黙祷

　

サイレンの音と共に　黙祷。

幼かったあの日も、かんかん照りの暑い日だった。

「ああ！」　と深いため息を漏らしてその場にしゃがみ
込んだ母親の姿が忘れられない。

「みんな一緒に体を括って死ぬんだよ」　
「なんで？　　川へ入って死ぬの？」

戦争に負けたから、と母は言った。

縄で括られて川で死ぬのかと思ったら、たまらなく
怖かった。

でも、そうならずに済んだ。　　平和が訪れた。


遠いあの日の思い出が蘇る。

父母の姿。　紺碧の空。　せみ時雨。　　
　

ヒオウギ

また終戦の日が巡ってきた。　　

主人の誕生日。　　
誕生日の花は　「ヒオウギ　（緋扇）」　で 花言葉は　
「誠意」　だそうである。

今日まで何事もなく元気で過ごせた。　　本当に有難い。　　
この先も健康で明るい毎日でありますように、と祈るのみ。


Hさん　の告別式は１１時。

寂しくなった。