日本の伝統芸術と芸能
能面と能楽・佛像と佛像彫刻
<その003>
* 「野草」の写真には<花咲かおまさ>さんの著作権が付いています。
端午の節句辺りから梅雨空は何処へやら、連日晴天が続いております。大潮の日が重なっておりますので、今日は東シナ海、明日は太平洋岸と場所を変えて、干上がった珊瑚礁の上を目を皿のようにして、あちらこちらとホッツキ歩いております。その割には成果は今一つ。 目の付け所が悪いんでしょうな~。
さて、先回は仏像の製作に関わる材料について書き始めました。能面と違って材料の範囲は木材から始まって、貴金属、粘土まで様々な分野に及んでおります。地域的な事も有りまして、日本のような地域では多種多様な材料に恵まれますが、中国以西の砂漠地帯は岩山を削るか、石を削るしか道が無いような所もあります。
日本でも石仏は全国的にあらゆる所に見られますが、先般ご紹介した九州の臼杵や奈良県の山中、滋賀県の山中などには各所に見られます。石仏には「丸彫像」、「半肉彫像」、「線彫像」等があります。
九州 臼杵 阿弥陀三尊像
九州 臼杵 大日如来頭部
<路傍のお地蔵さん>といわれるような石仏には、丸彫りが意外と多いですね。あるいは寺院などには結構大型の観音像などが見受けられます。花崗岩のような硬く緻密な石材は彫刻が大変でしょうが、石質が緻密ですので恒久性に富みます。大谷石のような凝灰岩は堆積岩の一種で、耐久性に乏しいが容易に彫刻できるという利点があります。路傍の石仏や、道祖神などは殆どこれですね。
丸彫佛の名品としては最御崎寺(四国・高知・室戸岬)の如意輪観音半跏像があります。非常に緻密な彫り口になっております。
如意輪観音半跏像
最御崎寺は四国八十八箇所第24番札所であり、この観音像の石質は大理石です。イタリアには大理石の見事な彫像がありますね。大理石の名品は世界中に存在しております。
日本国内に西欧のような見事な大理石が大量に採掘出来たならば、恐らく見事な石仏群が各所に存在したでしょうね。幸いに日本は大量の木材に恵まれましたから、幸運と言わなくてはなりません。敦煌のようなところでは、砂岩の岸壁に横穴を穿って、真っ暗な穴の中で丸彫り、半肉彫り、仏画を夥しい数今に残しておりますが、人間の営みの物凄いパワーを見る思いです。
石位寺の三尊佛
半肉彫りでは奈良県桜井市の石位寺の三尊佛が非常に保存の良いものとして挙げられます。奈良から桜井、吉野にかけては素晴らしい石造が数多く見られます。
女人高野 室生寺の手前の近鉄室生寺口のところに松尾寺が有りますが、ここには有名な摩崖佛が有ります。室生寺に行く途中ですので、多くの方がご覧になったと思いますが。近づいて見ると、結構ハッキリ見えるのですが・・・・
松尾寺 摩崖佛
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先回は最後に宝生流の重要文化財の<節木増>と、その写しとも云える鐘紡コレクションの名品をお見せしました。
節木増 本面 写し
本面がカラー写真であれば、正確な比較が出来ましたでしょうが、何分にも資料が有りませんので、読者の想像にお任せするしか有りません。額の眉の間の距離、顎の長さなどは互いに違っては居りますが、全体の感じは良く捉えております。どちらも文句なしの増女の型です。
増阿彌 久次のそれが正に本面ですが。以降、この型が「節木増」となりました。本面の方はじっと見ていますと、何か語り掛けて来そうな感じがします。
泣増 天下一 大宮大和 真盛(おおみや やまと さねもり)
面袋と面裏(天下一 大和の焼印あり)
大宮大和 真盛といえば彩色の名手である。<泣増>をご覧に成っても分かるとおり、血の気が顔に浮かんでいるような、妖艶でしかも怖いくらいの美しさですね。世の男性諸君、このような面立ちで見詰められたら、何としますか。逃げられませんぞ!
観世流の所蔵(梅若流)の面だったと思いますが、大和の<逆髪>という面もこのような素晴らしい作品で、怖いくらいに美しい。どのような能面師だったんでしょうか。この方は? とにかく名品が多いですね
では、本日最後に以前もお見せしました、現代の名工・長沢 氏春師の<増女>を静かにご覧ください。もう講釈は致しません!
増女
申し訳ありませんが、PCが一台故障いたしました。現在、復旧中ですがお陰で、他のブログが大幅に遅れておりますので、お許しの程を。
加計路麻の瘋癲老人
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