南日本海人、正しい「うらぼんえ」の過ごし方

　まずは、前日の夕方、仕事などを早めに終え、帰宅します。できれば、日が沈むまで、もう二時間ぐらいの時間を目標に仕事を終えて家路に着くのがよろしいでしょう。帰宅すると、ひとつシャワーなど浴びて、一日の汗を洗い落とします。涼しげな服装に着替えて、落ち着くと、水巻ホースか、バケツなどを持って家の周囲のそこここに打ち水をします。さあ、これで家屋敷も暑い日中の照りからさめ、ほっと一息つくことでしょう。
　さて、この日は食事などもささっとすませ、早めに寝るようにしましょう。家族でテレビをみたり、話していては、夜更かしになり、落ち着いた「うらぼんえ」は過ごせません。
　翌日は、いよいよお盆です。迎え盆と言い、先祖の霊をお迎えしますが、この文章は宗教講話ではないので、霊の話はいたしません。あくまで、一般的に、お正月に対するお盆、一年の区切りのうちの夏の休暇についてのものですので、その静かな過ごし方を示すものでございます。
　お盆期間中は、できるだけお出かけをするのは控えましょう。特に、人ごみは避けましょう。海水浴等はいけません。お盆に泳ぐと河童に足をひっぱられます。魚釣りなどの殺生はもってのほかです。一日、家で家族でゆっくりと過ごしましょう。退屈なときは、読書がよいと思います。
　家族みんなでそれぞれ読書、静かで高尚で充実した過ごし方です。三時のおやつには、ぜひスイカを切りましょう。メロンやマンゴーはいけません。スイカです。といっても、家でスイカ割りをしてはいけません。あくまでおかあさんに切ってもらって、球の八分の一か、一六分の一をゆっくりと食べましょう。何個もおかわりしてはいけません。お腹をこわしますから。
　そうこうするうちに夜ですね。夕食後のだんらんのひとときは、テレビもいいですが、人生ゲームなどはいかがでしょうか。あるいは、モノポリーなど、盤ゲームが家族みんなで楽しめてよいでしょう。間違っても、ＷＩＩとかなんとかいったバテレンのまやかしものはいけません。
　さて、みんなで、小一時間ほど楽しく遊んだら、いつまでもやるのはよして終わりましょう。過ぎたるはなお及ばざるがごとしです。このようにして、お盆の一日は過ごしましょう。二日目も三日目も同じです。（同じか！）　
　…って、こんな過ごし方はほとんどしないよなあ。まあ、みんな、墓参りだけはいっとけよ！　てねっ。