この映画は、12年間もの長き間、同じ俳優でほとんどスタッフも同じスタッフを使って作られた映画です。
そんなに大して大きな出来事が起こるわけでもなく、時は淡々と流れていくのですが、何故かどんどん映画に引き込まれていって観終わった後何とも言えない感動がありました。
映画の時間にしたら2時間40分ですが、やっぱり12年もかけて作った時間には、重みがあります。
こんな素晴らしくも賭けのような映画を作るとは、リチャード・リンクレイター監督の映画に対する真剣な思いに圧倒されます。
大体、資金集めだけでも大変そう、何とか回収できるとしても12年後なんてね。
そして、役者さんも、12年間毎年1週間、撮影のために時間を空けておかなければならないんですから、よくよく考えてみたらなかなか大変な事ですよ。
母親として子供をきちんと育てながら、将来を見据えて大学に通うエネルギッシュな母親オリヴィアをパトリシア.アークエットが
大人になり切れずにミュージシャンになることを夢見るチャーミングな父親をイーサン.ホークが
しっかりした母親と頼りないけれどとても魅力的な父親の愛情をいっぱい受けながらナイーブな感性を持つ大人になっていく男の子メイソンをエラー.コルトレーンが演じています。
両親はすでに離婚していて子どもたちは母親と暮らしているのですが、週末は父親と過ごすなど、アメリカではかなり一般的であろう毎日が描かれています。
男の子が大人になるまでを描いているので、女性として生きてきた私にはかなり新鮮に感じられるところもありました。
10代半ば、友達に誘われてキャンプと称するお泊り会に参加するのですが、かなり危険なにおいがいっぱい。
友達のお兄さんがやばい感じで、空手で木の板を割ったり、お酒を勧めたり、女の子と経験があるか、と卑猥な感じで聞いてみたり。
お酒を拒否する子がいればたちまち中傷の対象になったりするあたり、思春期を生き抜くのも命がけ、と感じました。
時は流れ、主人公のメイソンは無事高校を卒業。
オリヴィアはたくさんの人を招待してパーティを開きます。
ミュージシャンを目指していた父親は、夢をあきらめて、保険外交員としてきちんと生きていて別の家族を作っています。
さまざまな人がさまざまに変化していく、、、
メイソンも、高校を卒業すると言う事は、母親から離れて遠い大学へと旅立つと言う事。
別の男性と再び結婚したり恋をしたりしたこともあった母親は、最後にはとうとう一人になってしまいます。
小さなマンションに移りふと虚しさを感じてしまうオリヴィアが「母親になり、子供を育てながら勉強して大学教授になり、子供が皆出て行って、後、私に残されているのは死ぬことだけだわ。」と絶望的になるシーンがあります。
大学教授と言う素晴らしいやりがいのある職を得ていても、やはり子供が巣立つときには、空っぽになったような気持になるもんなんですね。
終わりは始まりを意味する、そんな言葉が頭をよぎりました。
私ももう何もないと感じたときもありましたが、今は、子供と言う重荷をおろして、また新たな世界が大きく開けていると感じる毎日を送っています。
だから、この映画の中の母親にも言ってあげたい、また新しい始まりが待っているから、と。
長く生きていると、時の流れに抗おうとしても無駄で仕方なくその時その時を生きるしかないと達観したような気持になったりします、またいつ何時どんなことが起こるのか、その時にどんな自分でいられるのかまったく分からないのが生きると言う事かと思ったりします。
今は楽しく生きていても、辛いことが起こった時に今のような明るい気持ちで生きていけるのかは正直全く自信がないのが本音です。
さて、メイソンは、失恋も経験しその気持ちをどう処理すればいいのかと、父親に相談したりするのですが、大学に通うようになり新しい恋の予感もあったりして、今まさに人生の大きな海に向かって漕ぎ出すと言うところでお話は終わります。
これからメイソンはどんな人生を歩んでいくのだろうか、そんな想像する余白を残すラストが素晴らしかったです。
お母さん役の女優さんも良かったですが、父親役のイーサン.ホークが無茶苦茶かっこよかったです。
ミュージシャンを目指す父親が歌う生活に根差した歌が、心に沁みました。
やっぱりこの映画も音楽がとってもよかったです。
最初、やさぐれた感があったイーサン.ホークがどんどん素敵な中年になっていく、良い俳優さんですね。
6歳のメイソン
お姉ちゃんのこと全然出てこなくてスミマセン。
良き母親として素敵なな女性として生きるオリヴィア
10代半ばのメイソン
父親ともとても良い関係
どんな人生を生きるのか
(追記)
父親の2度目の奥さんの実家で、メイソンが祖父(かな?)からライフルを与えられて使い方を習うところがありました。
いかにもアメリカ、そして、父親が「そのライフルは家には持って帰るな、お母さんが嫌がるだろうから。」と言うところがあって軽いけれど銃所持を許すことに対しての批判かな、と感じました。
それにしても、2度目の妻の実家に元の奥さんとの間の子供を連れていく、そして、みんなが和気あいあいと過ごすなんてアメリカらしいです、やはり宗教があるからそんなことが当たり前にできるんでしょうかね。
この映画はメイソンが主役ですが、いろいろな視点から見ることが出来る映画でした。
父親にしても、ミュージシャンの夢を捨てて生きることを選んで社会的には立派なことかもしれませんが、幸せであるのかどうかとか考えると複雑です。
いつもご訪問ありがとうございますm(__)m
