不動産広告の多さから不動産業界は大事な顧客、従って多くの不動産記事はデベロッパーの楽観的見方を主にした形で載せている。 海外からの投資者と投機家はしょせんマレーシアの住民の実態などどうでもよくて、要は儲かればいい、バブルが起きそうになればどこで売り逃げるかだけが彼らの関心でしょう。 

上記コンサルタント会社の発言は典型的な一つです、クアラルンプールの何々はどこどこの国と比べてまだ安いので、お買い得であるまたはまだまだ値上がりするという論法です。
以上

住宅不動産に関しては、利害関係者である業界関係者及びリサーチ会社・アナリストの論がマスコミに現れる分析の主流を占める中で、掲載された数少ない非主流の主張として次のような論がありました(2013年中頃)。デベロッパー筋からの情報ばかりに頼る人たちは、ここに紹介するような観点も知っておくべきでしょう。

【投機家と偽りの住宅購入者について全国住宅購入者協会は訴える】

非政府組織である全国住宅購入者協会の事務局長は主張する:
全国住宅購入者協会はいつも政府に要望してきました、「マレーシアの若い世代が持家なしにならないように、政府が介入すべきである。そうして若い世代が、新興地とりわけ都市部と準都市部で持ち家を購入できるようにする。」

政府は持ち家を増進しようと、購入時の印紙税率を下げて、初めての住宅購入者を奨励しました。
しかし投機家は、こうした状況を利用していろんな不動産所有を貯めこみ、手持ち現金の不足している狡猾なデベロッパーと共謀して不動産価格を操作してきた。
作られた需要及び容易な銀行ローン・貸付金と低い不動産利得税率が火に油を注いでいる行き過ぎた投機があることから、政府は住宅価格の急上昇を止めるために適切な対策を取る必要ががあります。

国民の大多数を構成する、裕福とは言えない人たちは取り残されてきた、一方裕福層の人たちは必要以上の不動産を蓄積してきた。

都市福祉・住宅・地方自治体省の大臣が、ごく最近開催された第16回全国住宅と不動産サミットで行った開会演説の中に次のような一節がある:
「(政府の)最大の心配点としてあげるのは、住宅価格の上昇に見合って所得が伸びてこなかったという事実です。 2012年に実施した統計庁の世帯収入調査は、マレーシア国民の約 80%が月収 RM6,954以下である。 住宅ローンにおいては、純収入の30%が貸付け基準になること、現在の基本貸出し金利は 6.60% ということから、国民の80%であるこの層の人たちにとって手の届く範囲である住宅価格の最高は RM 30万かそれ以下の価格である。」

住宅市場では、自称”投資者クラブ”なるものが次々と出現していることで、こうした状況はより悪化している。 こういう”投資者クラブ”は、階層化された不動産において多くのユニットを一括購入する、例えば100ユニット、200ユニット、ことで、住宅市場を人為的に操っている。こういう風に多数のユニットを一括購入することによって、投資クラブはその住宅不動産や商業不動産開発における全体の半分近くを支配することになる。

投資クラブを運営する者たちの手口は、一括購入者として手持ち現金の不十分なデベロッパーと交渉して、開発開始前に大量ユニット購買することへの値引きを要求する、例えば公称販売価格の25%といったように。 投資クラブ運営者はそのクラブ会員の間に、早期購入者向けの値引き 15%のようにお知らせを回す。こうして運営者は 10%の利益を収める。 さらに投資クラブ会員は 購入した住宅が完成して受け取るとそこに入居することなく他者に転売して儲けるのです、とりわけ現在の様なインフレ市場においてはです。
”いかにして億万長者になるか” とか ”保証金不要の投資” といったセミナーが若い世代の者たちに大金持ちへの近道と思わせることにつながっていく。
だまされやすく、欲張りな投資者はそんな手口に誘惑されてたちまち餌食になります。 
インターネットで“Investors Club”ということばで検索して、こういうクラブの手口とクラブに協力している住宅デベロッパーの名称を知ることもできる。さらにどういう者たちがこのプログラムに参加しているかもわかる。 またこういう投資クラブに参加するには、加入費としてRM 300から 5,000が必要なこともある、そうすればセミナー参加費とアドバイス料は一生涯無料となる。中には無料で会員になれる投資クラブもある。

デベロッパがその建築するプロジェクトにおいて、その半数以上を販売完了(売買契約済)することを、デベロッパーへの貸し付けの条件にしている金融機関もあります。
Intraasia 注:自己資本の少ないデベロッパーは無理してでも事前に半数を販売しなければならないということでしょう。
以上


ところで、中級以上の住宅不動産市場の過熱を呼んでいる主因の一つと言われている、デベロッパー利子負担プログラムの禁止に関しては、中央銀行Bank Negaraが予算案発表以前に既に指示を出していました。
2014年予算案がなぜそれを再度規定したのかは知りませんが、いずれにしろ、デベロッパー利子負担プログラムは廃止です。

【’デベロッパー利子負担プログラム’が廃止されたことで起きる、不動産市場の変化】-2013年10月末に新聞に載った記事を抜粋翻訳

(住宅購入者ではなく)住宅開発するデベロッパー自身が利子を負担する’デベロッパー利子負担プログラム’に関して、2014年度予算案は禁止としました。

デベロッパー利子負担プログラムがあることで投機家は新規売出し不動産に投資するのが都合よくなります。このプログラムはマレーシア不動産市場で2009年から行われていました。こういう投機家は、支払いの仕組みが多少複雑になる下位不動産市場での問題を軽視しました。
しかしこのデベロッパー利子負担プログラムを廃止することで、不動産市場での購買傾向に変化を呼ぶことになりそうです。

デベロッパー利子負担プログラムは、本当に住宅を所有したいという人には有益であると言われていますが、不動産投機の機会も作り出してしまいました。

このプログラムが導入される前は、不動産投機は真に十分なる経済的余裕ある者だけが行う活動でした。しかしデベロッパー利子負担プログラムの手軽な支払方式によって、投機家が不動産の建設中にまたは完成後の短時間の間に再販する買い手を見つけて売ってしまえるようになります。

