臨済宗大本山方広寺・奥山半僧坊総本殿に詣でた。
参道は杉木立、深閑としていて寒々しい。
木洩れ陽の中に御座します五百羅漢の坐像、立像。
説明によれば、
「建徳二年 (1371年) 後醍醐天皇の皇子無元選禅師に
よって開創された禅寺で、深奥山方広満寿禅寺と称す・・・」と。
歩きながら歴史に詳しい主人から話を聞く。
それで詩吟 「吉野懐古・ 藤井竹外作」 を思い出した。
「古陵の松柏天颷に吼ゆ山寺春を尋ぬれば春寂寥
眉雪の老僧時に掃くことをやめ落花深き処南朝を説く」
(大意)
「年古りた陵 (後醍醐天皇の延元陵) に森々と茂った
松や柏の大木は、山風に鳴り渡っている。 春の山寺は
日がすでに暮れようとして静かである。 落花を掃いて
いた眉毛の白い老僧はその手を休めて、南朝の昔物語を
してくれたが感慨無量であった」。
この方広寺派の末寺にやがてわたしたちは眠るのである。
その日の訪れがずっと、ずーっと先でありますように。
そんなことを語りながら帰途についたのだった。