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黛信彦の時事ブログ

浜矩子語録にみる、新型インフルは憂鬱

2009年05月05日 | 浜矩子語録
「豚インフルエンザのパンデミックは、妖艶なエコノミスト・浜矩子の憂鬱である」というのが小欄の見立てである。

浜矩子は、昨年11月の毎日新聞・“時代の風”欄に、リーマン破たんによって金融収縮が起こり経済活動全般の縮減に転化したことを「グローバル恐慌物語の第一幕がひとまず終わって、第二幕の幕が開いたところである」と書いた。
そして、「次に来る展開こそ怖い」として、
~・~・~ その第二幕はモノをつくる生産活動への打撃の場であり、第三幕はモノを取引する通商の世界を犠牲者とする悲劇の場面とならないか。
カネの世界では、すでに収縮と分断が進行している。それが、モノの世界に波及すれば、地球経済は分裂する。
実をいえば、モノの世界の分断と囲い込みはすでに始まっていた。世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンドは決裂し、食料や資源を巡る争奪が激しくなっていた。世界が地球的バブル崩壊の予兆を感じる中で、自己防衛的なモノの囲い込みが進み始めていたのである。ここで大不況到来となれば、その傾向にはますます拍車がかかること請け合いだ。
そんな第三幕に進むことは、なんとか回避しなければならない。~・~・~と書いた。

それからおよそ半年、浜矩子は重ねて言う。
~・~・~ 「自分さえ良ければ病」に冒されている間に地球が砂漠化してしまう。グローバルジャングルの住民たちが共通の意識として持つべき心意気、それは「一人は皆のため 皆は一人のため」という思いです。 ~・~・~
その警鐘をよそに、世界の為政者たちは保護主義に走っているが、このことは、浜矩子が言う「金が動かずモノも動かない、第三幕」に突入したことの証である。

そして、更に今、「人も動かない」という終末的出来事が起きている。
豚インフルエンザの世界的流行は、金融恐慌に追い打ちを掛けるだろうということだ。
中国各地で、感染していないメキシコ人を隔離していることでメキシコ政府が反発し、感染の拡大を懸念する中国政府が、徹底した予防措置を講じる構えで、歩み寄りの兆しが見えないという。

中国の強硬策は理解できなくもない。
しかし、このやり方が世界的に蔓延して、金もモノも動かないうえに、更には人も動かなくなるとすれば、浜矩子が言う「次に来る展開こそ怖い」という展開だ。
第四幕ともいえる「グローバルな鎖国化」、浜矩子の憂鬱だ。

【新型インフル】中国とメキシコで“外交摩擦(産経新聞)

浜矩子語録目次Ⅱ

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