デベロッパー利子負担プログラムを利用することで、投機家は少額のお金をあらかじめ出すだけでよく、数年以内に大きな利益を得ることになる。

それ故に、デベロッパー利子負担プログラムの廃止は、確かに投機活動を抑えるでしょう。なぜならその支払い方式はもう手軽ではありませんから。その効果を政府はまさに期待しています。デベロッパー利子負担プログラムの禁止はまた、不動産の一次市場が下位市場に持つ有利さがなくなります。デベロッパー利子負担プログラムが人気を呼ぶようになってから、下位市場はぱっとしませんでした。

 Propwall の発表する’不動産市場傾向’を見れば、不動産の一次市場は二次市場よりも好まれることが明らかです。

確かに不動産一次市場には買い手を引き付ける他の特質もありますが、一方’デベロッパー利子負担プログラム’が購入者を引き寄せる要因であることは否定できません。
この数年の間デベロッパー利子負担プログラムは、購入者が不動産を買う場合の経験的な常識を補完するものになっていました。要するに、場所が全てです。

デベロッパー利子負担プログラムなしにはこれ以上新規不動産開発を魅力的にはできない、下位市場が本来の場に戻ったのです。

不動産下位市場の良い特性は、デベロッパー利子負担プログラムによってこれ以上暗い影を投げかけられることはないでしょう。投機家である、ないに関わらず、依然として不動産を取得したい人たちは二次市場へ視野を広げることになるでしょう、なぜなら、’デベロッパー利子負担プログラム’は住宅の選択においてもはや得られない要因だからです。
デベロッパー利子負担プログラムの売り込みは非常に激しかった、時には人を欺くことでさえあった。そのため人々は不動産下位市場の寿命の長さと良き特性を見過ごしていました。下位市場となる物件は一般的に、成熟した住宅地にあり、定着した設備と公共施設を備えている。さらにその住宅地にあるコミュニティー意識の強さは、開発の質と将来的繁栄の指標でもあります。

今後不動産下位市場に目を向けるのは価値ある選択といえるかもしれません。しかし、もし住宅と地方自治体省が、”建築してから販売する”方式を2015年に導入すると決めれば、下位市場は再度後ろに下がってしまわざるを得ないことになるかもしれません。

Intraasia注:この記事で使われている、多少日本語に馴染みにくい不動産下位市場という表現は、新規開発の不動産を購入するのが一次市場で、それを転売する二次市場といった意味合いで使われている、と理解されます。


【不動産利得税率の改定内容】

上段で言及しました、不動産市場過熱抑制策 3つの内の最後の1つである、不動産利得税率の改定に関する説明を載せておきます。

住宅購入をしてその住宅を売却する場合にその利潤に掛かる不動産利得税 -2014年1月1日から実施

購入から3年以内
マレーシア国民及び永住者:30%,  外国人:30%,
購入から3年を超え4年まで
マレーシア国民及び永住者:20%,  外国人:30%,
購入から4年を超え5年まで
マレーシア国民及び永住者: 15%,  外国人:30%,
購入から5年を超える(6年目から)
マレーシア国民及び永住者: 0%、 外国人:5%

購入と売却主が会社の場合は、マレーシア国民と同じ、ただし6年目からだけは5%になる。

【イントラアジアのコメント】

前にも書きましたように、マレーシアマイセカンドホームプログラムの日本人参加者の間では、住宅を購入する人よりも賃借する人の方がずっと多いことは明らかです。この傾向は今後も基本的には変わらないと言っても間違いではないでしょう。ただしマレーシアマイセカンドホームプログラム当局はこういう住宅購入・賃貸を統計することは行っていません。

一方プログラム参加者は銀行の住宅ローンを組むことが認められていることもあり、中には住宅購入を考慮される方もいらっしゃるはずです。
さらには、マレーシアに住むことなく純粋に投資または投機目的で住宅を買う外国人がいることは、新聞などがしばしば強調しているところです。

新規建築の中高級住宅の販売数中、どれくらいの割合が外国人購入者であるかの統計は、マレーシア政府の部局がつかんでいるはずです。恐らく購入者の国籍別統計もあることでしょう。
しかしイントラアジアの知る限り、この種の統計は一般人が簡単に閲覧できるような形では公表されていません。

2013年度予算案で発表された、上記の3つの住宅不動産市場の過熱抑制策によって、2014年の中高級住宅不動産市場には間違いなく変化が現れるだろうと、観られています。この変化が中期的に続くのか、それとも短期的なものに終わるのかは、評する立場と人によって違うようです。

当ブログをご覧になる方の内で住宅不動産購入に興味ある方は、知識としてここで紹介したような情報を知っておかれることに越したことはないはずです。


ジョーホール州の Iskandar Malaysia は住宅不動産面でも大いに注目を集めている

2013年04月16日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

国とジョーホール州が積極的に推し進めているジョーホール州南部の経済開発地域・特区である Iskandar Malaysia のニュースはほとんど毎日ぐらい新聞に載ります。時々経済面だけでなく一般ニューとしても載るくらいであり、Iskandar Malaysiaはマレーシアの現在最も注目すべき新たな発展地域だとみなされています。

Iskandar Malaysiaがこれほど注目されるようになったのは、この2、3年ぐらいのことでしょう。そこで今回の記事では、Iskandar Malaysia、とりわけその住宅不動産面に関して、2013年3月にマスコミに載ったいくつかのニュース記事を選び載せます。

またブログ掲載タイトルと日付を改めて、ジョーホール州及びジョーホールバルについて、住宅不動産の統計数字を使ってIskandar Malaysiaを別の面から眺めてみます。

注:当ブログでは全ての情報はマレーシアの新聞、官庁、マスコミが発表する、載せる一次情報を基にしています。

【 Iskandar Malaysia とは何か】

マハティール政権後、政府は国内の複数の広域地域(経済回廊という呼称が使われている)における新たな開発と発展を計画しました。その最初の広域地域として指定されたのが、Iskandar Malaysiaです。これが発表されたのはアブドラー内閣時代の2006年11月で、実際に開発に着手したのは2007年です。

