越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

第1回 幻のキューバ  サンティアゴのブルへリア(19)

2011年11月24日 | キューバ紀行

 

  家の前で、ガブリエルが私に素っ気なく言った。

  ホルヘはどこかに行っているよ。 

  どこへ?  

  私は間髪をいれずに、その言葉に飛びついた。

  まるで動物の死骸を上空から発見したピニョーサ(禿鷲)みたいに。

  ガブリエルは、肩をすくめるだけだった。

    煮え切らない態度で、私の質問に答えない。

    本当は知っているが答えないのか、それとも何も知らないので答えられないのか。

    二人のやり取りを聞きつけたのか、中にいた背の高い中年女性が外に出てきた。

    ガブリエルの姉のエディタだった。

    弟と同様に肌が黒光りしている。

    年齢は、五十歳は超えているかもしれない。

   ボソボソ喋る弟と違って、よく通る大きな声で話す。

   ブルへリアになる前は、小学校の先生だったという。

 私は彼女と世間話をしながら、

    近いうちにベンベイの儀式をやるところがないかどうか、訊いてみた。

   ホルヘがどこかに行ってしまっていては仕方がない。

(つづく)

 

 

 

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