家の前で、ガブリエルが私に素っ気なく言った。
ホルヘはどこかに行っているよ。
どこへ?
私は間髪をいれずに、その言葉に飛びついた。
まるで動物の死骸を上空から発見したピニョーサ(禿鷲)みたいに。
ガブリエルは、肩をすくめるだけだった。
煮え切らない態度で、私の質問に答えない。
本当は知っているが答えないのか、それとも何も知らないので答えられないのか。
二人のやり取りを聞きつけたのか、中にいた背の高い中年女性が外に出てきた。
ガブリエルの姉のエディタだった。
弟と同様に肌が黒光りしている。
年齢は、五十歳は超えているかもしれない。
ボソボソ喋る弟と違って、よく通る大きな声で話す。
ブルへリアになる前は、小学校の先生だったという。
私は彼女と世間話をしながら、
近いうちにベンベイの儀式をやるところがないかどうか、訊いてみた。
ホルヘがどこかに行ってしまっていては仕方がない。
(つづく)
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