Iskandar Malaysiaの立案、宣伝、運営などに関して中枢の役目を担っているのが、政府設立の法人である、Iskandar Regional Development Authority (略称IRDA) です。

Iskandar Malaysiamの特徴
・単なる国家主導のプロジェクトではなく、ジョーホール州政府と州スルタンがプロジェクト全体に非常に関与している。(名称自体が前州スルタンの名, Iskandar, から取っている)
・ジョーホール州がシンガポールと近接していることから、シンガポール要素がたいへん大きい。
・国外からの投資を積極的に呼び込んでおり、シンガポールはいうまもでなく、アラブ圏、中国、韓国、欧州、もちろん日本からも、投資が約束され、また実際に投資が始まっている。既にいくつかの投資プロジェクトは完成して、ビジネスを展開している。
・電気、水道、情報通信、交通網といったインフラを十分に整備し、工業、港湾物流、住宅、教育・研究、金融サービス、商業、医療サービス、観光、といった諸面での開発が目的となっている。
・Iskandar Malaysia内の人口と1人当たりの国内総生産高: 2006年時点で 160万人、US$14,790, 2025年の目標数値 300万人、US$31,100 
・Iskandar Malaysiaを計画通り発展させていくには、Iskandar Malaysia内の国内総生産高の伸び率を2025年まで毎年年率8%(!)という高率を維持させていく必要がある。

とまとめることができるでしょう。

具体的にジョーホール州のどの部分が Iskandar Malaysiaであるかは、次の図をご覧ください。Iskandar Malaysia の面積は2217平方Kmであり、一般にシンガポールの面積の3倍という表現が使われています。Iskandar Malaysia に占める面積を見ると、州都ジョーホールバル以外の地域の面積の方が広い。



Iskandar Malaysiaは5つの開発地域に分かれている:
・ジョーホールバル市中心部:金融分野など 
・Nusajaya : 不動産開発ではここが最大となる。教育、医療分野などの開発。
・Western Gate開発:大きな港湾開発であるTanjung Pelepas が中心。
・Eastern Gate開発:製造業、石油化学などの分野。Pasir Gudang が中心地。
・Senai-Skudai: 物流と製造業、観光業を主体とする開発。スナイ空港がある。


【Iskandar Malaysiaにおける住宅不動産】

それでは当ブログの性格上住宅不動産だけに対象を絞ります。
Iskandar Malaysia内の住宅不動産に関して論じた複数の新聞記事からそれぞれ抜粋して訳して紹介します。(いずれも2013年3月に新聞に載ったもの)

Iskandar Malaysiaではこの半年ほどの間に不動産価格で急騰が起きています。マレーシア政府とシンガポール政府との関係がより友好的な様相を示すにつれて、さらにいくつかのインフラプロジェクトが完成したこともあり、興味と期待が沸き起こってきました。
不動産への興味がこの2年の間にこれほど増えたのはこれまで経験したことのない現象だと、マレーシアの不動産業者もシンガポールの不動産業者も口を合わせて言う。とりわけこの半年が顕著です。

こうしたことの内でどれほどが誇大な宣伝だろうか? そしてどれくらいが事実なのだろうか?

不動産代理業者が楽観過ぎることも、販売数を水増ししていることも時にあるが、ある大手不動産会社の幹部は言う、「この何か月間は問い合わせがより増えており、住宅購入への強い関心がある。(不動産の)資本価値の増加もあります。」

Iskandar Malaysiaに建つことになる住宅・コンドミニアムのショールームでは平日でさえ忙しくなった。シンガポールでマレーシア側が開いた、マレーシア不動産展示会は大入りでした。
人気ある住宅プロジェクトにおける堅調な需要は確かです、例えばSenibong Cove, Straits View Residences のようなプロジェクトでは土地付き住宅はすでに売り切れました。

住宅不動産の面では、Nusajaya が注目を浴びている。
前出のある大手不動産会社の幹部は言う、「その内とりわけ関心を引き付けるのは、Puteri Harbourプロジェクトです。このプロジェクトは、豪華なウオーターフロントビラ、コンドミニアム、サービスアパート、ホテル、商業施設というように様々な建設が計画されている。」
「Nusajayaが関心を呼ぶ点の1つに、新しい国際的なスクールの設立計画もある。これはシンガポールのエキスパトリエイトらの興味を引いた。」

その他の人気ある地区では、Danga Bay と Permas Jaya のウオーターフロント住宅です。「ウオーターフロント住宅はその限られた数とライフスタイル概念で際立つ。」

ジョーホール州のある不動産会社幹部の説明からです:
Ledang Heights での土地付き一軒家用土地の価格
2006年の時点で1平方フィートあたりRM 25-30
2012年6月時点ではRM 60-80に値上がりし、2013年3月にはRM 100-120にも急騰した。

「非常に強い関心があり同時に投機の要素もあるようにみえる。」「ジョーホール州の不動産価格は1998年から2006年まではかなり停滞していた。この2年ほどの不動産価格の上昇は目を見張るものがある。」
Nusajayaでは住宅不動産の購入者の60%ぐらいは外国人であり、一方ジョーホールバルではそれが40%くらいです。2006年から2007年の2年間に売り出された高層住宅を見ると、価格が平方フィートあたりRM 350が RM 1200に値上がりした。


「デベロッパーや建設会社やコンサルタントはIskandar Malaysia に起こっているブームで得をしてきましたが、一方賃金生活者は不動産価格の高騰、とりわけ身の回りで起きている値上がり、を心配している。」とジョーホール州にある会社 CB Richard Ellis Sdn Bhd の取締役は主張する。

「こういう現象がジョーホールバル市中心部、Nusajaya、Kulaijaya で起きている。新しく売出される物件だけが価格急騰している。一般人は依然として、州内のPasir Gudang や Kulai では一般的な平屋建てテラスハウス(リンクハウス)を中古市場でRM 13万から15万で買うことができます。」

