安らぎの雨

　この夏はとても暑かったし、雨もほとんど降らなかったのは、ご承知のとおり。
　最近になって、やっと雨粒がちらりほらりと落ちてくるようになった。今日も、午後からしっとりとした雨が降り始めた。
　家に帰って、食事をし、風呂に入った。
　夏の間は、シャワーがほとんどで、湯船には入ることが少なかったが、このところ肌寒い日々となっているので、浸かってみた。
　バスタブの中で、気持ち良く体を伸ばすと、外の雨音が聞こえてくる。割と激しく降っているようだ。なんだか、懐かしい。
　ああ、落ちつく音だなあ。この雨の音って。
　夜、激しく降る雨の音を、こうして、あたたかい風呂の中や、寝床の布団をかぶって聴いていると、とても安らいだ気持ちになってくるのは私だけではないと思う。外は雨だが、うちの中は安全であたたかい。心休まる場所だ。
　はるか古代の人々も、そのようにして雨音を聴いていたはずである。
　我が家で聴く、夜の雨音。心地よい。
　そして、もうひとつ。
　家族が健康であるということ。ほかのことはともかく、ただそれだけでも、感謝すべきことだ。
　ありがたい、ありがたいことである。
　ありがとう。