南日本海人、もらいもので恥をかく

　私の住んでいる地方は、ほんとうに田舎なので、よく近所からおすそわけ、というか、もらい物をよくする。都会の方には想像がつかないかもしれないが、ほとんど毎日、近所の人に食べるものをいただいているような気がする。もちろんこちらもお返しするのであるが。まるで近所の人に養ってもらっているような感もある。
　だが、この前、そのもらい物で、少々恥ずかしい思いをした。だいたい、ものをもらったり、あげたりするというのは、婦人部のお役目なので、私はあまりタッチしないのであるが、近所の方が来られたときにたまたま私しかいないときがある。そういうときは、すなわち私がお礼を言ってありがたくいただく訳である。
　町内会から家に帰ったときに、隣のご主人がやってきた。手にビニール袋をさげていて、「これ、たくさんもらったのでどうぞ…イシダイ」とそれを渡された。家に帰ったばかりのときで、ちょっと不意打ちだったので、私はそう聞こえたのだ。―ああ、イシダイの小さいのだな―、そう思った私は、「まあ、釣られたんですか？　それはありがとうございます」と答えたのだ。隣のご主人は、「いえ、小さいのですが」とごもごもと言われていた。
　確かに「イシダイ」と聞こえたのだ。
　帰られた後に、玄関から台所にもって入って、家人に見せようと袋の中を見て、ん？　となった。「えっ、これはイシダイというか、魚ではないぞ…なんだ…こ、これはきのこではないか！」
　マイタケだったのである。「イシダイ」と「マイタケ」全然違う。どんな耳をしているんだろう。私は。マイタケは釣ったりはしないよな。どおりで、ご主人、ごもごも言っていたはずである。きのこを魚と勘違いするとは。また恥をかいてしまった。恥の多い人生である。
　しかしありがたいことである。このブログを読んでいる可能性はほとんどゼロであるが、この場を借りてお礼を言っておきます。ありがとうございました。