シンガポールを基盤にする不動産会社の住宅プロジェクト部門長は次のような見方を披露する、「Iskandar Malaysiaでの状況は、早期に購入した人は既にお金を儲けたので誰もが乗り遅れまいという状態に似ている。」

投資者予備軍の人たちが関心を持っているのは、安全面、引き渡される住宅の品質が確かなものであること、供給過剰の可能性、といったことです。

「建設プロジェクトがあまりにも次々と発表されるので、供給過剰の心配が実際におきています。これはとりわけコンドミニアムのユニット数(戸数)及びそれが再販売価格と賃貸価格に及ぼす影響に関してです。」

彼はそこで一般人に向けて、評判の良いきちんとした建設歴を持つデベロッパーから購入するように、とアドバイスしています。「土地と土地付き不動産は良い投資対象です。土地は限られている、よって価格はより回復力に富む。」

「Iskandar Malaysia 内に住宅を購入するとき、投資者はユニークな特徴を考慮すべきです、例えばウオーターフロント住宅です。これは海岸部に沿った場所にだけ建てられる。確かに価格はより高いが、その割増価格は払うだけの価値がある。なぜならそういった住宅はアピール度が高く、賃貸料や再販売価格を高く設定できる、つまり限定された供給数から高い需要がある。」

投資者が持ち出す問題に次のようなものがある:つじつまがあわないこと、情報などの不透明さ、官僚的ありかた。

最高級クラスのコンドミニアムで建設中または計画中のものの数に関して、彼は言う、「ジョーホール州のマレーシア人からの需要だけでは今後市場に出回る供給数を満たすには不十分でしょう。」 「供給過剰は潜在的な問題です。それに適切に取り組まないと、プロジェクトに重大な波紋を起こすことになるでしょう。Iskandar Malaysia の長期的な成功はマレーシア人とシンガポール人の双方にかかっています。」

「Iskandar Malaysiaの住宅に対する購入意欲は、地理的近接さと価値判断の面からシンガポール人が抜きんでている。」 彼はまた、他に購入意欲が高いのはとりわけクアラルンプールからだとみる。さらにまた外国からの潜在的な購入関心もあります、例えば中国、日本、インドからです。
Danga Bayに大きな中国デベロッパーが参加することになり、これは投資したり、マレーシアに来て住むことになる中国人が増える前奏曲だと見なせます。多くの日本人はゴルフ場に関連した住宅プロジェクトにおいて購買主で且つ住居主になる。


有名な不動産コンサルタント会社Rahim &Co は主張する、「Iskandar Malaysiaの不動産に対する投資者の関心と投資欲は、単なる誇大な宣伝ではなく現実となっている。」

同社幹部は説明して、「ジョーホール州と国際的の両方の不動産市場はIskandar Malaysia のビジョンに対して3年から5年前より現在の方がよりオープンに見ている。」 さらなる成長の機会は、Iskandar Malaysiaの絶えず変化するイメージと相まって、それ自身にある。」

Pinewood Iskandar Malaysia Studioや Khazanah Temasek Urban Wellness Centre のようないくつものプロジェクトが完成すれば、このことは明白になるでしょう。 「市場の確信はより強まっている」


投資家にさらなる興味を起こしている Iskandar Malaysiaの不動産開発に関して、2つのリサーチ会社間に異なる見方がある。

ジョーホール州の経済開発地域である Iskandar Malaysiaでは最近不動産開発の発表が相次ぎまた土地取引も話題を呼んでいます。そこで投資家たちの新たな興味を起こしている、と2つのリサーチ会社が発表しています。

Maybank IB リサーチのアナリストは言う、「価格の勢いと需要は続くでしょう、外国からの投資家は引き続き増えている。 シンガポール人投資家は、1年前と比べた Iskandar Malaysiaにおけるインフラの発展具合と目に見える発展の調子に印象を良くしている。」 「彼らはIskandar Malaysiaの持つ将来的可能性を強気にみている、そしてシンガポールでの不動産価格の限りない高騰から恩恵を受けていると思っている。」

「焦点は今、Nusajaya のライフスタイル不動産プロジェクト開発にある。 Danga Bay はまだ埋め立て工事が進行中です。」 大デベロッパーSP Setia がBukit Indahaで開発中のSky Breezeは1平方フィート当たりRM 550で売出され、1か月で売り切れたとのことです。「土地付き住宅は新規でも中古市場でも好調です。」

一方別のリサーチ会社 PublicInvest Research はその公表記事で、Iskandar Malaysiaに示される持続できる需要に疑問符を呈しています。「Iskandar Malaysiaの可能性にもかかわらず、Iskandar Malaysiaの面積2217平方㎞の大きさが意味するのは、最近の販売は好調であっても需要はその内に普通になるでしょう。 シンガポール政府が最近施行したシンガポール不動産への抑制策がIskandar Malaysiaでの興味を引き起こしている。」

「ただ推測すれば、Iskandar Malaysiaの不動産への需要は、クアラルンプールとシンガポールで販売が成就すると期待されるのよりも長くかかるでしょう。」 「現在 1ユニットRM 50万以上の物件において販売数は、ジョーホール州では約1千ユニットです、一方スランゴール州では1万8千ユニット、クアラルンプールでは1万ユニットです。」 「もし賃貸からの収入が、最近発売された物件の基準価格に満たなければ、基本原則が長い目では優勢になるでしょう。そうして高価格の勢いは継続するのが難しくなる。」

以上複数の新聞記事から抜粋。

【Intraasiaのひとこと】

業界人の発言・見方を基にした記事であり、こういう記事が大多数を占める。 Iskandar Malaysia内における住宅不動産開発の盛んな状況が感じられることでしょう。概して好意的な捉え方になるのは、業界人として当然のことと言えそうです。一方供給過剰を心配する論点もあることを、読者の皆さんの中で興味をお持ちの方は留意しておかれた方がいいのではないでしょうか。


