白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

能楽と能面-020

2012-03-31 | 日本の伝統芸能

日本の伝統芸術と芸能 

能楽と能面その20

 

 

いよいよ奄美群島も春めいてまいりました。と言うより初夏の陽気でしょうか。さて、このブログも本日で20回目を迎えることになりました。瘋癲老人にしてはよくもまあ続いたものと、我が身ながら感心している次第です。

先日よりFC2というブログで「白洲正子著作集・読書日記」なるものを公開し始めました。内容は「白洲 正子」様の著作を全て読み、その読後感を日記風に書いてみようという趣向です。この方の専門である能楽、能面の分野がかなりの部分を占めておりますので、さて、如何様にこの「能楽と能面」とを折り合いをつけていこうかと悩んでいる次第です。

能面・能楽の碩学ならともかく、一介の瘋癲老人が多少能面を打ってきたからと言って何の自慢にもなりません。さればとて・・・・・・・。 瘋癲は瘋癲なりに気ままに頭に浮かんでくることを書き綴り、集めてきた能面集の中の名品を拙い写真に撮影して、皆さんに公開させていただくのも良いのかもと考えております。今後とも宜しくお願い致します。

 

 

先回は「能面の分類」について、書かせていただきました。 資料としては碩学・中村保雄氏の「能面・美・形・用」を参考にしております。このブログは勝手気ままなブログですから、学術的なことは碩学の本を読んでいただく事にして・・・本日は

「無表情と中間表情」

結構このような表題の文章にお目に掛かることがあります。能面には様々な表情が重なって表現されているから、一見無表情になる・・・・・というのが一般的なところでしょうか。私もこれは肯定したいと思います。

般若」といえばどなたもご存知の面です。霊系の面の中の怨霊面に属する面ですが、額の毛書きを見ればすぐ分かる通り、女の鬼畜化した面である事がわかります。この面は別の表現をすると「中成」といいます。 この般若よりも鬼畜度が低いのが「生成」。より強い面は「本成」といって「」が該当します。

 

                   般若

 

嫉妬に狂った女性の心の内面を如実に表現したものでしょうが、創作の段階で実に良く考えられたものであることに敬服致します。「丑の刻参り」の嫉妬に狂った闇夜の中の蝋燭の灯りに映し出される女性の表情を参考にしたのでしょうか・・・京都にも有名な所がありましたね。

でも、本当の作者の表現したい気持ちは、哀れな女の「悲しみ」だと思います。鬼神系の面は一見怖そうに見えますが、長時間の演出には耐えられないと思います。ハッキリ言ってたいした怖くもありません。それよりも、静謐に富んだ和室の薄暗がりの床の間に飾ってある女面のほうが遥かに凄みがあります。 「泥岩」でなくても、小面、増女でも同じです。

                    泥眼(でいがん)

 

雲を見たり、木の間の間に人間の顔を連想させる経験は、皆さん誰もがお持ちだと思いますが、深層心理の中に人の顔への恐れを持っているのではないのでしょうか。物質だけで人間のこの身体が成り立っているのではなく、もう一層別な物が我が身を覆っているのではないのでしょうか。「霊的なもの」と言ってよいかもしれません。

このなんやら解らない不可思議なものが能面の上にも重なっているのかもしれません。これを一瞬垣間見るのではないでしょうか。ただ、瘋癲老人のような者の作では論外でございます。古今名品と呼ばれる作品には、犯しがたい凄みがあります。その面が表面的に美しければ美しいほど。 

 

 

それでは、本日も最後に林原美術館蔵の能面をご覧ください。この面は備前岡山藩31万石の藩主池田氏の所蔵していた面です。本日も「曲見」です。

 曲見(しゃくみ

江戸時代の名工「河内家重」の作です。先回ご紹介しました<曲見>は室町時代の能面師「宝来」の作とされております。どちらも甲乙付け難いですね。打つ者にとっては相当難しい代物ですね。よく解ります。

 

まあその様な訳で、本日はお開きと致します。次回も有名な能面集の中の掲載能面も引き続いてご紹介致します。

                       加計呂麻島在住   瘋癲老人 

 

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