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そんなに大して大きな出来事が起こるわけでもなく、時は淡々と流れていくのですが、何故かどんどん映画に引き込まれていって観終わった後何とも言えない感動がありました。
映画の時間にしたら2時間40分ですが、やっぱり12年もかけて作った時間には、重みがあります。
こんな素晴らしくも賭けのような映画を作るとは、リチャード・リンクレイター監督の映画に対する真剣な思いに圧倒されます。
大体、資金集めだけでも大変そう、何とか回収できるとしても12年後なんてね。
そして、役者さんも、12年間毎年1週間、撮影のために時間を空けておかなければならないんですから、よくよく考えてみたらなかなか大変な事ですよ。
母親として子供をきちんと育てながら、将来を見据えて大学に通うエネルギッシュな母親オリヴィアをパトリシア.アークエットが
大人になり切れずにミュージシャンになることを夢見るチャーミングな父親をイーサン.ホークが
しっかりした母親と頼りないけれどとても魅力的な父親の愛情をいっぱい受けながらナイーブな感性を持つ大人になっていく男の子メイソンをエラー.コルトレーンが演じています。
両親はすでに離婚していて子どもたちは母親と暮らしているのですが、週末は父親と過ごすなど、アメリカではかなり一般的であろう毎日が描かれています。
男の子が大人になるまでを描いているので、女性として生きてきた私にはかなり新鮮に感じられるところもありました。
10代半ば、友達に誘われてキャンプと称するお泊り会に参加するのですが、かなり危険なにおいがいっぱい。
友達のお兄さんがやばい感じで、空手で木の板を割ったり、お酒を勧めたり、女の子と経験があるか、と卑猥な感じで聞いてみたり。
お酒を拒否する子がいればたちまち中傷の対象になったりするあたり、思春期を生き抜くのも命がけ、と感じました。
時は流れ、主人公のメイソンは無事高校を卒業。
オリヴィアはたくさんの人を招待してパーティを開きます。
ミュージシャンを目指していた父親は、夢をあきらめて、保険外交員としてきちんと生きていて別の家族を作っています。
さまざまな人がさまざまに変化していく、、、
メイソンも、高校を卒業すると言う事は、母親から離れて遠い大学へと旅立つと言う事。
別の男性と再び結婚したり恋をしたりしたこともあった母親は、最後にはとうとう一人になってしまいます。
小さなマンションに移りふと虚しさを感じてしまうオリヴィアが「母親になり、子供を育てながら勉強して大学教授になり、子供が皆出て行って、後、私に残されているのは死ぬことだけだわ。」と絶望的になるシーンがあります。
大学教授と言う素晴らしいやりがいのある職を得ていても、やはり子供が巣立つときには、空っぽになったような気持になるもんなんですね。
終わりは始まりを意味する、そんな言葉が頭をよぎりました。
私ももう何もないと感じたときもありましたが、今は、子供と言う重荷をおろして、また新たな世界が大きく開けていると感じる毎日を送っています。
だから、この映画の中の母親にも言ってあげたい、また新しい始まりが待っているから、と。
長く生きていると、時の流れに抗おうとしても無駄で仕方なくその時その時を生きるしかないと達観したような気持になったりします、またいつ何時どんなことが起こるのか、その時にどんな自分でいられるのかまったく分からないのが生きると言う事かと思ったりします。
今は楽しく生きていても、辛いことが起こった時に今のような明るい気持ちで生きていけるのかは正直全く自信がないのが本音です。
さて、メイソンは、失恋も経験しその気持ちをどう処理すればいいのかと、父親に相談したりするのですが、大学に通うようになり新しい恋の予感もあったりして、今まさに人生の大きな海に向かって漕ぎ出すと言うところでお話は終わります。
これからメイソンはどんな人生を歩んでいくのだろうか、そんな想像する余白を残すラストが素晴らしかったです。
お母さん役の女優さんも良かったですが、父親役のイーサン.ホークが無茶苦茶かっこよかったです。
ミュージシャンを目指す父親が歌う生活に根差した歌が、心に沁みました。
やっぱりこの映画も音楽がとってもよかったです。
最初、やさぐれた感があったイーサン.ホークがどんどん素敵な中年になっていく、良い俳優さんですね。
6歳のメイソン
お姉ちゃんのこと全然出てこなくてスミマセン。
良き母親として素敵なな女性として生きるオリヴィア
10代半ばのメイソン
父親ともとても良い関係
どんな人生を生きるのか
(追記)
父親の2度目の奥さんの実家で、メイソンが祖父(かな?)からライフルを与えられて使い方を習うところがありました。
いかにもアメリカ、そして、父親が「そのライフルは家には持って帰るな、お母さんが嫌がるだろうから。」と言うところがあって軽いけれど銃所持を許すことに対しての批判かな、と感じました。
それにしても、2度目の妻の実家に元の奥さんとの間の子供を連れていく、そして、みんなが和気あいあいと過ごすなんてアメリカらしいです、やはり宗教があるからそんなことが当たり前にできるんでしょうかね。
この映画はメイソンが主役ですが、いろいろな視点から見ることが出来る映画でした。
父親にしても、ミュージシャンの夢を捨てて生きることを選んで社会的には立派なことかもしれませんが、幸せであるのかどうかとか考えると複雑です。
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