今年(2013年)これまでにマレーシアマスコミに載った住宅不動産ニュースを紹介します

2013年03月04日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

新しく建設する高級住宅不動産の売出しまたは売出し開始広告が新聞各紙に毎日載ります。その多くは1ページ全部を使った全面広告です。ディベロッパー1社だけが広告を載せている日よりも複数社が載せている日の方が多いので、1日に何社もの高級住宅不動産広告を目にすることになります。

この種の売り出される高級住宅不動産には、コンドミニアムもあるし、土地付き住宅もあります。全面広告を出すくらいですから、住宅不動産を高、中、低の3つの価格帯に分ければ、当然ながら高価格帯の物件ばかりです。

マレーシアの不動産、とりわけ住宅不動産は、一般にディベロッパーが販売してから建てるという方式です。この方式は、ディベロッパーがひとたび資金繰りなどの困難に面すると、建設プロジェクトの遅延または放棄という事態を引き起こします。過去、例えば1997年98年の東南アジア経済危機の時など、数多くの住宅開発プロジェクト(何百ものプロジェクト)が遅延、放棄されました。

この際、住宅不動産購入を契約した人たちに被害が即及びます。その理由は、多くの購入者は銀行ローンなどを組んでいるため、銀行への支払いはプロジェクト遅延でも続行しなければならないからであり、また現金購入した人にとってはディベロッパーからの返金はまず期待できないということです。プロジェクトが放棄されたら、それまで支払った金が戻らないのはいうまでもありません。

何年か前からこの方式を修正するべく、ディベロッパーがプロジェクト開発の保証金としてごく一部の資金を当局に預けさせる制度が取り入れられましたが、その金額はその対象プロジェクト開発総額から言えば微々たるものなので、購入者側には依然としてプロジェクト遅延と放棄の場合のリスクが厳然とあります。

住宅開発プロジェクトの遅延と放棄はマレーシア人の不動産に興味ある人なら誰でも知っていることですが、2000年頃から続くマレーシア経済全体の好調さから、新規住宅開発プロジェクトは、年によって多少の波はあろうとも、毎年数多く打ち出されます。
上記で述べたように、高額物件ほど目立つ大きな広告を出すので、ほとんど毎日どこかで新規住宅開発プロジェクトが発表されているかのように感じるほどです。

しかしユニット価格RM 100万を超すような超高額物件を購入できるような層は、住宅購入者の上位5%程度だそうです。RM 50万以上の高額物件の場合でも、購買者層のせいぜい10%強、多目に見積もっても20%には達しないでしょう。

世帯月収RM 3千以下の低所得層には、新聞の一面広告に載るような住宅不動産はまったく縁がありません。こういうマレーシア社会の実情も知っていただきたいとイントラアジアは願っており、『マレーシアの新聞の記事から』ブログでは、時々こういったニュースも載せています。

さてマレーシアマスコミには数多くの住宅不動産関連ニュースが載ります。そこで今年1月2月に掲載された中から、興味をより引いた数個の記事を紹介しておきましょう。


【首都圏の住宅価格統計 -2012年第3四半期】

財務省翼下にある、全国不動産情報センターが発表した、 2012年第3四半期のマレーシア住宅価格指数に関する数字です。

連邦直轄領クアラルンプールの指数は、四半期毎の比較で第2四半期が 0.8%下落、第3四半期が 3%も下落しました。この結果平均住宅価格は 第1四半期が RM517,195 、第2四半期が RM513,008 、第3四半期が RM497,535 になりました。これに大きく寄与したのは、テラスハウス平均価格の下落、マイナス4.2%、です、RM524,013 から RM501,859になった。 
これに関してクアラルンプール中心地域である Mukim Kuala Lumpurと Mukim Ampangだけを見ると、4.2%下落して RM592,565 から RM567,651になった。

次にスランゴール州に関しては、2012年第3四半期は 2011年第1四半期以来の下落をみました。この結果平均住宅価格は第2の RM378,484 から第3の RM372,4995 になりました。

ある業界筋は説明する、「この理由は、住宅価格の上昇が早すぎて人々の収入のペースを超えたからです。」
またデベロッパーの Allstones Group Asiaの議長は主張する、「不動産価格が新しい年になってこれ以上下がるとは思わない。でも上がるとも思いません。」 「こうしたことから、デベロッパーはとりわけ新規物件に対して、家具を無料で追加する、第3者への賃貸を保障する、サービス料免除、利子をデベロッパーが負担するプログラム、などの方策で対処していくことでしょう。」

また別の業界関係者は、価格が高騰期であった2010年から2012年にかけて売り出された新規物件に関して市場の動向ではより悲観的に見ていると、予測を語る。「売り出された物件が2年から3年かけて建築された後、それらの物件の価値は将来見込まれる賃貸からの利益、転売価格、売りたい主の販売力、に依存しすぎている。」 「全国不動産情報センターが提供する住宅着工のデータによれば、供給が大きく増えるのは2013年から2015年です。」

Intraasia のコメント:不動産投資する人たちはこういった市場統計や動向も知っておいた方がいいでしょう。 住宅価格が常に上昇し続け、賃貸からの利益が必ず見込まれるなどと信じ込む人たちはどこにでもいるようですね。平均価格というのはあまり実態を示さないですが、それでもクアラルンプールではいかに住宅価格が高くなっているかがあらためて確認できます。


【ジョーホール州南部の Iskandar Malaysiaでは不動産市場も好調】

(国とジョーホール州が積極的に推し進めているジョーホール州南部の経済開発地域・特区である Iskandar Malaysia では種々の開発が進行しています。)
そこでジョーホール州の不動産市場は今年も好調が続くであろうと、不動産と住宅デベロッパー協会のジョーホール州支部会長は述べます。「2012年の良い感じが2013年も続くでしょう。 支部会員の業者の多くは2012年に発売した不動産への反響は良い、それは今年も続くと答えています。」

