木曜日、今日こそは映画を観にこうと、11時半くらいまでペイントして早めの昼食を食べて13時に家を出た。
映画が始まるのは16時5分。
その時間までペイントの材料を買いにサンセイ(材料の問屋)に行ったり、クリスマスのプレゼントを買うためにデパートをうろうろしたり。
クリスマスが近いので阪急デパートはキラキラと、とても華やかで、自分の物は買わなくてもそこにいるだけでワクワクしてテンションが上がる、人工的なこんな場所が好きなんだな、と思う。
一人は気楽で自由だけど、のどが渇いたりしたとき、一人でお茶する気にはなれない、仕方なく阪神梅田の駅にあるジュースを売る販売スタンドでミックスジュースを飲んだ。
美味しいし、130円と言う値段も好きだ。
それから、映画を上映しているシネリーブル梅田を目指して歩いた、いつまでたっても迷わずに行けなくて、でもうろうろしながらも何とか着くので、まぁいいけれど、ホント目指して歩く、と言う感じがする。
15分前に到着、相変わらず人はまばら。
スウェーデンの有名な歌手が栄光をつかむ映画と知っていたけれど『ストックホルムでワルツを』、このタイトルを見て軽やかなサクセスストーリーだと思っていたら、結構苦悩の部分が多かった。
主人公
モニカ.ゼタールンド は、5歳の娘を一人で育てている(最初は実家暮らしですが)シングルマザーで電話交換手をしながらジャズシンガーを目指していた。
モニカ.ゼタールンドを演じるエッダ.マグナソンはとてもきれいな人で歌も上手かった、家に帰って実際のモニカを調べたがどことなく似ていた。
モニカは、娘との時間を大切にしろ、と口うるさく言う父親に従おうとするけれど、トップに立ちたいという思いが強くて後ろめたく思いながらも娘を両親に預けてステージに、巡業にと、歌手への道を選んでしまう。
この父親との確執を見ていると胸が痛かった。
がんばってもがんばっても、父親から認めてもらえないモニカの心の葛藤が手に取るようにわかる。
「お前は、子供のころから木登りをしても一番上まで登らないと気が済まない、みんなは安全で適当なところで降りるのに、お前は違った、だから木から落ちるんだ。」といつも父親から責められる。
でも、そんな強い気持ちを持っていなかったら、トップ歌手になどなれないでしょうに。
美貌と才能でニューヨークで歌うチャンスをものにするが、白人だからジャズなど分かるはずがない、と言われなき差別を受けニューヨーク進出が没になる。
そんな時代だったんですね、ジャズは黒人にしかできない、お客さんがみんな帰っていくんですよ。
でも、落ち込んで酒場でお酒を飲んでいるときに、昔からの憧れであったエラ.フィッツジェラルドに出会い歌を聴いてもらうチャンスが。
しかし、その時に『Do you know what it means to miss New Orleans』と言うニューオリンズへの郷愁を歌った歌を歌ったもんだから(ややこしい)「あんたにその歌の気持ちが分かるの?もっと自分の心を歌いなさいよ。」と言われてしまう。
さらに落ち込むモニカだが、その時に自国語でジャズを歌うと言うヒントをもらったのだった、それまでは、ジャズは英語で歌うものと言う先入観があったけれど、モニカはそれを覆す決断をする。
そしてその後にスウェーデン語で歌う『SAKTA VI GÅ GENOM STAN(歩いて帰ろう)』が、すごくすごくいい。
歌はやっぱり自分の話す言葉で歌うのが1番気持ちが伝わると思った。
それからは、一気にスターダムにのし上がるのだが、私生活では、恋も上手くいかない、娘のこともおざなりで、酒とたばこに溺れていくのである。
モニカがのべつ幕なしタバコを吸いお酒を飲むので、「あーあー、そんなことしたらのどに悪いんじゃないの。」と気になって気になってですね(^^;)。
仕事の成功とは裏腹に、モニカは深い孤独の中精神的にどんどん堕ちていく、でもまたその時に歌う愛と絶望の歌が心に沁みます、何もかもを歌う糧にするのです。
娘と二人で暮らす豪邸で、娘のことはろくに世話もできなくて、ついに父親から娘を連れていかれてしまい絶望の中自殺未遂をするモニカ。
華やかな世界で生きてでも心は暗い闇に吸い込まれるように孤独になって行くのだ。
しかし、ここでもまたモニカは這い上がる、尊敬するビル.エヴァンスに自分の歌声のデモテープを送るのだ、ビル.エヴァンスと共演すると言う夢をかなえるために。
そして、その夢がかないビル.エヴァンスとの共演のために1度は敗れたニューヨークへ向かうのであった。、父親に「今度こそ聴いてね、お父さんにだってスターになるチャンスはあったわ、ただそうしなかっただけで、私は高い木の上の景色が見たかっただけなの。」と言う捨て台詞をのこして(実は父親も元ジャズマン)。
またしても、娘の成功を無視しようとする父親だったのだが、妻から「娘が夢をかなえたのよ、一緒に聴きましょう。」と諭されてラジオに耳を傾ける父親。
そして、感動で涙を流し娘に「とてもよかった、素晴らしかった、お前に高い木の上の景色を見せてもらったよ。」と電話するのであった。
あー、良かった、父親からやっと認めてもらうことが出来て、私も心のつかえが取れました。
その後は、長年、そばで支えてくれていたベーシストと結婚もし何もかも夢がかなった幸せなモニカの顔で幕が下りたのであった。
皆さんのレビューを読むと星五つつけている人が多かったけれど、私は今一つ胸に来るものが欠けていたように思えたが、実際のモニカ.ゼタールンドの歌声をYouTubeで聴いて納得と言うかすごく感動しこの映画のストーリーが本当のこととして胸にストンと落ちてきたのでした。
モニカを演じたエッダ.マグナソンも歌がうまいけれど、胸の中に暗く渦巻くような凄味が感じられない気がする、実際のモニカ.ゼタールンドの暗い渦に引きずりこまれるような歌声を皆さんにも聴いてもらいたいです。
VIDEO
歩いて帰ろう
歌詞の訳は
こちら
VIDEO
トラブル
歌詞の訳は
こちら
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