「Iskandar Malaysiaはこの6年順調に発展している。ジョーホール州南部の不動産市場風景に大きな変化ももたらしています。」 「不動産と住宅デベロッパー協会のジョーホール州支部が行った展示販売会に2009年から2012年まで参加したデベロッパーの数字をまとめると、毎年好調な売り上げを記録している。例えば 2010年4月の展示会での総売り上げは RM 1億4千万、 2011年5月では RM 3億8千万、2012年5月は RM 6億1千万でした。」 「2012年11月の展示会ではRM 6億7千万です。」 「Iskandar Malaysia がジョーホール州のジョーホール州南部の住宅価格を 2009年から2012年までに10%から20%押し上げることに貢献している。だから新規販売でも好調です。」

「とはいえIskandar Malaysia内の住宅価格は依然としてクアラルンプール圏とペナン島のそれよりも低い。 Iskandar Malaysiaには今後開発用の広大な土地があります。」

Intraasiaのコメント:経済ページに Iskandar Malaysiaの話題が途切れることはないぐらいです。つい最近ナジブ首相がヨーロッパ訪問時に明らかにした、Itochu Steel が巨大投資を決めたというニュースもこの Iskandar Malaysia内が対象地です。 工業、商業、教育、医療、住宅というように多分野での新規開発を掲げて、積極的に外資導入を図っており、同時に国内からの投資も呼んでいる。 

よって時流に乗れる業者や住民や外国の投資者からは好評価が続く、しかし時流に乗れないような層の人たちには住宅価格や物価が上がるだけというような批判も生んでいる?または現れそうです。


【ペナン島の南西部も住宅デベロッパーがどんどん開発に着手している】

住宅デベロッパーはペナン州の発展地区としてペナン島の南西部、つまり Relau, Batu Maung, Bukit Jambul, Bayan Lepas, Sungai Nibong, Teluk Kembar, Sungai Ara に目を向けています。南西部でも土地の値段が上がっているにも関わらず、デベロッパーはコンドミニアム開発を発表しています。 こういう新開発の住居のユニット価格は RM 45万以上です。最近ではこの価格は”手の届く範囲”だとみなされています。

ペナン州で大きな不動産開発を進める、Ideal Property Development 会社の最高経営責任者は語る、「土地と建設費用の高騰にも関わらず、デベロッパーが南西部で、ユニット価格RM 45万から67万の範囲で住宅開発するのはまだ可能です、こういう価格は最近のペナン島では妥当だと考えられている。」

ペナン島南西部における、現在の新コンドミニアム価格は1平方フィートあたりRM 450です。つまり(標準的な広さである)千平方フィートならRM 45万になる。 島のBatu Maung から本土側のBatu Kwang を結ぶ第2ペナン大橋の建設が進行中であり、2013年中に完成します。そこで南西部の住宅価格はさらに値上がりするとみられています。
(注:第2ペナン大橋に関しては、イントラアジアのホームページ内のペナン州案内ページで2012年から写真付きで紹介しています)

現在の住宅ローン利率、4.25%程度、を考慮すると、ユニット価格 RM 45万を購入する住宅購入者の月収はRM 6千から8千は必要でしょう。「ペナン州の被雇用者中の正規雇用中間層の月給は平均してRM 3千から4千です」 とペナン州にある銀行の住宅ローン担当者は言う。「従ってこうした新規物件用の住宅ローン申請用紙及び住居購入の売買契約書に、契約者として2名または3名の名前が記入されるのは普通です。」 先ほどの最高経営責任者もこれを肯定して、「住宅不動産購入時の売買契約書に、2人、3人の名が記入されるのは珍しいことではない。」

ペナン島南西部では、国内大手デベロッパーの1つ Mah Singが Batu Maungで 広さ35ヘクタールの土地に総開発費RM 20億の Southbay City プロジェクトを進行中で、今後も5,6年間続きます。2012年に同社が売出しを発表した Southbay Plaza 住居スイートは1平方フィート当たりRM 850からの値が付いています。

今年だけでクアラルンプールとペナンの住宅デベロッパーが Bayan Lepasと Sungai Ara で総投資額 RM 41億の住宅開発を始めます。

Ideal Property Development 会社はBayan Lepasと Sungai Araにおいて 今後5年間で RM 33億相当の開発計画とのことです。その内コンドミニアムはBayan Lepas で2千ユニットなど計 3500ユニット。 同社は主たるプロジェクトの付随として(義務である)低コストアパート 1300ユニット分も建設します、こちらは広さ50平米で価格 RM 42,000です。
(注:低コスト住宅は低所得者用のいわば公的な住宅であり、外国人には全く関係がない)

国内有数の大手不動産 SP Setia は新規開発プロジェクトとして、Bayan Lepas では RM 3億ほどでコンドミニアム 434ユニット、及び Relau ではRM 6億でコンドミニアム 800ユニットを今年着手しました。コンドミニアムはどれも 1平方フィートあたり RM 450になる、 ユニット面積は900平方フィートから1500平方フィートの範囲、と同社は説明する。
同社が5年前に開始した Bayan Lepas のプロジェクトでの土地付き住宅の価格は、当時の価格RM 65万が現在では中古市場でRM 100万に値上がりしています。

Intraasia のコメント:第2ペナン大橋は交通面だけでなく、南西部の不動産市場に大きな影響を与えていることがわかります。Batu Maungはこれまでは地理上だけでなく捉え方として、ペナン島のかなり外れ地であった地区のはずです。2012年にイントラアジアは Batu Maung へ橋建設の様子を見に行ったとき驚いたのは、既に完成しているすごく高級な住宅の一画を目にしたからです。それが上記のSouthbayプロジェクトの一つだと後日知りました。 今後もどんどん開発されるようです。 

デベロッパーはプロジェクトを決めると広告して売り出す、そして実際に建つのは数年後です。開発する不動産価格の示し方として、平方フィートあたりいくらというのが標準です、大体11倍すると平米の価格になる。 この種の高級住宅不動産と低コスト住宅との巨大な格差をご覧ください。RM 45万が”手の届く範囲”という意味は、あくまでも中流層の中以上を念頭に置いているからですね。


マレーシアの住居不動産の概況

2011年05月13日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

マレーシアに住む・中長期滞在するまたはそういう希望をお持ちの人なら、住居不動産の動向は多少なりとも気になることでしょう。そこで今回は最近の住居不動産状況のことを話題にします。

全国不動産情報センターが「2010年不動産市場報告」を2011年4月下旬に発表しました。新聞(もちろんマレーシアの地元紙)はそれを基にして記事を載せていましたので、イントラアジアはその記事を参考にしてこの小文を書きます。

2010年の不動産取引数は376,583件で総額RM 1070億でした。その中でクアラルンプールを見ると、27,370件、総額RM 200億で、どちらも2009年より増えています。スランゴール州は90,414件、総額RM 366億でした。ペナン州は 25,986件、総額RM 93億でした。

以下は住居不動産に絞ります。
大クアラルンプール圏(首都圏)を見ると、クアラルンプールでは不動産総取引額中、住居不動産部門が78%を占め、スランゴール州では77%を占めます。
住む・中長期滞在する場合、首都圏つまりクアラルンプールまたはスランゴール州の市や町に住むまたは住みたい方がかなりの割合を占めますね。

【クアラルンプール】

住居不動産取引総額の51%を占めたのがコンドミニアム・アパートです。
価格帯RM 25万以上の家の取引は対前年比2桁の伸びです。

Intraasia 注:住居価格がRM 20万以下は低価格住宅であり、一般に低所得者層向けです。いずれにしろ外国人はこの価格帯の住居は購入できません。

住居不動産の価格は上昇傾向を維持しており、Bangsar Baru, Desa Suri Hartamas,Bukit Bandaraya などのよく知られた高級住宅地での需要は高いままです。こういう地区では2階建てテラスハウスの価格がRM 100万の水準を越えたとのことです。

Intraasia注:マレーシアの中級テラスハウスは、バストイレは最低2つ、部屋の床面積が広くて天井が高い、庭は小型自家用車2台ぐらいは駐車できるほどの広さです。

高層コンドミニアムにおける賃貸価格は上昇気味で安定しています。

【スランゴール州】


住居不動産の価格は上がっています。例えば外国人居住者が少なくないぺタリンジャヤ市では、1階建てテラスハウスの価格はRM 19万からRM 34万になりました。
Subang Jaya, Bandar Sri Damansara の家はRM 25万から30万程度になった。

高級住宅地として知られた地区の例
Bandar Utama地区: 2階建てテラスハウス価格 RM 62万から76万
Mutiara Damansara 地区:敷地面積がより広い193平米の2階建てテラスハウス価格 RM 124万
ぺタリンジャヤ市は昔から中流住宅地が多く、そのいくつかの地区:2階建てテラスハウス価格 RM 40万からRM 68万

スランゴール州全体では住居不動産の過供給状態は前年より減ったものの、3200ユニット弱でした、うち半数近くがコンドミニアム・アパートです。

Intraasia注:地域やコンドミニアム・アパートによってかなり状況は違うので、この数字はあまり参考になりませんね。

【ペナン州(ペナン島と本土側から成る)】

州の不動産総取引額中、住居不動産部門が70%を占めました。
ペナン州の世間的に認められている住宅地ではどこも、売買価格と賃貸価格の両面で2桁の伸びでした。

ペナン島の世間的に認められている住宅地の主要地は価格上昇の結果次のようになった:1階建てテラスハウス RM 58万
2階建てテラスハウス RM 80万

別の住宅地の例:
Green Garden 1階建てテラスハウス RM 46万から55万、Bandar Bayan Baru 1階建てテラスハウス RM 34万、2階建てテラスハウス RM 49万
目だった価格上昇をした高級住宅地の例
Taman Sunway Banyan RM 75万、Island Gladesと Island Park RM 56万から80万

本土側(マレーシアではSeberang Perai と呼びます)
本土側でも住宅価格は堅調な伸びでした
とりわけ Taman Bertam Perdana (B), Bandar Putra Bertamなど

州全体
海岸際に立つ高級コンドミニアムも堅調な価格の伸びを示した,4% から20%の上昇。
とりわけ Sri Pantai/Gurney Beach Resoet では22%上昇。

コンドミニアムの賃貸料に目を移すと
ジョージタウン市内中心部 9%の上昇、MaCallum Street 9.4% 上昇。


いずれもある程度住宅地区名を知っていないと、こういうニュースの内容はよくわからないものですが、住宅不動産のごく最近の傾向を知っていただこうと思った次第です。クアラルンプール圏とペナンという日本人に人気ある地における中級以上の住居の近況がなんとくおわかりになっていただければいいのです。もう1箇所人気ありそうな地である、サバ州コタキナバル地方については、情報が少なくここでは触れません。

次回は具体例を挙げてみるつもりです。


クアラルンプール圏のコンドミニアム市場は供給過剰です

2010年02月17日 | マレーシアの住宅不動産ニュース

マレーシアマイセカンドホームプログラムの日本人参加者の場合、マレーシアで住居を購入される方はかなりの少数派だそうです。つまり大多数は賃貸住居にお住みということのようです。賃貸物件の中では、とりわけコンドミニアムを賃借される方が多いそうです。ということで日本人参加者の住居嗜好・傾向を踏まえて、今回はクアラルンプールの高級コンドミニアム市場の一般情報を書いておきます。

コンドミニアムの数から言えば、圧倒的にクアラルンプール圏が多いのはいうまでもありません。単に数が多いだけでなく、コンドミニアムがある場所・地区が圏内の至るところにある、コンドミニアムの価格帯が幅広い、ということもクアラルンプール圏の特徴です。この特徴が即ち選択が幅広くできるという長所につながりますね。

クアラルンプール圏に次いでコンドミニアムが多いのはペナン州、そしてジョーホール州、この場合はほぼジョーホールバルに限定されるでしょう。 ペナン島は面積の狭さにもかかわらず人口が比較的多いことから、コンドミニアムの開発は盛んですね。ですから、昔から外国人旅行者に人気あるバトゥフェリンギ海浜地区及びその近辺だけでなく、島中部にもコンドミニアムを見かけます。 この3つの地方がマレーシアの3大コンドミニアム地です。

イポー、マラッカといった州都にもコンドミニアムはありますが、3大コンドミニアム地に較べればずっと選択が減るのは仕方ないでしょう。サバ州とサラワク州については省きます。

先週(2月中旬)の新聞でクアラルンプール圏の高級コンドミニアム状況に関する興味ある記事を読みましたので、Intraasiaの【マレーシアの新聞の記事から】ブログに載せました。クアラルンプール圏のコンドミニアムはこの数年供給過剰に陥っていることは、これまで何回もマスコミで報道されていますから、そのこと自体に意外性はありません。不動産業界は高級コンドミニアム市場において、外国人投資者、外国人エキスパトリエイト、裕福な外国人居住者をかなりの購買者対象と見なしており、従ってマレーシアマイセカンドホームプログラム参加者も潜在的対象者なわけです。 

日本人のプログラム参加者にとって購買は第1の選択でなくても、この種の高級なコンドミニアムを賃借する場合が少なくないであろうことから、クアラルンプール圏の高級コンドミニアム状況を知っておかれるのがいいと思います。 コンドミニアム販売価格は必然的に賃貸価格に反映されますからね。

ということで以下に、その記事を再録しておきます。

クアラルンプールの高級コンドミニアムはかなりの供給過剰状態
今日の一般的な捉え方によれば、コンドミニアムとサービスアパートは供給過剰ということです。全国不動産情報センターに寄れば、豪華コンドミニアム分野と非豪華コンドミニアム部門の両部門でにおいてこの2年間で供給過剰率 は90%を超えたとのことです。この数字は、他の住宅分野である、独立一軒家部門:過剰ゼロ、 セミ一軒家部門:過剰率1%、 テラスハウス部門:過剰率3% に較べて、際立っています。 過剰率 が90%もあるということから、今年の市場は厳しいと予測されています。

不動産調査で知られた Henrry Butcher 会社のトップは語る、「心配な点はクアラルンプールの KLCC地区とMont Kiara 地区です。 広いユニットを賃貸することが難しくなっている。それは外国人エキスパトリエイトの減少です。マレーシアに滞在する専門職のエキスパトリエイトの数は昨年(2009)初期から減っています。」

クアラルンプール圏の高級不動産市場におけるコンドミニアム供給状況 -Henrry Butcher 会社の調査

・KLCC地区: 完成ユニット数  4954     建設中のユニット数 2396    合計ユニット数 7350
・AmpangHIlir/U-Thant 地区: 完成ユニット数 1421     建設中のユニット数 1521   合計ユニット数 2942
・Mont'Kiara地区: 完成ユニット数  9954    建設中のユニット数 3818   合計ユニット数 13772
・Bangsar /BukitPantai 地区:完成ユニット数  2384   建設中のユニット数  1170  合計ユニット数 3554
・Damansara Heights地区: 完成ユニット数  841   建設中のユニット数 426     合計ユニット数 1267

合計ユニット数: 完成 19554、 建設中 9331、 総合計 28885
対象コンドミニアムの定義: KLCC地区だけはユニットの価格が約 RM 7,700/平米、 KLCC地区以外は全てユニットの価格が約 RM 4,400/平米

Mont'Kiara地区を開発した主たるデベロッパーである Sunrise 会社のトップは言う、「Mont'Kiara地区の居住者の様相が変わりました。コンドミニアムをマレーシア人に売って、それを外国人エキスパトリエイトなどに貸し出すという方法は何年も機能してきました。しかし今日この戦略を採用したら没落していくでしょう。 エキスパトリエイトの人口が減ったことで、不動産市場にも影響が出ているのです。Mont'Kiara地区での平均的ユニット占有率は75%です。 新しいコンドミニアムは埋まるのに2年かかります。我我の不動産購入者は自身で住居に入居します。」

外国人投資者の購入する不動産住居 -Henrry Butcher 会社の調査
・ユニット価格 RM 25万から50万: 15%強
・ユニット価格 RM 50万から100万: 25%弱
・ユニット価格 RM 100万から200万: 24%ぐらい
・ユニット価格 RM 200万から300万: 15%強
・それ以上は省略

外国人が買った住居不動産の 39%は価格帯RM 100万から300万、 外国人が買った住居不動産の 8%は価格帯RM 500万以上 になります。
以上

上記にあげてあるKLCC地区、AmpangHIlir/U-Thant 地区、Mont'Kiara地区、Bangsar/BukitPantai 地区、Damansara Heights地区はいずれも高級地ですから、その地名をお聞きになった方もあることでしょう。高級地の高級コンドミニアムの販売価格と賃貸料が高くなるのは当然です。こういう地に住む住まないはあくまでも個人の好みですから、住むのは有名高級地に限るという方以外は何もこういう地だけに住居対象を絞る必要は全くありません。最初に書きましたように、クアラルンプール圏でのコンドミニアムの選択は全国一の幅広さがあるからです。同じような物件でも地区によって賃貸料が違うのは、日本だって同じですよね。

そもそも当ブログは以前にも記事内で書きましたように、「ある地区の何々というコンドミニアムだけが住居の候補であるという方はここでは対象にしません。さらに、最初から日本人向け不動産エージェントか当地の知り合い日本人の紹介に限るという方もこの場では対象にしません。」というあり方です。自分たちでいくつかの場所、いろんな物件を探して見たい方を対象にしています。ここに掲げたコンドミニアム市場の供給過剰な現状を知っておくのは、知識として役立つと思いますよ。

具体的な賃貸物件の探し方などは、12月5日付けの記事「マレーシアにロングステイ(中長期滞在)するために、住居選びの事前知識を得ましょう」をもう一度ご覧ください。